初見
昨晩の戦いでボロ雑巾になりかけた私だが、山盛りの夕飯といささかの惰眠によって今朝はオールグリーンにまで回復した。
揃って朝食をとったエリオットとフクイはどこかへ出かけ、足名稚さんは仕事へ。マーと青野は居間でゲームチューブを始めた。私の分のコントローラーはなさそうだ。気にしていないが。
先程まで電話で誰かと話していた大家さんが戻ってきた。
「ハカナちゃん。私たちも出かけようか」
大家さんは私をどこかへ連れていこうとしている。穀潰し二名についてはそのまま流すようだ。
「どこへ?」
「会ってほしい人がいるんだ。とりあえず駅に行こう」
マンションを出てすぐの上野駅、の前の巨大な歩道橋。平日だけあって人々が慌ただしく行き交う。さすがは大都会だ。
その中に大きなリュックを背負った黒人の大男。キョロキョロしながら何かを探している。とても怪しい。
「もしかしてあの人ですか」
気がつきたくなかったが気がついた。パンピーの中に体格の違う人間がいたら目立つにきまっている。
「そうそう。おーい」
大家さんが手を振るとその人物はこちらへ駆けてきた。
「斎藤さぁん。お久しぶりですぅ」
ねっとりとしてはいるが達者な日本語だ。
「うん。久しぶり。ハカナちゃん、この人がケアレ・スミスくんだ。彼はこの手のプロでね。今回ハカナちゃんの先生になってもらうことにした」
「先生?」
それにしてもこの男女三人は駅前の喧騒から相当浮いているのではないだろうか。いや、そんなことを気にしている暇はない。
「君がハカナちゃんかぃ? Nice to meet you.よろしく頼むよぉ」
スミスがこちらに手を差しのべてきた。こういう作法はきちんとしなければならないことぐらいわかる。
「よ、よろしく」
私の手の倍はある。自分の小ささを痛感させられてしまった。
「それじゃ早速特訓といこうかぁ。場ぁ所も考えてあるぅ」
スミスが言うには下に車を用意しているらしい。
降りてみればそこには見事なジープ。
「ささ、乗って乗って。場所については聞いてますしかっ飛ばしますよぉ!」
道交法の範囲でな。
「ここでやるのか?」
やって来たのは光が丘公園。
「これは私の提案なんだ。ここは特撮のメッカだからね」
「それは関係あるんですかぁ?」
たしかにこれだけ広い場所なら使用に堪えるとは思うが。
「とりあえず、まずはハカナちゃんの実力を見てやってくれないか?」
「分かりましたぁ」
そういうとスミスはいきなり戦闘の構えをとった。
「さあハカナちゃん、僕に君の実力を見せてくれぃ!」
こういう分かりやすいのは好きだ。ナマっている体が疼き始めた。




