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デスティネーション・ユニバース  作者: 小田崎コウ
第二章
7/30

第七話

やけに反応がいいと思ったら昨日は祝日でした(汗



01/16 ×ドモン ○モンド の修正。

   VRMMOファイトレディGOになるところでした。

「隊商ギルドと、警備隊に話を通しておく。大通りに酒場があるから、仕事を探してみるんだな」

 そう言って、お兄さんはオレに握手を求めてくれた。

「ありがとうございます……って、いてて」

 想像以上の握力に悲鳴を上げると、お兄さんは笑みを浮かべて、先に町の中へと入っていった。


「さてと……。財布が流されなかったのは、助かったよな」

 保存食や寝具の入っていた大袋は川で失ってしまったが、財布はしっかりと固定していたので、当面の費用の心配はなかった。




「止まれ! 見かけない顔だが、何者だ!」

 ゆっくりと町の入り口に近づいて行くと、石弓を手にした民兵がやぐらの上から警戒し、やりを手にした民兵がオレに誰何すいかした。

「オレは、冒険者のストレインだ! 先ほど、口添えがあったと思うんだが……」

 そういえば、お兄さんの名前を聞くのを失念していたな。


「異世界の冒険者ならば、腕輪を見せろ!」

「わかりました!」

 オレは服のすそをめくって、魔法の腕輪を民兵に見えるようにした。

「うむ……聞いてはいるが、一応な。通ってよし!」

 かなりよそ者にたいする警戒が過剰なような気がするんだけど、これが普通なのかもしれないな。


「まずは酒場にいって、情報収集かな。仕事の依頼とかあればいいんだけど……」

 オレは大通りをきょろきょろと眺めながら歩いていった。



「ここだな。わかりやすくていいな……」

 ビアジョッキの看板が出た、二階建ての建物を発見し、オレはドアを開けて中に入っていった。



「だから、早く仲間のかたきを討ってくれよ! 放置しておけば、この町にゴブリンが攻め込んで来るかもしれないんだぜ?」

 酒場に入ると、大きいビアジョッキを手にして、すっかり酔いつぶれた男性が、周囲の人間にげきを発していた。

「もしかして、あんた……エセルティ商会の!」

 横顔に見覚えがあったので、注視して見ると、いろいろと世話をしてくれた軽戦士だという事に気づいた。

「そうだが、それがどうかした……。うぉい! おまえ、生きていたのかよぉっ!」

 軽戦士……そういえば、彼の名前も聞いていなかったな。彼は、オレの登場に心底驚き、生きていた事を喜んでくれた。

「ええ! おかげさまで、ミグラの村をゴブリンの群れから守る事ができました!」

「なんだって? ゴブリンの群れを撃退したって? あそこにはたいした戦力もないのに、たいしたもんだが……」

「ええ……あなたの機転で、第一報を知らせる事ができたからだと思いますよ!」

 まぁ、オレが倒したと言っても信じてもらえるかは分からないんだけど……。

「街道を歩いて来たのかい? なら、ゴブリンの姿を見なかったのかい?」

「その……ゴブリンはすべて、倒してしまったんですけど……」

 オレは、ほおを指でぽりぽりとかきながら、報告した。

「なぬぅ? あんだけいたゴブリンを? あぁ、あんたのお仲間が村に残っていたのかい……それにしても、たいしたもんだが……」

「なんだ、サモン……。まだ、こんなところで酒を飲んで、くだを巻いていたのか」

 酒場の扉が開き、聞き覚えのある声に、オレは振り向いた。

「えぇと、たしかモンドさん! 生きていたんですか?」

「おお! あんたか! 話には聞いたが、あんたがそこまでの魔術師だったとは」

「どういう事なんです? モンドさん……」

「落ち着いた場所で話した方がいいだろう……」

 モンドさんの後ろにはお兄さんの姿があり、どうやらすでにオレの事を話しているようだった。



「じゃあ、あれですかい? オレたちを襲い、仲間を殺したゴブリンの群れを、このあんちゃんが魔法でなぎ倒したってかい?」

