5、天然タラシと引き攣る笑顔
3人が部屋の確認に行ってからしばらくたった
カイト以外の3人が応接室に戻って来るなり
同じ事を言う
「「「広すぎです」」」
「え?」
カイトも唖然としている
どの部屋も同じぐらいだったはずだが、、、、
出てきて同じ反応をする3人は目を合わせ
お前もか!?と言いたそうな顔で視線を交している
眩しいばかりの3人がそんな風にオロオロしていると
少しおかしくて、つい笑ってしまった
「ふふっ」
「「「「!!!!」」」」
私が笑うのはそんなに不気味だったのだろうか
4人で目を丸くして見てくる
カイトに至ってはすぐ真横から覗き込んでくる
穴が4つほどあきそうなので、
早めに話題を切り替えよう
「私は、全ての部屋を使い切らないので
使って頂いた方がありがたいです
なので、気にしないで下さい。」
「ですが、私が頂いたお部屋は
多分メインの寝室なのではないでしょうか?
侍女などに与える広さではないと思います!!」
「狭い方が落ち着くので、、、、」
マリアが申しわけなさそうに聞いてくる
しかし、私にも色々と事情がある
他人を巻き込む訳にいかないので
出来れば女性のマリアには1番安全な部屋に居てもらいたい
昨日まではメインどころか、私の寝床は
応接室のソファだったのだが
護衛や侍女が付くとなればそうもいかない
部屋割りを断られる前に荷物を運び入れ
固定してしまいましょう!
「皆さん、荷物はどちらに?
今日中に運んでしまいましょう」
「は、はい
荷物は馬車に詰んだままで、
寮の裏側の馬車庫に有ります」
「では、明るい内に急ぎましょうか」
そう言って、我先にと踵をかえし扉に向う
扉を開けようと手を出すと、
いつの間に真横に!?ってずっと居たのか、、、、
扉を掴もうとした手は何故かカイトに握られ
カイトは反対の手で扉を開ける
「どうぞ、ライラお嬢様」
ニコッと音がしそうな微笑みを浮かべ
無自覚天然タラシのカイトはエスコートしていく
(計算か?計算なのか?)
瞳がキラキラしていて眩しい
世のお嬢様にとっては、目の保養なのかもしれないが
人間関係を築くのが苦手な私にはただただ眩しいばかりである