第一話 未来を視る少年
どうも、八雲です(^-^)/
初の小説なので、結構至らない点もございますが、気にせず読んでもらえると幸いです
それではよろしくお願いします。
一面に広がる赤
全てが赤に染まってしまったのだろうか
なにも聞こえない
なにも感じない
ただ赤い何かだけは見えている
それは、俺自身まで赤で染めてしまうかのように、俺を飲み込み始めた
俺は、どうなったのだろうか
生きている、それとも死んでいる?
…これから、どうすればいいのか
あぁ、それならわかるか…
視ればいいんだ
そうすれば全てが終わる
また大切な仲間たちに楽しい日々が訪れる
そして『彼女』も救われる
………
でも…俺はきっと……
俺はきっとまた大切なものたちを…
真っ赤な視界がぼやけてくる
いい加減疲れてきた…
肉体的にも…精神的にも
もう手遅れなのかも知れない…
そんな言葉が脳裏を過ぎったとき、さきほど以上にまぶたが重くなった
もうなにも視えなくなりそうだ
いや、駄目だ
このままじゃ…!?
俺は最後の力を振り絞り目をわずかに開いた
同時にまたあの忌まわしい光景が目に映る
赤い…
赤い……
赤い………
赤く染められた風景
それは同じように、悲しみで充たされていた
そして、その救いようのない悲しみの中心に
『少年』がいた...
「……ん?」
ガタンという衝撃音で意識が引き戻される
「どこだ…ここ……」
辺りを見回す
そしてすぐに思いあたった
………バスの中だ
「あぁ、そうか…」
それと同時にだんだんとこれまでの経緯が思い出される
俺はわけあって親元を離れて、ある小さな町に住むことになったのだ
そして、今日がその引っ越しの日で、俺は電車やバスを乗り継いで…
今は最後の乗り継ぎのバスに乗ってたんだ
我ながら、なんでこんなに何度も公共交通機関を乗り継いでるんだろう…って思えてくる
とにかく、俺はその疲れで眠っていたらしい
「…んしょ」
傾きすぎた体をもとの体勢に戻そうとする
……体の節々が痛い
どうやらものすごく悪い体勢で寝ていたらしい
俺はそんな自分の体を労るようにゆっくりと体勢を戻しながら、窓の外を眺めた
………俺のもといたところに比べるとはるかに自然あふれている
どんだけ、ど田舎なんだよ…
さすがにたくさん乗り継いできただけある
それにこのバスにはあまり客も乗ってないし…
視線を窓の外に戻す
あふれる自然の中に一つの小さな町が見えた
多分…あそこが俺の新しい生活の場となるのだろう
いつか実家に帰ってきたときに、あっちの環境に適応できなくなってしまうかもしれないな
他にもいろいろとあほ地味たことを考えながら、町までのひと時をのんびりと過ごした
やがて、バスのアナウンスが町の近くのバス停の名前をコールする
俺は半ば新しい生活の始まりにワクワクしながら、荷物を持ち上げた
…バスを降りる
外はまだ9月だとは思わせないほどの日差しが照り付け、非常に暑かった
「……暑い…」
今年も秋がくるのはまだまだ先のようだ
…というかここまで暑いとさすが地球温暖化を心配してしまう
まぁ、ここにつったってても汗かくだけだ
動いてしまおう
俺は我が家と御対面すべく、歩きだした
そういえば、どうして俺が親元を離れて、この小さな町で暮らすことになったのか…ということを先に説明しておかなければならない
説明するポイントとしては2つあるがまずは軽い自己紹介をしよう
俺の名前は、神崎 隼人
歳は今年で17歳、つまりは高校2年生だ
聞くところによると勉強も運動もまぁ人並み以上にはできていたらしい
部活は特に所属しておらず、習い事等は何もしていない
ただ、男女問わずそれなりには人気があったが、彼女はいなかったとのこと
…まぁもうお分かりかも知れないが、俺は今前の記憶を忘れている
いわゆる記憶喪失だ
これがポイント一つ目
今だからこそこんなに簡単に言えているが、それが発覚したときはかなり大変だった
疑われるのはもちろんのこと、非常に心配されたり、興味津々にしつこく事の次第を聞いてきたり、俺の情報についてわざとガセを植え付けてきたりと…
しかたがないことだけど、正直、あっちにいづらくなってしまった
周りは俺のことを知っていて、当の本人がそれを知らない…というもんだから毎日毎日どこか奇妙な感じを受けていた
しかし、そんな記憶喪失の俺が何故か覚えていたことがあった
それは、『未来』を視ることができること
これが二つ目のポイントだ
見える未来はこれから少し先に起こることや、1時間後、2日後先…まぁだいたい試したことのある範囲ではそのくらいなら見ることができる
記憶を失っても、俺にはそういう力があるとかそれの使い方は不思議と覚えていた
ただ、この力がどうして俺に備わっていたのかといったことは覚えていなかった
そして俺は、記憶喪失になったあと、この力を解決の手がかりになるのではないかと使ってみたところ、ある一つの町が見えたのだ
その後両親に見た町のことについて聞いてみたところ、その町は俺が中学の頃まで夏休みの時などによく遊びに来ていたところらしい
なんとも都合がいいなと思いながら、その町に妙に親近感を覚えた俺は両親に無理だと思っていたが、その町でしばらく暮らしたいということを申しでると見事、了承をくれた
というわけで、その町、つまりこの町で暮らすことになったのだった