霹靂
翌日。不安な夜を過ごした私達は役割を分担し、サバイバルに臨むことにした。
私は森の中で他の仲間の捜索。いっちゃんは食料調達および料理。アイは仲間が増えることを見越して、住居スペースの整備。
私が森に行くと言ったときには二人から止められたが、アイは私より怪我が重いし、いっちゃんはそもそも戦闘要員ではないしで許されたのだ。
「気を付けてね。何かあったらすぐ逃げるんだよ」
赤い果実を頬張りながらいっちゃんが言う。私とアイの分はないのか。
「分かってるって。アイ、そっちも気をつけろよ」
「おう。じゃ、俺はとりあえず薪を拾ってくるよ」
アイは意気揚々と歩き去る。いっちゃんが膝にテーピングしたため、いくらかましになったようだ。
再び森へ。収容所から逃げた者が他にもいるはずだ。昨日のスーツによれば私達を見つけ次第始末しようとする奴がほとんどらしい。早く見つけなければ。
「おっ」
そんなことを考えながらしばらく歩いたのち、シソ発見。昨日は持って帰れなかったので今日はたんまりと頂戴しよう。
歩いているうちに昨日襲われた場所に着いた。予想通りというか当然というかスーツはもういない。謎の頭痛から立ち直ったのだろう。
走り去ったもう一人の影が気になっているのだがあれは誰だったのだろう。
答えの出ない問に悩まされていても仕方ない。まずは仲間の保護だ。
「アイがいた方へ行ってみるかな」
誤解を避けるため言っておくが、私は独り言をペラペラやるような性格ではない。あくまでも冷静を保つため。分かってくれ。
そして腐った大木をくぐり抜けた先。
「嘘だろ……」
倒れている仲間を発見した。しかし、射殺死体という変わり果てた姿で、だ。
倒れている男女。二十人近くいるが、全員事切れている。遅かった。合流したはいいものの、鷹派の奴らに襲われて全滅させられたのだろう。
それぞれの遺体を触ってみるとまだ温かい。死後それほど経っていないと思われる。
「う……」
一人がうめき声をあげる。まだ彼は息があるようだ。
アイよりもっと幼い男子。苦悶の表情を浮かべ気を失っている。
「おい、大丈夫か!」
「……」
揺り起こそうとした私の手に血がついた。腰を撃たれている。急所から外れているため幸い息はあるがこのまま放置していては大変なことになる。
体が小さく軽そうだ。私一人で入江まで運べると思われる。




