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お子様パーティーから目が離せない!

各地では、人間同士にとどまらず種族間でも戦争が行われ。

蔓延るモンスター達との命のやり取りも行われている地獄の様な世界。

そんな中、豪華な一室に置かれている円卓に錚々たる面々が集まっていた。


獣王「面白れぇメンツが揃ったじゃねぇか!」


魔王「黙れ、我も貴様等となど顔も合わせるつもりは、なかったわ!」


法皇「2人ともおよしなさい。」


龍王「これだから下等種族は、嫌いなのだ。」


「「何だと!!」」


博士「・・・・。」


英雄王「皆のモノ、今は、言い争っている場合ではないだろう? 本来は、敵同士である我等がこうして、一堂に会したのだ。」


精霊王「もはや、敵だの何だのと言っている場合では、無くなりましたからね。」


他にも鍛冶師の名匠や世界最高の魔術師など地位も種族もバラバラな者達が参加していたが事の重大さに沈黙するしかなかった。

そして、一人の者がその沈黙を破る。


「・・・・あの~、発言よろしいでしょうか?

「申して見よ。」

「はい、・・・・私は、何故この場に呼ばれたのでしょうか?」


誰もが目を見開き、「えっ、知らないの!?」という顔をしていた。

何かを思いだしたかのように英雄王が頭を抱え、知らないのも当然だと説明をする。


「其方は、村人だったな。」

「はい。」

「知らなくても当然だ。 地方の村人にこのような情報が行く事も無いだろうからな。 其方の子がいなくなったであろう?」

「はい! お恥ずかしながら親子喧嘩をいたしまして、飛び出して行ってしまったのです。」

「うむ、実は、我等の子供達も「喧嘩ばっかりしているパパ達キライ!!」と言って、家出してしまったのだ。」


その言葉を思い出したのか、他の者達もまるで葬式の様な顔をしていた。

中には、錯乱し、「パパが悪かった!」や「もう生きていけない。」や「世界の終わりだ!」などと泣きだす者まで現れるほどだ。

説明は、一時中断され、何名かを医務室や客室で休まされる事となった。



「で、ですが何故、私とうちの子が関係あるのでしょうか?」

「其方の子は、特殊な能力を持っていてな。」

「うちの子が? 何かの間違いでは? 確かに大人に混じって畑仕事をしっかりこなしていますが。」

「ふむ、騎士と違い地味な作業だから気づかぬのも仕方あるまい。」

「??」

「例えば、10才にも満たない子供が大人に混じって、騎士の修行をし、戦場へ赴いて勝利を上げていたらどう思う?」

「それは・・・・、末恐ろしい子供ですね。」

「其方の子は、まさにそれなのだ。 地味な才能故、気づかれないが間違いなく未来を担う者の一人だと言えよう。 そして、才能ある子達は、神の加護により、専用の連絡手段を持っていると報告をうけている。」

「うちの子が・・・・。」

「そこで我等は、可愛い我が子等が悪い大人に騙されていないか、モンスターに襲われていないか心配で心配で世界的に停戦平和条約を結び、どうにかして我が子等に帰って来てもらおうとしておるのだ!」

「・・・・。」




 --- 一方、子供達は ---




ここは、王都から遠く離れた小さな村にある冒険者ギルドに隣接する酒場。

少し前までは、寂れていたがここ最近、活気を取り戻しつつある。

と言うのもこの世界に数人しかいないSランク冒険者の一人がこの町出身でつい最近、帰って来たからである。

彼は、高ランクの鑑定スキルを有しており、アイテムの目利きや他人やモンスターのステータス情報はもちろんの事、ダンジョンのトラップから各階層の構造、遭遇した敵が仕掛けて来る手段にいたるまで見る事が出来るのだ。

