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うさたんのやきそばSHOP

作者: 魚の卵

数年前に絵本を作るために書いたものですが、今回挿絵はありません。

ご了承ください。

 ここはどうぶつ島のどうぶつ村

 ここではどうぶつたちがのんびりと暮らしています。さて、そのどうぶつ村で今大繁盛しているお店がありました。

 『うさたんのやきそばSHOP』です。

 そこの焼きそばは一口食べれば、ほっぺがおちて、二口食べれば翼が生えたようにふわふわと浮いて、三口食べれば天国まで行ってしまうのです。

 それが噂になっていつもお店は大忙し。

 店長のうさたんは休みもなく働いていました。

 そんなうさたんを嫌っている女性がいました。

 となり町でうさたんのように焼きそば屋を経営しているくまたんです。

 実はうさたんの店が繁盛しているせいで彼女の店にはお客さんが入らなくなってしまったのです。だからくまたんはうさたんのやきそばSHOPを見るたびにとても腹が立ちました。

 


 そんなある日変わったお客さんがやって来ました。

 湖に住むかっぱの王様です。うさたんのやきそばSHOPの噂を聞いて、わざわざ1日かけて来たというのです。

 うさたんは早速焼きそばを作ろうとしました。

 ところがどうしたことでしょう。

 冷蔵庫には焼きそばに使う野菜が全くありません。

 実は昨日の夜、お店にくまたんが忍び込んで全部盗んでいってしまったのです。

 これではいつものおいしい焼きそばを作ることが出来ません。

 うさたんが困っていると待ちきれなくなったかっぱの王様は怒りだしました。

「焼きそばはまだかっぱ?さっさと用意するかっぱよ」

 ちょうどその時誰かがお店に訪ねて来ました。

 たぬきさんちの奥さんです。奥さんは手にたくさんの野菜を持っています。

「野菜がなくて困ってるのならどうぞこれを使って」

「ありがとうございます……。でもどうして野菜をくれるのですか」

 するとたぬきさんちの奥さんはこう言いました。

「先日わたし風邪をひいたの。でもあなたが作った焼きそばを食べたら元気になったの。だからこれはその時のお礼よ」

 うさたんはたぬきさんちの奥さんの野菜を使って焼きそばを作りました。

 それはとってもおいしかったので、かっぱの王様は大変満足して帰って行きました。

 


 次の日、また変わったお客さんがやって来ました。

 火山に住むドラゴンの王様とその家族です。

 どうやらかっぱの王様から話を聞いて来たというのです。

 うさたんは早速焼きそばを作ろうとしました。

 ところがどうしたことでしょう。

 海の向こうから取り寄せている秘伝のソースがありません。

 実は昨日の夜、お店にくまたんが忍び込んで全部盗んでいってしまったのです。

 これではいつものおいしい焼きそばを作ることが出来ません。

 うさたんが困っていると待ちきれなくなったドラゴンの王様は怒りだしました。

「焼きそばはまだ出来んのか?もう待ちきれん。わしは帰る」

 ちょうどその時誰かがお店に訪ねて来ました。

 渡り鳥のつばめちゃんです。つばめちゃんは手に秘伝のソースを持っています。

「ソースがなくて困ってるのならどうぞこれを使って」

「ありがとう、つばめちゃん。でもどうして秘伝のソースをわざわざ持ってきてくれたの?」

 すると渡り鳥のつばめちゃんはこう言いました。

「この前の秋にあたい南の国まで飛んで行ったでしょ。その途中であたいとっても疲れちゃって無事に着けないかもしれなかったの。でもねうさたんさんが持たせてくれた焼きそばを途中で食べたらとっても元気になって無事に南の国まで行けたのよ。だから今日はあたいがうさたんさんのために秘伝のソースを持ってきたの」

 うさたんは渡り鳥のつばめちゃんが持ってきてくれた秘伝のソースを使って焼きそばを作りました。

 それはとってもおいしかったので、ドラゴンの王様とその家族は大変満足して帰って行きました。

 


 次の日、またまた変わったお客さんがやって来ました。

 はるか高い空の上に住む不死鳥です。

 どうやら毎日お客さんでにぎわっているのを空の上から見て気になったので来たというのです。

 うさたんは早速焼きそばを作ろうとしました。

 ところがどうしたことでしょう。

 機械が壊れていて台所の火がつきません。

 実は昨日の夜、お店にくまたんが忍び込んで機械を壊してしまったのです。

 これではいつものおいしい焼きそばを作ることが出来ません。

 うさたんが困っていると待ちきれなくなった不死鳥は大きなため息をつきました。

「焼きそばはまだなのでしょうか?人気のあるお店のようですが、所詮この程度のようですね」

 ちょうどその時誰かがお店に訪ねて来ました。

 昨日ドラゴンの王様と一緒に焼きそばを食べに来たドラゴンの王子様です。

「火がつかなくて困ってるんでしょ。だったらぼくが吐く炎を使って」

「ありがとう、ドラゴンの王子様。でもどうしてわざわざ来てくれたの?」

 するとドラゴンの王子様はこう言いました。

「昨日ぼくお姉さんの焼きそば食べておいしくて感動したんだ。お姉さんの焼きそばは世界一だよ。だからぼくもっといろんなひとにお姉さんの焼きそばを食べてもらいたいんだ」

 うさたんはドラゴンの王子様が吐く炎を使って焼きそばを作りました。

 それはとてもおいしかったので、不死鳥は大変満足しました。

 そして帰る前にうさたんにこんなことを言いました。

「あなたが作る焼きそばはとても素晴らしいわ。そうおいしいだけじゃなくてひとを虜にする何かがあるのよ。ごちそうさま、うさたん。また食べに来るわ」

 


 次の日、うさたんのやきそばSHOPにはいつも以上にお客さんがやって来ました。

 どうやら不死鳥も認めた味だという噂が島中にひろまったようです。

 うさたんは今日もまた大忙しです。


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