取り敢えず食事
なんやかんやで家に知らない人を連れてきてしまった。まぁ、もう手遅れなので仕方ないとする。
彼はポカーンとして居た。
何か不味かったかな…雲雀は変な汗が吹き出そうだった。
「(姫…)」
「え?」
彼のポツリと呟いた言葉は雨の音で聞こえなかった。
「何か言った?」
「いいや…ホントに此処が君の家なの?」
「そうだよー?」
「両親は?」
「今旅行中なんだ…だから私はお留守番なの」
「…(姫を独りで留守番にさせるって空人て気まま過ぎるだろ)」
何か彼がボソボソと言ってる気もするけど取り敢えず中に入る事にする。
いつもは門兵さんとかメイドさんとか居るんだけど両親に付いて行ったんだよね。何でだろ?
雲雀は知らない。外の事など。政など。
空人は知っていた。人間よりも空人が有権者であり護りが硬い事を。だから王たる雲雀の父は敢えて雲雀を独り残して旅行に出掛けているのだ。
空人は空に逃げれる時点で人間の敵う領域では無いのだ。
雲雀はその翼の色から通称空姫と呼ばれている。雲雀自身は王族だからではなく只見た目で呼ばれているんだろう程度に思っている事は本人しか知らない。
「ねぇ?君名前は?」
「私?雲雀だよ?」
「(やっぱり空姫だ…)僕の名前はクロエ・フォン・アルベール」
「クロエ君て言うの?」
「うん」
「分かった。先にクロエ君の着替え用意しようか?」
「着替え?あるの?」
「人間用のまだ袖通してない新品の服で良ければあるよ…それとタオルも要るね」
門から庭を歩き城の扉に手をかける雲雀。扉を開けて傘を閉じて玄関先に置き、その足でウォークインクローゼットまで行った。クロエは大人しくついて行く。
「此処のは新品だから好きなの選んでいいよ?タオルここに置いておくから着替え終わったら部屋の前に居るから教えて」
「分かった…」
パタンと扉を閉じると雲雀はクロエについて考えていた。言葉数少ないけど人間てそうなのかな?信用はされてるぽい?んー?って唸っているとカチャッと扉が開いた。
「終わった…」
「サイズ大丈夫だった?」
「僕のサイズにあってたから平気だったよ」
シンプルなシャツとシルクのパンツスタイルのクロエ君がそこには居た。
「じゃあ、次はリビングに行こうか」
雲雀がそう言い歩いて行く。クロエはまた大人しくついてくる。
「ねぇ?雲雀は独りで寂しくないの?」
クロエからの唐突な質問にビックリした。
「んー?私は空人でも特異例だし両親も周りの人も優しいし基本的に引きこもってるから寂しくは無いかな?なんで?」
「特異例って?その翼の事?」
「そう…ガッカリしたでしょ?普通の羽根者はキラキラしてるんだよ?」
「いいや…僕は綺麗だと思うけど」
「またまた〜…あ、此処がダイニング。はい、カレーとスプーン。カレーにはこの紅茶が合うから買っておいたよ」
トンとクロエの前に置く。私はサラダとパンとオレンジジュースをコンビニ袋から取り出す。
「いただきます」
そう雲雀が言うとクロエも慌てて、
「あ…いただきます」
と言う。黙々と食べるクロエと雲雀。
「雲雀は自炊しないの?」
また突然クロエが質問してきた。
「私?無理無理。いつもは料理専門の人かお母さんが作るよ。クロエ君は?」
「僕は材料があれば作れるよ?」
「え?食べ終わったら付いて来て欲しいん所あるんだけど…」
「何処に?」
「厨房」
「材料あるの?」
「作り置きのはあったから少し持ってたんだけど、材料あるけど作れないからコンビニ行ってたんだよ…」
「例えば何があるの?」
「多分何でもある。お父さん食用の魔法収納袋置いて行ってるし」
カチャンとクロエがスプーンを落とした。
「食用の魔法収納袋…?」
「そうだよ?人間の人には珍しいモノかな?」
そう、人間と空人には越えれない差がそこに在る。魔法収納袋…何でも収納出来る素晴らしい品物。王族だったクロエでも手にする事が出来ない様な代物なのだ。