~27~
一方、豪はイエロータウンに着いていた。
街は半壊しており、まだ普及も満足にされていなかった。
賢の研究所へと向かう。
散らかってはいたが、地下室はまだ無事に残っていた。
中に入り、戸棚や引き出しなどあらゆるところを調べる。
持ち出せそうなノートパソコンと、数あるメモリーカードなどをかき集めた。
豪は自分が生まれ変わった部屋にも足を運んだ。
自分のプログラムも知る必要があると思い、パソコンの電源を入れた。
電気が通ってないため、非常用バッテリーで作動した。
ファイルを開くと沢山のプログラムが画面に映し出された。
「こんなものが組めるとは、化け物はお前だよ・・・賢」
豪が呟いた。
自身に組まれたスキルや数値などもそこには全て書かれているが、やはり理解することが出来ない。
豪はそのデーターも一緒に持つことにした。
他にもいける部屋はくまなく回り、それらしいものを集めた。
ある程度かき集め終わると、近くにあったトランクケースに詰め込んだ。
外に出るとすっかり日は暮れていた。
翌日、病院では勇也の精密検査が行われた。
午前中に1時間ほどで終わり、勇也は病室に戻された。
仁の元へは代わりに保護者と学校の顧問が呼び出されていた。
看護婦に聞き、検査を終えて病室に戻っていると知った麗加は勇也のもとへ向かった。
コンコン・・・
「どうぞ・・・」
戸をノックすると勇也の声が返ってきた。
「失礼します」
麗加が戸を開け病室に入った。
「あぁ、暮内。おはよ」
勇也はまたも笑顔で迎えてくれた。
「おはよ。検査終わったんだって?お疲れ様」
「うん・・・」
だがどことなく元気がない様子に麗加は気がついた。
「結果・・は・・・?」
気遣いながらも問いかけた。
「今親と顧問の先生が聞いてる」
「そっか・・・」
益々元気をなくす様子の勇也に麗加は戸惑った。
心配にはなるがかける言葉が見つからない。
部屋に沈黙が走った。
少しすると勇也が口を開いた。
「俺・・・もしかしたらもう、サッカー出来ないかも知れない」