補助スキルであるが故、彼自身戦闘向きではないモノの並みの冒険者では相手にならず、具体的には、Aランク冒険者の中でも一握りの者しか相手にならない程度である。

それほどまでにSランク冒険者とは、化け物なのである。

その彼がある程度の実績を重ねた後、地元であるこの小さな村を拠点を置いた為に憧れや利益を求めて、あわよくばお近づきになろうとやってくる者達が押し寄せてきているのだ。

つい最近では、伝説の勇者が封印した凶悪なモンスターが復活し、それを他のSランク冒険者と共に倒したとして、英雄としてそれぞれ祭り上げられていた。

そして、それは、酒場でも変わらず祝福の声が飛び交っていた。


「いや~、流石は、レスティンさんだっ!」

「Sランク冒険者の方々がいたらモンスターなんて怖くねぇな!」

「レスティン様達がいる時代に産まれて良かった~!」

「弟子にしてくださいっ!!」

「私の旦那もあんなイケメンならよかったのに! きぃ~!」


何か最後の方に若干違う声が聞こえたが彼等が凶悪なモンスターを倒してからは、ここ一週間は、大体こんな感じであった。

しかし、彼は、苦笑いをするばかりであまり嬉しそうではなかった。

それが返って「謙虚だ!」とか「男らしい!」など彼の評価を上げるばかりで、彼は、肩を竦めて流れに身を任せるしか出来なかった。

そんな中、いつもと違う風景が彼の目に移り込んで来た。

そこには、10才にも満たない様に見えるあまりにも場違いな少年少女達が一つのテーブルを囲み、乾杯の音頭を取っていた。

もちろん手に持たれた飲み物は、ミルクや水である事から酒好きのドワーフ族でない事も確信できるであろう。


「「「「「「「かんぱ~い!」」」」」」」

「やっぱり、一仕事した後のミルクは、最高なのだ!」

「うんうん、今回の仕事は、少し大変だったからね!」

「僕は、ジュースが良かった・・・」

「わがままを言うでない、貧乏だから仕方ないのでござる。」

「そうじゃぞ、今回も依頼失敗とみなされ、必要経費しか支払われなかったのじゃ。」

「私は、納得いかないわ! 何処の誰かが分身体を一体潰しただけで本体は、私達がやったのよ!」

「まぁまぁ、地道にコツコツですです。」


周りの大人達は、少年少女達を暖かい目で見守り、特に深く考える事もなく、酒の続きを飲みだした。

そんな中、Sランク冒険者であるレスティンの顔色があまりすぐれない様子であった。


「でも、これからどうするのよ?」

「まだ、冒険者登録も出来ないし、またババ様にでも聞いて、仕事を紹介してもらうしかないのじゃ。」

「業突くババァ・・・、イヤ。」

「何だガキ共、何か困った事でもあるのか? だったらレスティンさんに頼って見たらどうだ?」

「レスティン? 誰ですです?」

「レスティンさんをしらないだと!? ここ居負わすレスティンさんはな、Sランク冒険者でそれはそれは立派な御方なんだ!! なぁ、レスティンさん!」

「「「「「「「へぇ~。」」」」」」」


少年少女達が飲んだくれの冒険者から紹介されたレスティンの方へと視線を向けるとレスティンの顔色は、さらに悪くなっていた。

何故ならばレスティンは、鑑定スキルを所持しているからである。

瞬時に相手のステータス情報を読み取り、この子達を見た瞬間に夢ならば覚めてくれと願わずには、いられない情報が表示されたからである。

レスティンの鑑定によれば・・・・ (※能力値は省略しています。)




 正面に見える赤い瞳にウエーブがかかったクリーム色の髪の大人びた少女

    名前:ヴェルサレヌ 役職:冒険者見習い(ファイター志望)

    種族:子龍

    技能:超越されたパンチとキック その他秘匿

    補足:龍のエネルギーを人型にまで濃縮させた存在だそうじゃ。


 その右隣にいる茶色い瞳が鋭く長い赤髪の少女

    名前:コーデリア 役職:冒険者見習い(ソードマン志望)

    種族:人族

    技能:聖剣魔剣による二刀流 その他秘匿

    補足:生まれながらに勇者の資格を有して極めたとか書いてあったけど納得していないわ!


