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仁が運転する車内では緊急事態が伺えた。
「何か分かったのか?」
後部座席に座る豪が仁に問うとその隣に座る麗加も仁の方を見る。
「詳しいことは僕もまだ…外観プログラムの中に手掛かりを見つけたらしい。とにかく急ごう」
仁はハンドルを強く握った。
研究所に着き3人は急いで部屋へ向かった。
モニター前に座る賢とその横に真純がいた。
「おかえりなさい」
「急に呼び出して悪かったね」
全員がモニターの前に集まると、賢はある外観プログラムを表示させた。
「…!!!」
それを見て驚いたのは仁だった。
「兄さんも驚いたろう?」
「これ、蓮………だよ…な」
その外観プログラムを見て"蓮"と言う名前を発した仁を真純と豪と麗加が見る。
「誰なんだ?」
豪が問う。
「蓮は………死んだ僕らの弟だ」
会場に残された4人は時間をもて余していた。
「やぁ!」
そんな4人に声をかけてきた人物に4人が振り返る。
「あー!須吾先生!」
「せんせーも来てたんだー!」
須吾はニコッと微笑んだ。
「地域パトロールも兼ねてね。千風さん、優勝おめでとう。素晴らしいダンス拝見させて頂いたよ」
「あはは、照れる~~!」
千風は頭をポリポリとかいた。
「今日は4人だけなのかい?」
須吾はいつもより人数が少ない事に気付く。
「暮内さんと丹波くんも居たんですけど先に帰宅しました」
勇也が報告する。
「そうだったんだね。君達も遅くならないうちに気を付けて帰るんだよ」
須吾にそう言われると4人は「はーい!」と返事をした。
「どうするー?うちらもそろそろ帰るー?」
「そうだなー」
千風が何となく提案すると回りもそんな気持ちになり、帰路に向かうことになった。
「じゃあ先生、またね!」
「さよーならー!」
4人は須吾に別れを告げた。
「気を付けて!」
須吾は手を振って見送った。
4人が去り一人になると須吾の表情から笑顔が消える。
「遅かったか……」
須吾は硬い表現のままその場を去った。
徒歩で帰る4人だが、途中で美兎と星夜、勇也と千風は別の方向となる為別れることになった。
「じゃあまた明日な!」
「バイバイ!」
美兎と星夜が二人に別れを告げる。
「また明日!」
「じゃ~ねぇ~!」
勇也と千風も別れを告げた。
勇也と二人になった千風はこの際と勇也に訪ねたいことがあった。
「邦鷹はさぁ~、ぶっちゃけ麗加の事どうなん?」
「え?!」
千風の突然の問いに焦りを見せた。
しばらく沈黙が続いたが、勇也は正直に答える。
「好きだよ」
千風は思った通りの答え過ぎてニヤけてしまった。
「それさぁ、早く本人に言ってくれるとありがたいんだけどなぁ…」
麗加も勇也の事が好きなのだから早くくっつけば良いのにと催促した。
勇也は何かを思い少し黙ってから呟いた。
「……言ったよ」
その言葉に千風は驚いた顔をした。
既に麗加は告白を受けているのに何故?そんな顔をしている。
「言ったけど、あの時、暮内が倒れちゃった時だったから間が悪くて……覚えてないって」
「はぁ?!」
千風は何それと呆れたような声を出したが当時を振り返った。
もし好きな人に好きと言われたら、嬉しいと不安の矛盾の気持ちがある事に疑問を抱いていた時だ。
その疑問を抱いた原因はその時は分からなかったがそう言うことか、と理解した。
「暮内色々あったからさ、支えてやりたいけど……それは俺が強要することじゃないし、だけど必要としてくれたら嬉しいかな。だからそれまで待とうと思ってる」
似た者同士なのかなかなか進展しない二人に千風は少し苛立ちを覚えた。
麗加も何を迷っているのか分からなかった。
自分から告白したって良いのに。
千風が今日、豪に告白したのはもちろん自分の気持ちを伝えたかったからではあるが、麗加の背中を後押しする意味でもあった。
勇也の優しさにも少し腹が立った。
「そっか、そっかー。ごちそうさま!」
千風は本心を悟られないよう茶化した。
話してるうちに勇也と千風も分かれ道に来たので二人はここで別れた。
「ま、聞いた話は麗加には黙っとくから!がんばれ青年!じゃね!」
千風はノリ良く告げると自宅に向かい歩き始めた。
一人になると千風はあまり気分が良くない事を考えてしまう。
「麗加はさ、邦鷹が好きなんだよね?」
一人呟いた。




