判断を血液で
血液型は4種類、でも性格は多種多様、今回はそんな話。
A型・几帳面
B型・マイペース
O型・大雑把
AB型・変わり者
よく、血液型で性格を判断されるが、中には全くあってない人だっていると思う。
何故なら俺はA型だがマイペースで、知り合いにO型だが凄い几帳面がいるからだ。
いったい何を考えて性格を当てはめたのか、そういう本を読む度に思う。
「いったいどうやって決めたんだろうな……」
「さぁな、だがこれだけは言わせてもらおうか」
「え……?」
声が聞こえた。おかしい、部屋の中には俺しかいない筈だが。
「こっちだ」
声は扉の方から聞こえた。見るとそこには、
「……誰だ?」
妙な格好の奴がいた。
赤やら青やら、目が痛くなるようなカラフルを筆で塗りたくったような服を来て、逆に白と黒だけの帽子を被っている。
「血液型で性格を判断するのは、言わば当てはめだ」
無視かよ。
「詳しく調べれば分かるが、どれにおいても全てに当てはまるような意味が置かれている。つまりはどこにどうなろうとどれかは当てはまるのだよ」
「……」
確かにそうかもしれない。見る物が変わる度に同じようなことも書かれているがそうじゃないことも書いてある。
「キミはどうだ? 自分の血液型がその性格に合っていると思うかな?」
「いや、全く思わない」
何故なら俺が几帳面と言われる血液型を流すマイペース野郎だ。当てはまらないにも程がある。
「うむ、そんなキミに良い物をあげよう」
ある物を渡された。
「何だコレ?」
「見て分からないか? 虫眼鏡だろう」
いや、それは渡されたのが虫眼鏡なのは分かるけど。
「ただし、見た相手の血液型が分かるという特別品、らしい」
「……らしい?」
渡した本人が自信なさげに言うなよ。
「実際に使ったことは無いのでな、確証は持てん。知り合いでも覗き込んでみるといい」
「はぁ……」
「ではな、血液型で判断することを疑問に思って路に入った少年よ……にひひ、」
妙な言葉と笑い声を残してソイツは去っていった。
俺の手元には、虫眼鏡が残り……
色んな人を虫眼鏡で見てみた。すると、本当に人の血液型を見ることが出来た。
知り合いはO型、しかしかなりの几帳面で、とても見えない。
両親は共にA型、しかし片方は大雑把で、片方はマイペース。さすがは俺の両親か。
隣に住むおじいさん。印象はマイペースだが、なんと同じA型らしい。
斜向かいの女の人、いつも朝登校する時掃除していてかなりA型っぽいと思っていたらまさかのAB型。
学校の友達も見てみた。
と言ってもそういう会話をしたことがあるから大雑把に見た後、他のクラスメイトを見ると、誰も彼も全く合っていない。当てはまっているのは5、6人に満たなかった。
まさか、ここまで当てはまらないものか。
何だか血液型判断を信じられなくなってきた。
いや、もう信じられない。ここまで来たらもう、どうすればいいんだ……
「お悩みのようだね」
またアイツの声だ。
「今のキミは実に楽しい、まさかここまで血液型の判断が正しくないとは思わなかったと」
そう、だから俺はどうしようも無い気持ちになった。
「ふむ……なになに? ここで最後の一押し? コレを渡せ?」
何か言っているが、今の俺にはよく聞き取れない。
「そんなキミにコレをあげよう」
机の上に置かれたのは赤い液体の入った袋だった。
「B型の血液だ。マイペースなキミにはこちらの方があっているんじゃないかな?」
……そうか。
血液型で性格が当てはまらないなら。
その性格に当てはまる血液を与えればいいんだ。
「おぉ、コレが行き止まったというやつか」
行き止まった?
「ああ何でも無い、血液はここに置いていくよ、好きにしてくれたまえ……ではな、行き止まった少年よ……にひひひひ、」
また妙な笑い声を残して去っていった奴を見送ってから。
俺は、赤い液体を―――
ああ、言い忘れていたが、自分とは異なる血液を、例えばA型がB型を過剰に得ると、死に至るから。
まぁO型のような例外的ケースもあるらしいが。基本おすすめしないよ……て、もう遅いようだけどね。
にひひひひ、
血液型で人は判断できない。どんな血液型でもあらゆる性格の人はあり得るのだから。
しかし、自分はそれを見ると……恐ろしいほどに当てはまったりする。
いったいなんなんだか……
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