 さらにその右隣にいる青い瞳青い髪に笑顔がまぶしい少年

    名前:リクル 役職:冒険者見習い(プリースト志望)

    種族:神の使い

    技能:法則無視の支援 その他秘匿

    補足:自分に回復魔法をかけ過ぎたら輪廻の輪から外れたらしいですです。


 後ろ姿でテーブルへ突っ伏している白髪の少年

    名前:レオン  役職:冒険者見習い(テイマー志望)

    種族:獣人

    技能:魔獣化&従魔合体 その他秘匿

    補足:眠っている・・・・。


 その足元にいるスライム?

    名前:プルリン 役職:従魔

    種族:完全体ホムンクルス

    技能:面倒なので書かない・・・・。

    補足:核が無い為死ぬことが無い、良いペット・・・・。


 最初の子の左隣にいる黒い瞳にお団子ヘアーの少女

    名前:アルバフィス 役職:冒険者見習い(えらい人志望)

    種族:魔族

    技能:何かいつも勝手に敵が死んでいるのだ!

    補足:父様にずっと部屋から出して貰えなかったけど抜け出して来たのだ!


 さらに左隣にいるフードを纏っている少女?

    芸名:リリアン 9才です!(アンナが本名じゃ)

    役職:芸能人見習い(トップアイドルになります!)

    スリーサイズ:ヒミツ♪

    種族:みんなのアイドルです! (こやつは、精霊種なのじゃ)

    技能:歌ったり踊ったりすることかな?

    補足:コンサートの時は、絶対に見に来てね? リリアンとの約束ねっ!


 最後に紫の瞳に黒い髪を結っている少年?

    名前:ヤマト 役職:冒険者見習い(ハンター志望)

    種族:自立型機械人形

    技能:広範囲射的 その他秘匿

    補足:拙者、何処で作られたかわからないであるが粗悪品ではないでござる。




ありえない情報の数々、見た事もないSランク冒険者を軽く超える能力値が表示され尚且つ、鑑定は、神様が定めた情報を見るスキルにもかかわらず干渉し、自分達の情報を書き換えている事と本来レスティン程の高位の鑑定スキルから逃れる事は不可能なのに対し、簡単に秘匿にしてのけているのだ。

今までにこんな経験は無く、もちろん予想さえ出来なかった事からレスティンは、今の心情へと至ったのだ。


「ん? どうしたんだ、レスティンさん? この子達がアンタに頼りたいみたいなんだが?」

「あ、ああ、き、君達は、何処から来たんだい?」

「ワシ等は、バラバラの位置から集まったんじゃがここがちょうど中心地だったのでな。 他にも何人かまだ来てない様じゃが。」

「な、なるほど。 そ、それで悩みとは?」

「うむ、懐事情が寂しいのじゃ。 実は、仕事を受けていたのだが何者かに成果を横取りされてしまってのぉ、依頼失敗になってしまったのじゃ。」

「そんな小さいのにお使いとは、えらいな~。」

「ち、ちなみにその場所って・・・?」

「オーレル渓谷とかじゃな。」

「何? レスティンさんが行ったと事一緒じゃないか! あんな危ない所、近づかない方が良いぞ! なぁ、レスティンさん?」

「あ、ああ、そうだな・・・。」


この時、すでにレスティンは、全てを理解してしまった。

そもそも凶悪なモンスターは、各地にいる7体の影をそれぞれ倒さないと本体に辿り着けないのだがレスティン達Sランク冒険者は、その中の1体、オーレル渓谷のモンスターを討伐するだけで手一杯だったのだ。

