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Future  作者: 八雲
6/12

第六話 ようやくの我が家

「……ここ」


「おぉ、ここか」


目の前にある2階建てと思われる家…どうやらここがしばらく世話になる家らしい


普通の家というか、一人で住むにはもったいないくらいの…よく考えれば、どうしてこの家に住めるのかわからない


まぁなんか、何か出てくるとかいわくつきなんだろう


まぁそれは置いといて、



「今日はありがとうな」


ひとまず、こいつには礼を言っておかなくてはならない

こいつがいなかったらきっと今頃、山の中をさ迷っていただろう


「………」


コクン


蓮が頷く

『気にするな』ということか



「せっかくだし、家に寄ってくか?まぁ、まだ俺も入ったことないんだけど」


「いい」


なんか、今までより返答が早かった気もするが、まぁなんというか、もう遅いしこいつには悪いな



「というか、こんな時間まで悪かったな」


「……………大丈夫…じゃあ、私は帰るから」


「あ、そうだよな、早く帰んないと」


腕時計に目をやる

もう夜の9時…

こいつのご両親、心配しているだろうな…

んー、やっぱ謝っといたほうがいいな…

となると、電話番号聞いとこうかな


「なぁ、お前ん家の………ってあれ?」



そこに蓮はもういなかった



………………。


「まぁ、無口で不思議なやつだったな…」


彼女がいなくなった先を見る

そこはもう真っ暗な闇だった


さすがに立ち止まっていると、寒いな…


そう思い、早速家のなかに入った
















「広すぎだろ……」


ちなみにここは一階のリビング

先程漏らした言葉のように、目の前には一人で住むにはもったいないくらいの部屋が広がっていた


テレビやクーラー、ソファーなど、一人で生きていくには十分過ぎるくらいに揃っている



外観を見たとき、家の中が残念なのか、とか思っていたが、全くそうではなかった


まぁ、いいか、とにかく、これはもう両親に感謝せざるおえないな


プルルルル………


どこからか電話の音

あ、廊下にあったやつか


「もしもし…神崎ですが」


「あ、兄貴やっと出た」


電話の先からどこか聞き覚えのある声がした


「おー、お前か…えっと………」


ながれだよ、ったく覚えろよな」


あぁ、そうだった

神崎流…

確か2歳下の俺の弟だ

顔よし、勉強よし、スポーツよしの三拍子揃った男である

俺が彼に勝るものは多分年齢以外何もない

ってことを彼に話すといつも「兄貴には勝てねぇから」と謙虚さを示している

それも、彼の売りだと思う



「いやーすまんな、流ってなんか覚えにくくて」


「はぁ、馬鹿兄貴が」


「すまんすまん」


「まぁいいよ別に、仕方ないことだし、んで、それは置いといて」


「何?」


「兄貴、今までなにやってたんだよ」


「うん?あーそうそう、道に迷ってたんだよ」


「は!?ならなんで、連絡しなかったんだよ」


「連絡?」


「そ、携帯持ってんだろ」


「………携帯………………、あ」


そうだった……

俺携帯持ってたんだ

すっかり存在を忘れていた


「はぁ、馬鹿兄貴」


「まぁ、いいじゃん、家にもついたし…というか、この家一体どうしたの?」


先程から疑問に思っていたことを投げかける


「へぇ、そんなにすごいんだ〜」


「凄すぎるもなにも、母さんたちがこの家用意したのか?」


「まぁ、そうだよ〜。父さんの知り合いに別荘貸してくれるって言う人がいたらいんだよ、確か………宝生氏だったかな」


宝生氏………

いかにも金持ちっぽい苗字だ

でも、なるほど、やっとこんなもったいない家に住めることに納得がいった


ありがとう、宝生さん



「ところでさ、兄貴、道に迷ったとしても結構遅くないか?」


「まぁ、ある意味特殊な迷い方だったしな、山の中に入ったりと…」


「はぁ?あの辺りにそんなに深く迷うとこなんてあったか?」


あ、そうか

こいつもこの町にきてたんだっけ…俺と一緒に……

うん?

……ってことは…


「なぁ、流」


「あ?」


「水上蓮ってやつ知ってるか?」


「……水上……蓮か……」


会話が途切れる

向こうで流が昔の記憶をたどっているのだろう

まぁでも、蓮は俺と交流が深かったと言っていたし、もしも、流が俺についてきてたなら蓮のことも知っているはずだ



「知らないな」


「え」


返されたのはあまり期待していなかった答えだった


「んじゃ兄貴、もう遅いし切るぞ」


「あ、あぁ」


「あ、そうだ…明日から学校だってこと忘れんなよ」


え、学校?

あっ、そうか…

俺は一高校生だった……危ない危ない


「了解、じゃあな」


「あぁ」



そして、電話が切れる


さて、今日はもう遅いし、風呂入って寝るか













「げ」


風呂から上がって

まだ解体していない山積みの荷物の中から布団を取り出し、ベットメイクした後、ベットダイブをして携帯を開くと、大量の不在着信とメールがきていた

全て、両親や流からのもので、時々クラスメイトとおぼしきやつらからだった


しかし、今日の疲れから襲ってくる睡魔には勝てず、それら全てを確認する暇もなく俺は意識を手放した




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