表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
刹那と永劫の狭間に  作者: 吉岡 澪
叶わぬ願い
3/72

要塞

 古賀はタクシーから降り、とあるビルの前にやって来た。深夜にも関わらず光を放ち、凄まじい繁栄を思わせる。五十階建てのこの建物こそ彼の根城、ネット関係からのしあがってきた大企業ヤギシフ本社だ。

 

 ライトアップはされているが、昼間なら大きく書いてある『株式会社ヤギシフ』の文字がもっとよく見えたことだろう。

 エントランスの右手奥、関係者以外御法度の厳重なセキュリティをパスし、彼は高速エレベーターへ。上矢印のボタンを押して数秒後にオープン・ザ・セサミ。

 中には先客がいた。最近はとんと見なくなったエレベーターガール。日によってまったく違う制服を着用しているのが特徴的。

「古賀さん。お疲れ様です。上で社長と会長がお待ちです」


 最上階のボタンをプッシュしつつ古賀に話しかける。その声には抑揚が感じられない。


「今回は外れだったよ。ヤクの取引だってさ」

 

 聞かれていないにも関わらず返しつつ肩をすくめる。あてがはずれたのだろう。


「そうですか」


 淡白な対応。古賀はこのエレベーターガールが客の使うエレベーターにまわされない理由がなんとなく分かった。黙りこむ二人。その沈黙の間にもエレベーターは上昇を続ける。

 既にお分かりかと思うがこの男、古賀雄一郎は普通のサラリーマンではない。彼はこの会社の社長直属の御庭番衆なのだ。御庭番衆とは社会にその存在を知られていない隠密件武力行使の集団で、現在世界でそれを持つ大企業はヤギシフを入れて四つある。


 突然、エレベーターが止まる。体をくいっとひねられるような感覚。


「最上階、会長社長室です」


 到着したようだ。

「古賀です。ただいま戻りました」

 古賀はドアをノックし、ヤギシフの深奥へと入っていった。 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