何とかモンスターを倒したものの、次の場所へ向かうだけの力は無く、途方に暮れていた時、何故か本体の存在が消えてしまった。

だがその事を言っても誰にも信じてもらえず、今の様な評価につながったのだがSランク冒険者以上の存在などいないとされているこの世界では、仕方がない事なのだ。

とは言え、目の前にその存在がいる。

この場には、それを理解できる者は、レスティン以外居るはずも無く。


「こまったのじゃ。」

「困ったね。」

「お腹空いた・・・。」


チラチラとレスティン方を見ながら困ったと言う少年少女達。

レスティンが取れる行動は、一つしか存在しなかった。


「ここは、俺がオゴリるからジャンジャン頼んでいいよ。」

「流石、レスティンさんだぜ! 良かったなお前達、レスティンさんのオゴリだったてよ!!」

「…「やった~!!」…」



レスティンを除く、大人も子供も大盛り上がり。

酒場には、似つかわしくない食事が並べられ、子供達は嬉しそうに食べている。


「このお子様ランチ美味しいですです。」

「このパルフェも美味しいのじゃ!」


何故、酒場にお子様ランチやパルフェがあるのかというと。

少し前にさかのぼる。




レスティンのオゴリだと喜んだのもつかの間、人にの冒険者が酒場に走り込んで来た。

その慌てようからただ事ではない事がうかがえた。


「そんなに慌ててどうしたんだ?」

「ぜぇゼェ・・・・、大変だ! ゴブリンがこの村に向かっている!!」

「はぁ? たかがゴブリンでそんなに慌てる必要ないだろう?」


ゴブリンは、駆け出し冒険者でも頑張れば狩れる普通のモンスター。

それに対しては、過剰とも思える冒険者の態度に疑問を抱く、酒場の人々。


「大群で押し寄せて来てるんだよ!」

「大群っていってもな、こっちには、レスティンさんもいるし。 いったい何匹なんだ?」

「情報によれば10万匹だ!!」

「はぁ? 10万って、誤報じゃないのか?」

「嘘じゃねぇよ! Aランク冒険者パーティーの『紅翼』が辛うじて、持ち帰った情報だ!」

「Aランク冒険者パーティーだって!? それど『紅翼』は?」

「今、診療所総出で手当てを行っている!!」

「!?」


酒を飲んでいた冒険者達は、一気に酔いが冷め、レスティンと一緒に高台へと向かった。

高台からは、黒く蠢くモノが遥か彼方に見え、望遠鏡で見るとゴブリンの群れだと分かる。


「レスティンさん! やべぇよ!!」

「ああ、ゴブリンソルジャーが2万体 ゴブリンアーチャーが5000体 ゴブリンマジシャンが5000体 ゴブリンロードが100体 ゴブリンキングが10体も それにあれは・・・・。」