 隊商ギルドの会議室に場所を移して状況の説明をしてくれたんだけど、軽戦士のサモンさんは目を丸くしてしまっていた。

「村民や、村にいた冒険者も奮戦していたが、ストレインがいなければ、支えきれなかった事は、保証する――」

 お兄さんは胸を張って、オレの肩をたたいてくれた。

「別れた時点では、まだ魔法が使えなかったんですけど……ゴブリンから逃げる途中でおぼれてしまって、彼と妹さんの住む、少数部族の村で助けてもらったんです」

「呪術師でもある妹が、精霊との契約方法を教えた結果、炎の魔法が使えるようになったそうだ……」

 オレの言葉だけでは信頼性に欠けるのを、お兄さんがフォローしてくれていた。

「それで、村に駆けつけて、襲ってくるゴブリンを魔法でねぇ……。つまり、仲間のかたきも取ってくれたって事だよなぁ」

 サモンさんは、目尻から大量の涙をあふれさせながら、何度もうなずいていた。

「次はこの町じゃないかと、警戒していたんだが、まさかそのような事になっていたとは」

 モンドさんは荷物を焼かれ、大量の部下を死なせてしまったせいもあり、重い表情を浮かべていた。




「それで、このあたりで冒険者の仕事を探すために、送って来てもらったんですよ……」

 アルミラさんとの関係にはあまり触れず、なんとか現在の状態に至るまでの説明をする事ができた。

「ようがす! そういう事なら、このサモンが、ストレイン殿の面倒を見まさぁ!」

「ええっ? いつ、そんな話になったのかな……」

 サモンさんのまさかの同行の申し出に、オレは心底驚いてしまっていた。

「モンドのだんなは、一度本部まで報告しないといけないが、隊商を再結成するまでは、おれも稼ぎ口を見つけないといけなかったし、なにより仲間のかたきを討ってくれたストレイン殿に恩を返さないだなんて事はできねえ!」

 サモンさんの中では、すでに結論がでてるみたいなんだけど、いいのかな。

「ふむぅ……ゴブリンの群れがいないのなら、本部までは一人で帰る事ができるし、ストレイン殿への恩義を考えると、それはいい案かもしれないな」

 モンドさんまで、それを後押しするような事を言い始めた。

「ふむ。ひとかどの魔術師とはいえ、まだまだ経験不足だし、護衛が必要なのは否めない。三か月のあいだ同行してくれるのなら、わたしとしてもありがたい」

 お兄さんまで、その方向性で結論だしちゃったけど、いいのかな。まぁ、詠唱する間とか、複数の敵が同時とかだとヤバいし、生存率を上げるためなら……。

「わかりました。三か月の期間限定で同行をお願いします」

 オレが無事帰らないと、アルミラさんを悲しませてしまう……。その悲劇をを避けるためなら、協力してもらうべきだとオレは決断した。

「三か月か……そのころには、新たな隊商を組む事ができるようになるだろう。向こう見ずでケンカっ早いが、情には厚いヤツなんで、サモンの事をよろしく頼む」

 モンドさんは、オレに右手を差し出してくれた。

「ありがとうございます! 背後を守ってくれる人がいれば、魔術師として、これだけ心強い事はないです」

「よっしゃあ! そうとなれば、酒場に戻って、とむらい酒と、固めの杯としゃれこもうぜ!」

「わ、わかりましたから、強引に引きずらないでください」

 オレはモンドさんと兄さんに手を振って、一時の別れを告げて、酒場へと強制連行されていった。



「ふぅ……昨日は飲み過ぎた。こんなに飲んだのは、新歓コンパ以来だな」

 到着したのが夕方だったせいもあり、酒の肴を夕食にして、そのあとサモンさんと同じ宿に部屋を取ったんだけど……。

「気持ち悪い……」

 もう成人してはいるんだけど、ふだんはあまり酒を飲む習慣がないからなぁ。


「いよう! まだ寝てんのか? いい仕事があったから、押さえておいたぜ!」

 サモンさんの大声にオレは頭を抱えた。


今回は戦闘もないので、

夕方にもう一話追加する予定です。

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