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デスティネーション・ユニバース  作者: 小田崎コウ
第二章
8/30

第八話

サモンさんがいい暴走っぷりですね。

左門さんだけに。豊作の方がビジュアルでは近いですが(笑)

「依頼内容は、西の鉱山に住み着いたオークのせん滅ですか。期間は十日で基本報酬が銀貨三百枚で、オーク一匹あたりが銀貨五十枚……これって、いい条件なんですかね?」

 オレの宿の部屋で、サモンさんが持って来た依頼書に目を通して、疑問点を口にした。

「四人ぐらいで受けても、取り分は相当なもんだわな。二人で受けたら、オークが十匹いたとして、一人銀貨四百枚って寸法よ」

 なぁんか、調子が良すぎて心配なんだけど、大丈夫かな。取らぬタヌキのなんとやらにならないといいけど。

「オークって、ゴブリンより強いんですか?」

「そうさな……オークには戦士しかいないから、囲まれでもしない限りは大丈夫だわな」

 まぁ、たしかにアーチャーやシャーマンとかがいるゴブリンよりかは対処しやすいかも。

「けど、サモンさんは石弓ですよね。洞穴の中ではあまり向かないような気もしますが」

「心配するねぃ! 見ての通り、先祖伝来のファルシオンだって、結構な腕前だぜぃ?」

 サモンさんは、さやから幅広の刀を抜いて、豪快に笑った。

「熟練の戦士のサモンさんに言うのもなんですけど……オレが一番恐れているのは、サモンさんが敵の群れに突っ込んでいって、攻撃魔法がかけられないって状況なんですよ」

 オレは少しためらったのち、サモンさんへの説明を始めた。

「そうさなぁ……ストレイン殿の邪魔をするんじゃぁ、意味がないし、その間に背後の敵から……なんて事になったら、申し訳が立たねぇよな」

 どうにかわかってくれたみたいだけど、実際の戦闘でもその理性を働かせてくれるといいな。

「なので、正面の敵についてはオレに任せて欲しいんです。うっかり前をさえぎると、炎の矢で炎上しちゃいますから」

「そりゃぁ、ぞっとしねえな。じゃあ、側面や背後の心配がなければ、石弓でサポート。でなきゃファルシオンで側面や背後の警戒をすればいいってこったな!」

 意外といってはなんだけど、物わかりがよくて助かるなぁ。って、オレより経験ははるかに豊富なはずだよね。

「ええ。その方針でお願いします」

「じゃあ、この依頼を正式に受けに行こうぜ。善は急げだ!」

 オレは、手早に荷物をまとめて、一足早く駆け出したサモンさんのあとを追いかけた。



「なんだか、とりでみたいになってるんですけど、話が違いませんかね?」

「うぅむ……。二人ではちと無理があったかもしらんな……」

 正式に依頼を受けて、三時間ほどかけて鉱山の入り口にたどり着いたんだけど、オークが四匹ほど砦のような物を築いて待ち受けていたのだ。

「あっそうそう。火の球の魔法がどうとか言ってたけど、片方の耳を持っていかないと金になんねぇから、気をつけてくだせぇ」

 そんな心配をしている場合じゃないと思うんだけど。

「うーん。最初の四匹を倒したあとは、この場所から、魔物が飛び出て来るのを撃退し続ける方針にしますか。どうしても無理なようなら、指示するんで、撤退してください」

 七レベルになったら炎の柱が使えるようになるから、こういう状況ではとても有利なんだけどね。

「それじゃ、あの線までは石弓で。線を越えたらファルシオンでお願いしますね」

「がってんだ! いつでもいいですぜ」

 返事はいいんだけど、大丈夫かなぁ……。

「じゃあ行きます……炎の精霊よ……我に力を与えたまえ……ファイヤーボール!」

 オレは多めに魔力を注いだファイヤーボールを、砦のど真ん中に向けて放って、さく裂させた。


「フォゲッチャァ!」

 オークは全身に炎を浴びて、奇妙な悲鳴を上げて絶命した。

「うわ……こんがり焼きすぎですぜ? 耳が残ってたらいいんだけどなぁ……」

「次が来ます! ファイヤーアロー!」