鑑定眼で見たレスティンは、青ざめている。

本来、ゴブリンロード1体だけでもそれなりのパーティーで挑まなければ危険なのだがゴブリンキングに至っては、騎士団が総員で挑まなければならないレベルなのだ。

文字通り国家の危機、それが10体、そしてその後ろには、ゴブリンゴッドという見た事も聞いた事もない存在が禍々しいオーラを発していた。

ゴブリン達の上空には、蜷局を巻く雷雲があり、より一層、恐怖を煽っている。


「すぐに住民の避難を・・・・」


とレスティンが言いかけたと同時に雷雲からゴブリン達に向けて竜巻や雷が次々と発せられた。

それにより、ゴブリン達は、壊滅させられ、村は、この大陸は、救われたのだ。


「レスティンさん! どうやら神様が俺等を助けて下さった様だ!!」

「あ、ああ、そうだな・・・・。」


しかし、鑑定眼を持つレスティンには、見えていた。

ただの雷でゴブリンキングがダメージを負うわけもなく、何発も放たれる極大魔法。

倒される度に大地へと還元されるゴブリン達。

抵抗虚しく、切断されていくゴブリンゴッド。

全てが常識を遥かに超えた出来事だった。




数人の冒険者が一様、現場確認に向かい、レスティン達は、酒場へと戻って来た。

もちろん、レスティンは、自分が見た真実を伏せている。

言っても信じてもらえないし、余計な混乱を招くだけだからだ。


「いや~、それにしても俺達、運が良かったな~!」

「そ、そうだな・・・・。」


浮かれて飲み直す冒険者達とは、対照的に緊張しているレスティン。

それもそのはず、酒場に戻ると3人ほど子供が増えていたのだ。


「我に立ち向かう者、永遠の業火に焼かれ、己が罪を嘆くがいい。」

「まぁまぁ、そう言わずに美味しそうなお肉も手に入りましたことですし。」

「いや~、良い仕事したべよ♪」

「他は、どうしたのじゃ?」

「バちゃんの依頼で別の所に向かっただべよ♪」


「おお? 何だ? 嬢ちゃん達の友達か?」

「そうなのじゃ。」

「そうかそうか、今日は、良い日だからジャンジャン楽しむと良い! な、レスティンさん!!」

「そ、そうだな・・・・。」

「でわ、さっき仕入れた材料で美味しいモノ作ってきますね。」


レスティンの鑑定は、それを見逃すほど甘くはなかった。

むしろ、見逃して欲しかったと本人が心から願ったほどである。

鑑定によれば・・・・ (※能力値は省略しています。)




 特に特徴のないその辺にいそうな少年

    名前:ター坊 役職:農家見習い(自給自足志望)

    種族:人族

    技能:何でも耕したいべよ♪ その他秘匿

    補足:父ちゃんは、オラが育てた植物の良さが分かってねぇべよ!


 黒い衣装に黒い髪、赤い瞳に眼帯と怪しいオーラを纏っている少女

    名前:深淵の覇者(ニルビーなのじゃ。)

    役職:天才魔導士 (冒険者見習い(ウィザード志望)じゃ。)

    種族:超越者 (ただの魔族なのじゃ。)

    技能:極大魔法 禁術魔法 その他秘匿

    補足:我が深淵を垣間見る時、右手の封印が解け、災いを齎すだろう。


 厨房へと走って行ったピンク色のショートヘアーの少女

    名前:シンシア 役職:料理人見習い(コック志望)

    種族:人族

    技能:家庭料理 その他秘匿

    補足:世界には、私の知らない食材がいっぱいあるはずです!


 ゴブリンゴッドのお肉:超高級食材。

  本来ゴブリンの肉は、美味しくなく不衛生な為、捨てられますがゴブリンゴッドのお肉は、上質なお肉へと進化している様です!

  あ、オラは、ゴブリンのお肉も肥料として無駄なく使っているべよ♪




当然の様に鑑定に干渉して来る子供達。

聴こえてくる会話から、くしくも他のSランク冒険者がいる場所でも同様の出来事発生しているらしく、似たようなことが行われている様だ。

レスティンは、鑑定眼を持たない他のSランク冒険者が知った時に青ざめる姿を想像し、哀れに思わずにはいられなかった。


出てきた料理に舌鼓を打つ冒険者達。

超高級食材が使われているのだから当たり前であるが。


「かぁ~、うめぇ~!! オヤジ、腕を上げたな!!」

「いや、それを作ったのは、この子だ。」

「マジか! 将来良いお嫁さんなるぜ! 俺が保証してやる!!」

「まぁ! ポッ」

「ロリコンギルティ。」


忽然と話していた冒険者の男の姿は、消えたが初めからそこには、誰もいなかった様に宴会は続く、レスティンを覗いては。




 --- 天界の女神様は ---




天界にある大きな神殿。

女神達が集う場所にて、会議が開かれていた。


「どうしたものかね~?」

「女神長がいけないんですよ。 子供達を巻き込んだりしたから罰があたったんです。」

「うるさいわ! お前達もノリノリで能力付与してたじゃないか!!」

「でもでも、こんな事になるとは、思って無かったですぅ。」

「・・・・自業自得。」


今までぐうたら生活を送っていた女神達だったが、気づいた時には、下界の戦争があまりにも酷い有様だった為、苦肉の策で子供達に死なない程度の能力付与を行い、家出してもらう事にしたのだ。

