激戦
永劫たちの周囲に敵が詰めかけた。普通に考えると、絶望的な展開である。しかし、そう易々とメガエネルギーまで辿り着かせるわけにもいかない。
「まずは俺がいきます!」
敵の前に立ちふさがる、エリオットから発せられる重低音。これはユースタキー管と半規管に打撃を与える反則の攻撃だ。
永劫には再生の力があり、刹那には速さを操る力があるのでこの攻撃に巻き込まれることがないのだ。まさにこのチームにうってつけのフォーメーションである。
「ぐぁぁぁ!」
エリオットが発する音波に立っていられなくなり、悶絶する敵を刹那が掃討していく。速さの能力を使っているので軽く触れただけでも凄まじいインパクトが生じ、大きなダメージをその身体に与えるのだ。
刹那の猛攻撃により、敵の御庭番衆はあっという間に残り四人になった。残った彼らはA、ないしSの能力者なのだろう。
「ほう、ヤギシフの御庭番衆もなかなかやるな」
「噂には聞いていたが……これほどとは」
「これは本気を出してもよさそうですね」
「まぁ、メガエネルギーは頂いてくけどね」
それぞれRPGの中ボスキャラのようなことを口にする。形から入るのが御庭番衆の流儀のようだ。
「お前らは一人を相手にしろ! 俺が二人面倒見るから!」
永劫が指示を飛ばし、応戦の構えをとる。
刹那、エリオットも身構え相手の出方を伺う。
「じゃ、いくぞ」
敵が一気に間合いをつめ、襲いかかってきた。
永劫、刹那、エリオットそれぞれ一人ずつを相手取り、戦う。普通の格闘ではやや永劫たちが優勢なようだ。
その時、違和感を感じた。
「あれ、もう一人は……?」
ボディブローを決めたエリオットが疑問を口に。
「さあ? どこだろーな?」
その時、永劫は大変なことに気がついた。最初から敵はこれを狙っていたのだ。
「古賀! 敵だ! そっちにいった!」
永劫の声は貯蔵庫の中の古賀に届いた。しかし、それはどうでもいいことであった。背後にメガエネルギーというポジショニングをキープしつつ、古賀は冷や汗を垂らしていた。
「メガエネルギー、頂いてくよー」
すでに敵は貯蔵庫内に侵入し、古賀と対峙していたのだから。




