~06~
そんなことを思っているとトレインは一つ目の駅、イエロータウンへ到着した。
数秒の停車の後発車ベルを鳴らしてトレインは再び発車した。
目的の街が見えてくる。
と、
その時ものすごい爆音と振動とともにトレインは急停車した。
突然の事態に乗車客は驚いた。急停車による負傷者もいた。
「なんだ・・・何が起こったんだ!?」
乗客が混乱し始める。
「おい、見ろよ!どうなってんだ!?」
一人が指差す方を見ると信じられない光景が麗加の目に飛び込んできた。
「何・・・?これ・・・」
街が真っ赤に染まっている。
人々はショックで言葉を失っていた。
目の前で起こっていることが理解できずにただその情景を唖然と見ているだけだった。
『お客様に申し上げます。ただ今レッドタウン内にて原因不明の爆発が起きた模様で緊急停車いたしました。
大変緊急事態で危険ですのでどうかそのまま車内でお待ちください』
アナウンスが入った。
恐怖で泣き出す者、慌てる者、車内は騒然としだしていた。
またしばらくするとアナウンスが入った。
『お客様に申し上げます。この先は大変危険な状況のため、運転を中止させていただきます。
安全な場所まで移動いたしますので、その後係員の指示に従い避難してください。』
トレインはゆっくりと後退し始めた。
数十メートル程移動したところで、扉が開き、駆けつけた係員や消防、警察の誘導で乗客が非難を始めた。
既に何台かのヘリやSDで機動隊などが街に駆けつけているため、上空に激しい音が鳴り響いていた。
呆然としていた麗加もハッとし、逃げ惑う人を掻き分け炎に包まれた街のほうへと足を向けた。
「パパ、ママ・・・麗雄!!!」
無我夢中で走り出す。
しかし何百メートルと離れた所からでも既に近づけないほどの炎に包まれてしまっていた。
こんなことがあり得るのか・・・。
周りでは慌しくレスキュー隊や警察が動いている。
一人の隊員に麗加は安全な場所に行くよう指示をされたが耳にはいらない。
レスキュー隊ですら現場に近づけない。
こんな状況の中人が無事でいる可能性は殆どないだろう。
だがそんなことは今の麗加には理解できないし、思いたくもないことだ。
ハッとした麗加は少しの可能性に賭け、携帯電話から自宅に電話をしてみた。
しかし、予定通りに家族はこの街に向かい家は留守だった。
やっぱり家族はこの中にいる。
「パパ!!ママ!!麗雄ーーーーーー!!!」
力一杯に叫んだ。
街を包む炎はそれをあざ笑うかのように更に激しさを増した。
ふとその炎の中から黒い影が見えた。
「何・・・?誰かいる!!?」
気づいた瞬間、その影の方から麗加に向かって強い光と衝撃が向かってくる。
ドシュッッ!!!
「!?・・・きゃぁああぁぁあぁ!!!」
私・・・どうなったの?
死んだのかな・・・。
皆は・・・どこ??
ここは・・・どこ??