結果は、親馬鹿どもは、予想通り戦争を止め、反省している。

ここまでは、予定通りだ。

ここまでは・・・・。


「司令! 大変です!!」

「どうした!? って誰が司令だ! アンタは、アニメの見過ぎだよ!!」

「世界の自動バランス装置が子供達に反応し、新たなモンスターが出現させました!!」

「またかい、個体名は?」

「ポケットオークマスターです!」

「また変な名前のモンスターが出たね。」

「識別コード、Sランク、ユニークモンスターと思われます。」

「なんだい、そこそこ強いがオークキングと変わらないね。」

「それが能力が特殊でして・・・・。」

「ふむ?」

「手ゴマのオークを一体、戦闘に送り出し、相手も一人以外戦場からはじき出される能力です!!」

「・・・・頭痛がしてきたよ。」


子供達と与えた能力の相性が良すぎて、予想以上の能力を手に入れた子供達。

それにともない、世界を安定化させる為に設置された自動バランス装置の処置。

戦争が止まったがより大きな問題が浮上した。

戦争を止めたら子供達に家に帰って貰い、普通の生活を送ってもらえば自動バランス装置もこんな反応は、しなかった。

だが子供達は、「帰らない!」と駄々をこねたのだ。

能力は、一人ならまだしも集まられると女神がどうこう出来るレベルを超えており、一度授けた能力は、天界規定に反する為、没収できず、自動バランス装置も同様の理由で簡単には、止める事はできない。

