~23~
豪は人気のないところまで出るとSky systemを起動させ空高く上がった。
その時上空から何かを感じ見上げた。
「なんだ!!」
一瞬キラッと光った小さな光が物凄いスピードで落下していった。
それは火の玉のような物で、麗加が在籍する学校の付近へ向かっていた。
「まさか・・・A-D2Xか!!」
豪はそれが落ちてきた方向へフルスピードで向かった。
物体は激しい炎に包まれたまま地上へと距離を縮めていた。
学校では生徒たちが部活動に励んでいる。
グランドではサッカー部が練習をしていた。
部員の一人が空からの異変に気がつく。
「ん?なんだ・・・?」
部員たちが気づき騒ぎ声を上げているとそれはグランドへと落ちてきた。
それはある生徒の背後に迫っている・・・
「邦鷹ーー!!」
名を呼ばれた勇也が振り返り空を見上げると目の前には火の玉が・・・
「うわぁ!!」
そのまま火の玉は地上に落ちた。
ドーーン!!
黒い煙を上げ、視界を遮った。
「勇也!!!」
星夜が叫ぶ。
煙が晴れてくると、数メートルほどの穴が出来ておりその真ん中には何かが激しく燃えたような黒く焦げた塊が落ちていた。
その穴の横で倒れている勇也がいた。
「大丈夫か!!」
顧問と部員が勇也のもとに駆けつける。
「ぅ・・・ってぇ・・・」
勇也は無事だった。
そして勇也の傍らにはもう一人おり、体を起こした。
「邦鷹、大丈夫だった?」
無造作に伸びた金に近い白髪と、青い澄んだ瞳が印象的な若い男が勇也に問う。
この男がとっさに勇也を助けていたのだ。
「はい・・せんせありが・・・っつ!!」
立ち上がろうとした勇也がしゃがみ込んだ。
突然のことに足を痛めたのだ。
「足痛めたの?」
問うと勇也は膝を押さえカナリの痛覚に顔を歪ませていた。
「先生!邦鷹を急いで病院へ!!」
男は顧問の教師に告げた。
「分かった!直ぐに手配してくる!」
顧問は職員室へとかけて行った。
「邦鷹・・・」
部員らが心配そうに勇也を見守っている。
勇也は養護の先生と顧問と共に学校が提携を結ぶ田神総合病院へ運ばれた。
その様子は校内にいた生徒らも気がつき野次馬となっていた。
「ちょ!邦鷹じゃん!!!麗加!!麗加に知らせなきゃ!!」
運び出される勇也を目撃した千風と美兎は不謹慎にも、同じ病院に向かった勇也の事を麗加にメールで伝えることにした。
星夜は勇也をかばった男に近づく。
勇也に対して殆ど傷を負わなかった男。
「須吾先生は怪我なかった?」
星夜が彼を須吾と呼んだ。
「僕は大丈夫だよ。ありがとう」
須吾は笑顔をみせ答えた。
星夜もその笑顔に安堵の表情をみせた。
「良かった。先生ありがとな勇也助けてくれて」
そう言うと突然落下してきた謎の物体に目を向けた。
一体これはなんなのだろうか。
須吾も表情を変えていた。
上空でその先を追っていた豪も、その正体を見つけることが出来なかった。
「どこに行きやがった!!ちくしょう!!」
これもまた、爆発事件と関係があるのだろうか。