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cyber girl ~REIKA~  作者: No_318
運命
8/68

~08~

あれから1ヶ月。


麗加は人が変わったように呆然と空を見上げるばかりだった。


本当は何もかもが嘘だったような気さえしていた。


レッドタウンに行くのも、街が爆発した瞬間も、すべてが夢だったような。


いや・・・夢であってほしい。


「暮内さん食事の時間ですよ」


看護婦が麗加に食事を運ぶ。


しかし麗加は言葉にならない返事を返すだけで、目線は空に向けたままだった。


「・・・、少しでも良いから、食べてね」


看護婦は麗加を心配に思いながら部屋を後にした。


鬱状態にあった麗加はしばらく食事も喉を通らなかった。


治療は受けているものの心の傷は深かった。


こんな日が何日も続いた。


家族を失った麗加のショックは相当なものだったのだろう。


生きる希望さえ失ったようにも感じる。


まだ痛々しい傷跡も残るが、命が助かったのは本当に奇跡だった。


今では自分で歩くことも出来るようになった。





しばらく様子を見た後、仁は少し時間をとり、こっそり麗加を学校の前まで連れて行くことにした。


「君は決して一人ではないはずだよ。早く元気になって友達とも会いたいだろう?」


少し遠くに車を止め、学校を眺めた。


麗加の表情に少し変化が見られた。


丁度部活に励む勇也の姿が目に入ったのだった。


仁は更にと、小型のノートパソコンを麗加に渡し、メールの一覧を見せた。


「君がうちに入院してると聞いてクラス中からメールが来たんだよ」


麗加は一つ一つに目を通した。


『元気になったら学校においで』


『無事でよかった』


『また一緒に授業を受けられる日を待っている』


などどれも暖かいものだった。


親友の千風と美兎からのメールもある。


『麗加が無事でホント良かった!!残念なこともあって辛いだろうけど、麗加には私らがいるよ!

 すぐには無理かもしれないけど少しずつ元気を取り戻して・・・。

 元気でたら連絡してね!そしたら私たち会いに行くから』


麗加が元気になって会いたいと思うまで待っている。


二人の精一杯の友情が込められていた。


勇也からもメールが来ていた。


『今は辛いだろうけど、無理はしなくて良い。

 だけど、君は一人ではない。

 また元気な姿で会える日を楽しみにしてるよ』


麗加の目に涙が溢れた。


悲しみの涙ではない。


嬉しい涙だった。


何より勇也からの言葉が嬉しかった。


「先生・・・ありがとう」


麗加は仁に礼を言うと、メールをじっと見つめていた。


安心した仁は微笑み車を発進させた。






それから麗加は少しずつ前向きになり、回復していった。


怪我の傷も大分消え、麗加は学校に行きたいと思い始めていた。


「暮内さん、そろそろ自分で外に出てみる気はない?」


「え?」


「外出許可。出してあげるよ」


「本当!?私、学校に行きたい!皆に会いたい!!」


麗加がはじめて笑みを見せた。

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