よって、子供達が自主的に帰るように策を弄しているのだが・・・・。


『女神様、依頼終わっただべよ~♪』

「お、おお、お疲れ様、それでモノは何処なんだい?」

『モノ?』

「ゴブリンを倒した時は、耳を持ち帰るのが冒険者の常識なんだよ?」

『・・・・ゴブリンゴッド食べちゃった。』

「ほら、あんた達には、まだ冒険者何て早いんだよ。 お家に帰って」

『『『『『『ヤダーーーー!!!』』』』』』

「・・・・はぁ、それじゃ次の仕事だよ。」


女神が言い切る前に子供達が一斉に駄々をこねる。

仕方がないのでポケットオークマスターの討伐を子供達に任せ次の対策を練ろうとした時。


「司令! 目標ロストしました!!」

「今さっき、指示したばかりだよ? 早くないかい?」

「それが現場近くに別の子供達のパーティーがありまして・・・・。」

「ああ、そういえばあそこには、あの子達が居たんだったね。」




 --- 別の子供達は ---




街外れを歩く子供達。

貴族令嬢の様な出で立ちの少女が赤ん坊を背負い、裕福そうな少年が奴隷少女を連れて居るが周りに大人の気配が無い。

当然の様に、そんなカモ見たいな子供達に声をかける者達が現れる。


「おうおう、ガキ共、迷子かい? おじちゃん達が案内してあげようか? ゲヒャヒャヒャ」

「兄貴、さっさと攫っちゃた方が早いんじゃないすか?」

「バカ野郎! 近くに親がいるかもしれねぇだろうが!!」

「兄貴、声デカい! 声!!」

「お前もデケェよ!!!」

「そこで何をしている!!」

「「あっ」」


そこへ、一人の女性が現れた。

いかにもな男達は、焦り出し、女性に向かって言い訳を並べだす。


「す、スミレさん!? Sランク冒険者がこんな所で何かあったんですかい?」

「拙者の事を知っているようだな。 何、子供の姿が見えたのでな。 それでこの子達は?」

「ああ~、この子達迷子みたいだったので道案内でもしようかな~と思ってた所です。」

「ほほう、道案内に布袋とロープは、いらないだろう?」

「い、いや、これは、仕事帰りですよ!」

「そ、そうそう!」

「それは、ご苦労な事だがまだ昼過ぎたばかりだからもう少し働いた方が良いのではないか?」

「そ、そうですね。 でわ、あっしらこれで失礼します!!」


そう言い残すと男達は、何処かへ走り去ってしまった。

呆れた様な顔をするスミレは、子供達へと向き直る。


「失礼、何処かのご令嬢と大商人のご子息とお見受けしますが御付の方とはぐれられたのかな?」

「いいえ、私達は、旅をしているだけよ。」

「・・・・、旅と言われても赤子も連れている様にお見受けするが」

「この子は、セバス、私の執事よ。」

「ダ~!」

「執事・・・・? 申し訳ないが安全な街中まで同行してもらえないだろうか?」

「なるほど、いいわよ。 私達が貴方を守ってあげる。」

「えっ?」


子供達とスミレは、とりあえず街中へと進んで行った。

その間、何かの手掛かりになればと名前を確認する。


「すまないが名を聞いても良いだろうか?」

「あら、人に名前を聞く時は、自分から名乗るのが礼儀よ。」

「失礼した。 拙者は、スミレ、これでも冒険者をしている。」

「よろしい。 私は、マリー・ゴールドよ。」

「マリー・ゴールド・・・・、確か国王の次女がその様な名だったような?」

「ち、違うわよ! 私じゃないからね!!」

「僕は、クランベル・ノーランドです。 この子は、ナインツと言います。」

「チッ、勝手に教えるんじゃねぇよ。」


マリーの動揺を華麗にフォローするクランベルだったが真面目な性格な為、家名を名乗ってしまう。

ノーランドの名にも聞き覚えがあったスミレは、質問しようとしたがセバスが泣きだし、それ所ではなくなった。


「おぎゃ~おぎゃ~!」

「セバス、どうしたの!?」

「オムツでわないでしょうか?」

「変えはあるのかしら?」

「いえ、もうないのでお店で仕入れないといけませんね。」

「それならあそこの雑貨屋にあるのでわないか?」

「急いで行きましょう!」


「ごめんください。」

「いらっしゃいませ~って、ガキじゃないか。 おや、スミレさんも一緒じゃないか。」

「亭主、オムツは置いてあるかしら?」

「あるにわあるが・・・・。」

「僕の出番ですね。 亭主、半額で売っていただけませんか?」

「半額だぁ? 冷やかしなら帰ってくれ!」

「半額にしてくれたら、このミスリル鉱石を差し上げても良いですよ。」

「おいおい! 本物じゃないか!! この大きさ、売れば1年は、楽に暮らせるぞ!!」

「どうですか?」

「売った!!」

「交渉成立ですね。」

「成立させてんじゃねぇよ!! 大体、元値より大損しているじゃねぇか!!」

