表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Future  作者: 八雲
5/12

第五話 蓮と道案内

聞くところによると、隣を歩く少女、水上 蓮は俺が中学3年で卒業するまでの幼なじみだったようだ

俺達はそれなりに交流が深く、いつも一緒だったという

もちろん記憶にはないが、あまり人と話すのが苦手らしいこの少女と何の抵抗もなく話せるところは、どこかしら自分の身で覚えているのだろう

そう思うと何となく、記憶のない俺にとって俺という存在を認識できて安心する

「あ、そういえば、俺、お前のことなんて読んでたんだ?」


「………蓮」


「蓮か……じゃあ、そう呼んでいいかな……あ」


言ってしまって、気づく

こいつに関わるのもこれが最後なのかもしれないと

所詮は昔の知り合い、故人だ

もう一緒にいるという理由がないのなら……


…………


でも………俺は…



「隼人」


「……え」


「…………蓮でいい」


「あ………」


辺りが暗くて彼女の顔はよく見えないが、少し笑っているような気がした


そうか、別にそんなこと気にしなくていいか



「んじゃ、蓮って呼ぶな」


「…………」


「ところでさ、後、どのくらい歩けばいいんだ?」


「……………」


「…………」


「……ほんとうに覚えてないの?」


「……あのなぁ」



やれやれ、まだ疑われていたらしい

まぁいいか、正直俺がその立場に立ったら絶対に信じないし



「後、20分ぐらい歩く」


「え、割と近いんだ」


「…普通はあんなところ行かない」


「そら、すみません」


まぁ、確かに案内されると確かに道的にどおってことない

要は俺が方向音痴だってことだった




















ようやく人が通りそうな道路にでる

夜だったため、人はおろか、車すらも全くいなかった



「なるほど、俺はここで道を間違えたのか」


そこには神社があり、アスファルトの道とそれを外れるもう一つの細い道があった


どうやら俺は後者の道を進んでいたようだ


「…………って、俺なんでこっちの道に進んだんだろう……」


「………さぁ?」


はぁ、やっぱり無駄に動いてたか…


よくわからない自分の行動に疑問を持ちつつ、俺は隣を歩く少女を見て


「蓮」


と、少女の名を呼んだ


「………何?」


「いや、呼んだだけ」


「…………………」


「………………そう」



やっぱり名前で呼ぶことにあまり抵抗は感じなかった

それに応答する蓮もまたしかり




「もうすぐ着く」


「お、そうか、よかった」


どうやらもうすぐ着くようだ

この町について6時間近く

正直、もう勘弁してほしい……

心からそう思った一日だった





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