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閉じた世界の機甲兵  作者: ライザ
プロローグ
1/16

対外宇宙生命体決戦兵器


 ウェアとは、五十二年前に製造された対外宇宙生命体決戦兵器の総称だ。


 外宇宙生命体――突如襲来した、人とは異なる、しかし人型をした知的生命体。

 身体は100メートルほどの巨大なものでありながら、超常の反応速度。


 そして何より物質と反物質――物質の対となる存在――を自在に操るという、恐るべき存在だった。

 物質と反物質。この二つが反応を起こすと、対消滅という爆発現象が発生する。そのエネルギーは極めて膨大なものであり、外宇宙生命体は最大で核爆弾の数百倍のエネルギーを持つ対消滅を起こしたと言われている。


 同時に、外宇宙生命体はこの対消滅すらも無効化する特殊な粒子――ノヴァ粒子による肉体を兼ね備えていた。


 ノヴァ粒子は物質でも反物質でもない第三の「何か」だと言われている。この粒子に物質を反応させると、超量の反エネルギーを生成する。この反エネルギーとはその意の通り、マイナス側のエネルギーの事だ。

 ノヴァ粒子によって構成された外宇宙生命体は、あらゆるエネルギー兵器を無効化した。

 その当時の最高位エネルギー兵器、核兵器すらもこの反エネルギーによって消滅させ、外宇宙生命体は無敵の存在として人類を絶望の淵に叩き落とした。


 ウェアはその外宇宙生命体と対抗するために創られた、人類の最終兵器だった。


 現存兵器では対応できなかった外宇宙生命体の反応速度に対抗するため、高速反応と対応能力、そして直感性を高めた人型ボディと思考による感覚操作を備え。

 操縦者はウェアを身体そのものとして操作することで、肉体以上の高速反応と無尽蔵の動き、そして対応パターンを実現し。

 その操縦者の反応速度を極限まで上げるシステム――いわゆる薬物投与や機械化手術――を搭載。


 そしてその装甲はノヴァ粒子によって作られた、多層高位無化装甲によって構成されていた。

 多層高位無化装甲は、外宇宙生命体を解析した技術を用いて作られたものだ。

 装甲板の下にノヴァ粒子を仕込み、それを多層化してその層の数分、相手のエネルギー攻撃を消滅させる。回数制限こそあるものの、エネルギー兵器はこの装甲にてほぼ無力化することができる。

 もちろん、外宇宙生命体の操る対消滅すらも。


 人類はウェアにより、外宇宙生命体と初めて同じ土俵で戦えるようになったのだ


 そしてウェアの持つ装備には、外宇宙生命体の肉体を破壊する、ノヴァ粒子亜光速加速機が搭載されていた。


 ノヴァ粒子は亜光速でノヴァ粒子と衝突させると、物質と反物質を生成する。この物質と反物質が反応すると、対消滅――膨大な量のエネルギーが発生する。

 これを超至近距離で外宇宙生命体に直撃させ、膨大なエネルギーを――五十二年前に製造されていた核兵器のおよそ一万倍のエネルギーを与えると――ノヴァ粒子の生成する反エネルギー総量を越え、外宇宙生命体の肉体を破壊することができる。

 その際、周囲に対して大規模な余剰エネルギー爆発が発生する。しかし、亜光速で衝突したノヴァ粒子はこれらのエネルギーの発生の直後に閉じ込めていく。

 このノヴァ粒子の亜光速衝突による対消滅は、至近距離の物体を破壊しながらも、周囲に影響を与えることなく収束する。この宇宙に反したかのような、「ただ消滅させる」為だけの現状を引き起こすのだ。


 人類が生き残るために生み出した外宇宙との決戦兵器、ウェア。


 最強の鎧と無敵の矛、それまでの兵器を超常的に超えた究極の兵器。


 この鋼鉄の人型兵器により、人類は外宇宙生命体を退けて平和を手に入れた。


 その筈だった――


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