「痛いよ、ナインツ。」

「まぁまぁ、出会って間もない為、そちらの事情も良く分かっていないが奴隷が主人に手を上げても良いのか?」

「黙れ、下等生物が! 誰に向かって口聞いてやがる!!」

「「えええぇ~~!!?」」

「あはは、すみませんね。 ナインツは、口が悪くて、これでも優しい子なんですよ。」

「オムツの交換終わったわよ。 クランベル、これ直しておいてちょうだい。」

「はいはい。」

「ちょっとまて! それアイテムボックスじゃないか!?」

「そうですよ?」

「珍しい能力持ってるな!」

「ほとんど、オムツで埋まってますけどね。」

「・・・・ちょっとまて、ひょっとして、このミスリル鉱石も・・・・。」

「大丈夫ですよ。 中でちゃんと分けられているので。」


雑貨屋亭主のミスリル鉱石に対する価値観が一気に急降下した。

雑貨屋を出てすぐの事、またもセバスが泣きだした。


「おぎゃ~おぎゃ~!!」

「今度はどうしたの?」

「ミルクですかね?」

「そう言えば、朝から何も食べていなかったわね。 チラッ・・・・、無理ね。」

「拙者の胸に何か文句が?」

「そこの胸の大きなご婦人。」

「はい、私?」

「そうよ。 この子にミルクを貰えないかしら? お礼はちゃんとするわ。」


ミルク交渉を始めたその時、悲鳴が聞こえた。


「ぎいゃ~~~~!!」

「モンスターが出たぞーー!!」

「逃げろーー!!」

「モンスターですって!?」


「こんな街中にモンスターが!? すまぬが拙者は、様子を見てまいる!!」


スミレが悲鳴が聞こえた方へ走り去っていく姿を見届けた胸の大きなご婦人は、子供達へと振り返る。

だがそこには、子供達の姿はなかった。


「あなた達も早くひな・・・・? あら何処に行ったのかしら?」


スミレが現場に着き、驚愕の表情を浮かべていた。


「オークキング!? 何をしているさっさと逃げぬか!!」

「見えない壁があって、出れねぇんだよ!!」

「兄貴! 兄貴~!!」

「どいておれ!」


オークキングの前には、あの時の男がいた。

スミレが刀で見えない壁を攻撃するが一切意味が無かった。


「頼むよ! アンタSランク冒険者なんだろう? 兄貴を助けてくれよ~!!」

「いやだ~、俺は、まだ死にたくねぇ!! 助けてくれ~!!」


スミレは、何度も見えない壁に切りかかるがその間にもオークキングは、男の眼前まで迫っていた。


「ギャ~~~~!!」

「兄貴!!」

「くっ!」

「どいてなさい。」


振り向くとマリーが手を翳すだけで見えない壁は、消滅し、それどころかオークキングが爆散していた。

オークキングの後ろで異様なオーラを発していたオークもスミレ達も一様に呆気に取られる。

辛うじて、スミレがマリーに疑問を投げかけていた。


「・・・・、いったいなにが?」

「何って、下々のルールが私に適応されるわけないでしょ?」

「オムツ爆弾、有能だから良いですよね。」


異様なオーラを放っていたオーク・ポケットオークマスターは、自分の能力が無効化されている事に気づき、残りのオークキング4体を前へと出す。


「ナインツ、今日の獲物見たいよ。」

「ちょっと少ねぇがしかたねぇ、お前ら手を出すなよ!!」

「ま、待て! オークキング4体にあの未知のオークもいるんだ! ここは一度撤退して・・・・」


スミレが言い終わる前にナインツは、オーク達へ突っ込んで行った。

想像できる最悪の事態になるかと思われたが予想外の事が繰り広げられる事となる。

この場にいる誰もが何が起きたのか理解できない。

何故ならば目の前にモザイクがかかり、『しばらくお待ちください。』と親切な言葉が表示されているからだ。


「何が起きているんでしょうね。」

「きっとナインツがハッスルしているだけよ。 それより、さっさと終わらせて、セバスのミルク探しに行かないといけないわ。」

「ダーダー!」


スミレや男達は、放心状態になり、しばらく動けず、オーク達も瞬く間に倒され、子供達は、ミルク探しの度へと消えて行ったのだ。

尚、放置されたオークの残骸は、本当の意味で規制が引かれた。




戦争中止の代償は、あまりにも大きく。

世界を股にかけた女神と子供達の駆け引きは、続くのであった。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 短編の投稿ありがとうございます(*^▽^)/★*☆♪ 御子様ぱわ~炸裂! 遭遇したレスティンさんやスミレさんの此れからの苦労が窺えますね( ̄∇ ̄) [一言] 短編にしては主要登場人物が多い…
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