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刹那と永劫の狭間に  作者: 吉岡 澪
二人の少女
24/72

日常

 結局昨晩はD-14に付き合わされてしまった。

 つくづく私は押しに弱い。将来は押しに弱い者を巻き込む側に回りたいものだ。


 ぼやいているうちにもう朝。太陽が昇るのを待たずに一日の訓練は始まる。


 同じ部屋の面々と訓練前の朝礼に向かう。これは一種の儀式と思ってもらえると分かりやすいだろう。


「人数確認! 番号!」


 教官の号令で点呼が始まる。私の所属するHの組は全員揃っていた。ここ数年で十七人が消えたものの、人数は他の班にひけをとらない。平和だ。



 AからZの組のリーダーが教官に異常なしの報告をした。もし寝坊などで不在の者がいると、組全員の連帯責任になってしまうのだ。つくづく忌々しいシステムだ。


「今日の訓練を説明する! このあと地上に出て十五キロランニング。その後各部屋で暗号の講義。昼食を挟み午後からは実戦演習を行う。夕食のあとは兵法と医学の講義。射撃訓練を終えたら、就寝前に希望者は教養の講義だ」


 指示を一度で完全に頭に叩き込まなければならない。もちろん遅刻などもってのほか。食事抜きかつ追加でのきついトレーニングが待っている。


「各組のリーダー、人員にリングをつけろ!」


 ここでいうリングとは腕足首につける錘のこと。これを就寝前まで着けていなければならない。体を鍛えておかないとその重みで節々を痛めてしまう。私もここに来たばかりの頃は毎日痛みに泣かされたものだ。


「次、20番」


「はい! お願いします!」


 リーダーに両手両足と首にリングを着けてもらった。できれば着けたくないがゴネれば連帯責任である。集団主義が芽生える過程なのではないだろうか。


「それでは、はじめ!」


 地下にある収用所からおびただしい数の子供らが地上へわっと飛び出す。空からこの様子を見ている人がいたらさぞ驚いているだろう。


 しかし、のんきなことを考えている場合ではない。私もその一人にならなくては。


 重い手足を根性で奮い立たせ、私は地上へ駆け出した。


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