~24~
聞きたくなかった答えを聞いてしまった。
絶望で体中の血の気が引いていく。
ストンと肩を落としゆっくりと息を吐いた。
「そっか……」
先程は打って代わり落ち着いた美兎に逆に星夜が焦りだした。
「あ!ち、違うんだ!そうじゃなくて、その、ごめん!!」
「え……?だから、分かったって…」
星夜は上手く言葉がまとまらなく、とにかく謝るので美兎は失恋したのだと思ってしまうが違うらしい。
はっきり言わない星夜に苛立ちを覚える。
「私振られたんでしょ?!」
「振られてねーよ!つか俺、彼女出来てねーし!」
「はぁ?!」
状況が全く理解できない。
星夜は少し頭を整理して真実を語りだした。
「あの手紙……俺宛じゃねーよ」
「えぇ!?」
「よく見ろ!」
星夜は後輩の女の子から受け取った手紙の宛名を美兎に見せた。
「東海林…流星…様」
それは星夜の一つ下の弟、流星に宛てたものだったのだ。
「本人には渡せないからってさ、頼まれたんだよ」
「でも、アンタあんなデレデレ鼻の下伸ばしてたじゃん!!嬉しそうに眺めてさ!!」
「そらおまっ!中身くらい気になるだろ!!勝手に開けるわけいかないしよ、こう、ちょっと透かして見えないかとか……」
呆気に取られ美兎は拍子抜けした。
「何それ……」
自分だけ早とちりして馬鹿みたい…そう分かると余計に恥ずかしさが増すのだった。
そして勢いで告白してしまったことを思い出す。
その場から逃げ出したくなり美兎は公園の入り口の方へ歩き出した。
「ちょ!おい!!」
「か、帰る!!!」
星夜の元を去ろうとしたその時。
グイッ!!
美兎は腕を引かれた。
「ちょっ!離しっっ!!」
美兎は言葉を封じられた。
一瞬無音の世界。
今までで一番、星夜の顔が近くにある。
あまりに突然すぎて美兎の目は見開いたままだった。
フッと星夜の温もりが離れると星夜はブハッ!と吹き出した。
「美兎ひでー顔!」
「だっ……え…?な……?」
訳がわからずただただ唖然とするばかりの美兎。
「約束したじゃんここで。『みうはおれのおよめさんだからな!』」
当時の記憶と重なった。
大事な大事な思い出は思い出のままではなくちゃんと健在だった。
やっとまた素直になれた。
美兎は今度は嬉しくてまた泣き出した。
「ばかぁ……」
「なっ、泣くなよ!たく、今日は泣き虫美兎だな」
星夜は美兎の頭をそっと撫でた。
いつしか空は真っ赤な夕焼けに染まっていた。