~03~
「おはよーーーー!!!」
目的地に向かっていると上空彼方から威勢のいい声が届いた。
麗加が振り向き見上げると同じ制服を着た女子高生2人が上空から降りてきた。
親友の千風と美兎だ。
「おはよ」
「麗加いつも歩きでタルくなーい?」
自身の方がタルそうに若者らしい口調で発するのは千風。
170センチ近い長身でスタイルも良く、ファッションセンスも持ち合わせており、少し着崩した制服にモチーフの大きなアクセを身につけている。
小麦色の肌にミディアムの長さの黒髪ストレートで、そのヘアースタイルは左サイドにコーンロウが入っていて、ピンクとグリーンのエクステでアレンジが効いていた。
「麗加もこれ乗ればいいのにー」
そう言って乗っていたマシーンを指差したのは美兎だ。
千風とは逆に150センチそこそこの身長と小柄で、肌の色も白く明るめのオレンジの髪は内巻きにかけられたカールが決まっている。
お花のモチーフを好み今日もお気に入りのネックレスとピアスをしてる可愛らしい女の子である。
二人が乗っていたのは”sky drive”通称”SD”と言う一人用の乗り物である。
学校指定のSDがあり、許可証を貼り付ければ誰でもSD通学が可能だ。
座席に座り、飛び出たハンドルを握ることで操作をすることが出来、20世紀に発明され地上を走っていたスクーターとボディー形状は似ている。
ただタイヤはなく代わりに30センチ程の翼が前面両サイドにあり、走行を安定させるのだ。
原動力は磁気によるもので、地上に張られた磁気道路の上を走ることが出来、地上を走るモーターカーも同じ原理である。
SDは道路交通法で定められた地上からある程度の高さと地上での走行が可能で、高度についてはマシーンによる操作で切り替え行う。
これも開発はあのTAGAMIscienceだ。
「私はいいよ。歩いていけない距離じゃないしね」
「麗加ってほんと機械嫌うよね~」
二人はSDの速度を麗加の歩調に合わせ並んだ。
「まぁ、最低限の利用かな・・・でなきゃやってけないしね」
麗加はやれやれといった表情で言葉にする。
「でもさ、機械ばっかに囲まれてちょっとウンザリなのも分かるかも」
「あー、昨日やった『自然環境学』でしょ!昔は自然緑豊かで酸素も自然に循環してたってね」
「あんなところで吸う酸素は味が違うのかなぁ~。こんな機械都市じゃ想像もつかないけどね」
「あの頃の人類がこの時代見たらどう思うんだろうね」
「ぶったまげるっしょ!!」
話に盛り上がっていると3人は学校の門をくぐっていた。