~04~
三日が過ぎ、豪はブルータウンの高校へ編入生として登校する。
麗加とはいとこ同士という事にし、身寄りのない者同士知り合いの家で生活している事になっている。
朝会に合わせ職員室から担任と共に教室へ向かった。
肩を並べて歩く二人の空気は和やかなものだった。
「暮内さんは元気にしてる?」
担任が豪に問う。
「はい、すっかり回復して今は退院して知り合いのところで一緒にいます」
豪は優しい表情で答えた。
今までの冷たく鋭い豪とはまったく違う。
これも孤立して浮かないようにするための策略である。
「彼女が無事で本当に良かったわ。二人とも災難で大変だったでしょうけど・・・暮内さんももうすぐ出てこられるし。クラスの皆には簡単にではあるけど話してあるから、君も無理に打ち解けようとしなくて大丈夫だから。でもとっても明るいクラスよ。友達もすぐ出来ると思うわ」
笑顔でこちらを向いた担任に対し、豪も笑顔を返した。
「さぁ、ここよ」
二人は教室の前へとやってきた。
豪は麗加と同じクラスになった。
クラスには麗加の友達の千風、美兎、意中の相手勇也がいる。
戸の向こうからはガヤガヤと今日も騒がしい生徒たちの声が聞こえてくる。
担任は戸を開け、教室へと入っていく。
「はーい!皆おはよう!今日は皆に嬉しいお知らせが二つあります」
「何?センセー」
クラス中が注目をした。
「まずは、今日から新しい仲間が増えます。どうぞ、入って」
そう言われ、豪は教室へと入った。
豪の姿にソワソワと反応したのは女子たちだった。
豪は担任の横に立つ。
「丹波豪です。よろしく」
一言告げ、軽く頭を下げた。
「ちょっ!!超イケメンじゃん!!!!」
大きく反応し、小声ながらも興奮しながら美兎に言ったのは千風だ。
千風にはまさに理想のタイプだったのだ。
「皆、彼の分からないことは色々と教えてあげてね」
「はぁーい!」
手を挙げ元気よく声を上げたのは千風だった。
「それじゃぁ、あそこの空いてる席へ着いてくれる?」
「はい」
担任が指した席へ豪は向かった。
荷物を机に降ろし、椅子を引くと隣の席の男子生徒と目が合う。
「よろしく!」
男子生徒は笑顔で豪に言った。
席に着いた豪も笑顔で返す。
「よろしく!」
豪は勇也の隣の席になった。
着席した豪を確認すると、担任は続けた。
「それからもう一つは、長い間休学中だった暮内さんが間もなく復学することが決まりました」
そう聞くとクラス中が安堵の声に包まれる。
「彼女のことも色々と助けてあげてください」
「麗加もやっと戻ってくるんだ~!」
「楽しみだね!」
千風と美兎が嬉しそうに交わした。
喜びを感じていたのはその二人だけではなかった。
そこには嬉しそうに微笑む勇也の姿もあったのだ。