 一匹のオークが飛び出て来たが、オレは念のため三本の火の矢を顕現させて、そのうちの一本を飛び出して来たオークへと放ち、命中させた。


「ビルギェーグァー! ゲレッ!」

 続いて二匹のオークが曲刀を手に飛び出して来たので、火の矢を一本づつ放ち、命中させた。

「オンドゥレェッ……」

 だが、一匹は当たり所が悪かったのか、半身を燃やしながらも、こちらに突っ込んで来ていた。

「あっしにお任せを! せやっ!」

 次の瞬間、サモンさんの放った石弓の矢がオークの頭部に突きたって絶命した。

「いよいしょーっ……まだ敵は出てきやせんかい?」

 サモンさんは石弓のつるに足をかけて、装てんしていた。

「さすがに学習したみたいですね。のこのこ入っていったら、危ない気もしますが……」

「じゃあ、あっしが入り口のところで番をしますから、オークの耳の回収をお願いしやす!」

 サモンさんは石弓を腰のフックにかけて、丸盾を拾い、ファルシオンを抜いて、入り口を確保した。

「了解です。右耳でしたっけ……」

 オレは、アルケイン氏にもらった魔法の短剣で、オークの耳をそいでまわった。

 お兄さんからもらった部族の証明の短刀を使う気にはならなかったからだ。


「七匹分、なんとか回収できましたけど、まだ出て来る気配はないですかね?」

 オレはオークの耳を、アルミラさんが用意してくれた大袋に入れて、腰のベルトにくくりつけた。

「うーん……中で待ち受けている気配はあるんだが、待ち伏せする作戦を変えるとは思えねぇなぁ……」

 サモンさんは、盾をかまえる腕に力を込めながら、オレに状況を説明してくれた。

 うーん。FPSなら手榴弾でも放り込むところなんだけど、火の元素魔術とはいえ、そんな魔法は……ん?

「あの、サモンさん……。完全に燃やし尽くしてもいいのなら、待ち伏せているオークをなんとかする方法があるんですけど、どうします?」

「ほぇー……そんな方法があるんですかい?」

 サモンさんは、目を丸くしてオレに問い返して来た。

「えぇ……魔力をそれなりに使う事にはなりますけど」

 少し強めのファイヤーボールと、三本の火の矢で使った魔力分は、すでにほとんど回復してしまっていた。

「あっしのカンでは、中で待ち伏せしてるのは、三匹ってところですな。このまま突入するんじゃあぶねえし、銀貨百五十枚はあきらめまさぁ……」

「良かった。じゃあ、合図をしたら横にどいてください。少し詠唱に時間をかけます」

「がってんだ!」

「炎の精霊よ……。闇をはらう剣となりて、眼前の敵を打ち払いたまえ――」

 オレは高速詠唱ではなく、発動までに時間はかかるが最大の火力が得られる精密詠唱で精神を集中させながら、魔法を顕現させるための魔力プールとでもいうべき場所に、ファイヤーボール四回分ほどの魔力をつぎ込んでいった。

「いまです! ファイヤーボール!」

 サモンさんが横に飛びのいた次の瞬間、オレは巨大な火の球を顕現させて、洞穴の中へと飛翔させて、破裂させた。

「うぉっと!」

 オレも即座にその場を待避したが、少し遅いと前髪を焼いてしまうかもしれないほどの火力だった。

「とんでもねぇ……。魔法には詳しくねえ、あっしでもわかりますぜぇ……。中のオークどもを蒸し焼きにしちまったんですな?」

 ファイヤーボールが破裂した瞬間の地響きのような音と熱風に、さすがのサモンさんも、おびえているようだった。


「はてさて、蒸し焼きか、骨しか残らないのか、オレにも分からないんですけど……ちょっと想定以上でしたね」

 洞穴の中にそこそこ巨大な空間があるのは音の反響で分かっていたので、その空間を炎で満たしてしまったんだけど、それでも魔力は四分の一ぐらいしか減っていないんだよね。火力偏向にも程があるっていうか危なすぎる。



ただでさえ火力特化しているのに、魔力を大量に注ぎ込める仕様なので。

まぁ、まだまだ常識的な強さにしてますが、

まだ五レベルなので、これからだと思います。


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