初めてのキス
朝食の準備も終えて食器等の準備をしているとクロエ君が料理を運んで来てくれる。久しぶりの手料理〜と鼻歌気味の雲雀はさっきの出来事などもう忘れているかの様だった。空人てあれは日常茶飯事なのか?
「なぁ雲雀?」
「んー?」
「響夜て奴何なんだ?あれって空人では日常茶飯事?」
「違う…あの日から響夜おかしいの」
「あの日ってメイド長ナイスの日か?」
「何その命名」
ぷふっと吹き出しあはははと一通り笑って呼吸を整える雲雀。
「あの日ね…響夜は獣になったってお父さんが言ってた」
寝込みを襲う外道か…糞が。
「雲雀…こっち来て?」
「ん?何?クロエ君?」
不意に近付いて来た雲雀の唇を塞ぐ。貪る様に唇を舐めたり下唇を噛む様なキスをする。
「んぅ?!んん!!」
ぷはぁっと息をし赤面している雲雀。
「な…なななに?!」
はぁと溜息混じりにクロエは言葉を紡ぐ。
「雲雀が思う以上に男は獣なの?分かってる?僕だって男なんだよ?無防備過ぎ」
そう言いクロエは前髪を掻き上げると雲雀はぽやぁ〜と見てる。ん?どうした?
「雲雀?」
目の前で手を振ってみる。ハッとした雲雀。
「ごごごごめん!!クロエ君が思っていた以上にカッコよくて見惚れてた…その、何かごめん!」
カッコイイ?誰が?僕?てか、口にしなくても良いのにホントに純粋だよね雲雀って。
「そんな可愛い事言う人にはもう少しお仕置が必要かなぁ?」
座り込んでいる雲雀の顎をクイッと持ち上げて舌舐めずりしてみる。
「もう!!大丈夫!!クロエ君は男の子!!」
「分かれば宜しい」
さっさと立って料理の準備を再開する。
「えと…じゃあ…もう一緒に寝れないの…?」
「毎朝キスしていいなら寝るよ?」
「その…さっき…みたいなのを…?」
もごもごと口ごもりながら言う雲雀も可愛いなぁ…
「その…優しくなら良いよ…」
え?クロエは耳を疑った。
「今の聞き間違いじゃない?」
「聞き間違いじゃないよ!!」
もう!!っと怒っている雲雀。可愛いので来い来いと手を振る。
「?」
と雲雀は近付いて来るので首に手を回してまた唇を塞ぐ…さっきより優しく甘噛みしたりしながら様子を見て唇を離す。
「ん…優しいから大丈夫だよ」
「可愛い過ぎ…てか、僕のファーストキスなんだけどね今の。それよりも昨日出逢ったばかりの素性の分からない奴の何処が良いの?幼馴染の方が良いんじゃないの普通?」
雲雀は少し考えてから言葉を探す様に言う。
「クロエ君は何か放っておけないって言うかなんて言うんだろ一緒に居たいなぁって言うか…実は私も初めてなんだけど…」
一緒に居て落ち着くタイプが僕らしい。
「雲雀の両親はなんて言うかな?」
雲雀はまだ多分気付いていない。僕が人間の王族だって事。目が見えたはずなのに態度が変わらないから多分教えて貰えていないんだ。王族の証の瞳の色を…僕の瞳の色も雲雀と同じ金色なのだ。