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cyber girl ~REIKA~  作者: No_318
運命
18/68

~18~

同じ頃賢も仁にこのいきさつを話していた。


「人間をサイボーグ化することは違法だ!

 知らないとは言わせないぞ!」


仁は事の深刻さに取り乱した。


「このことが大罪なのは分かっている…

 でも、正直僕もそれ以外に方法が見つからなかった

 僕がサイボーグ化する手もあったが、精巧なプログラムを打てる人間が他にいなかった

 また一からA-D2X抹殺装置を作ろうにも、奴の設計図は父さんと一緒に・・・」


悩んだ末の決断・・・


一人の人間を犠牲にした罪は大きかった。


しかし話を聞いた仁は先ほどとは打って変わり冷静に考えを口にした。


「データーが残っていなければ停止は不可能

 サイボーグ化した人間ならプログラムよりも優れた判断が出来るし、

 自らの意思でパワーも操れる・・・か」


妙に素直に受け入れた様子の仁に疑問の目を向けながら賢が答える。


「感情を持っている分爆発的なパワーを出せる確立は五分五分だけど・・・」


仁は何かを決意したように言った。


「賢、その豪は完璧なのか?」


「生身の臓器は持ったままだから、それなりに力を使えば負担はある

 メンテナンスと治療は欠かせない・・・」


「わかった

 俺でも役に立てそうだな・・・」


「兄さん」


仁はどんな事態を告げられようと、弟の力になろうと既にどこかで決意を固めていたのかもしれない。


「まさか、TAGAMIの終わりに関わることになるとはな

 とりあえずお前は回復することだけ考えろ」


「すまない・・・兄さん」


仁はたった一人生き残った弟の罪を被る決意をしていた。





2つの爆発後、嘘だったかのように平穏な日が続いていた。


麗加は屋上で過ごすことが多くなり、豪に言われたことを思い出していた。


『お前も奴のせいで大事な家族を失ったんだ

 お前も仇を討ちたいんではないのか?』


人造人間が家族を殺した。


病院にいたイエロータウンの爆発の被害者。


天才的な科学者が作り出した失敗作の暴走マシーン。


恐怖心が過ぎるが、到底信用できない話だ。


豪は復讐のためだけに生まれ変わった。


守るものを守れなかった悔しさ。


でもそこまで出来るものだろうか?


麗加の大事なものは、家族はもちろん友達、そして・・・。




麗加は気づいた。


自分にはまだ失っていない大事なものがあるんだ。


この街でもあの爆発がもし起ってしまったら・・・。


それさえも失ってしまうかもしれない。


大事なものは失ってからでは遅い。


それを阻止するには、その人造人間を止めなくてはならない。


そして、それが自分に出来ることなのか・・・。


『お前は相当な力を持っていると思うがな』


あの力は、そこまでのパワーがあるんだろうか。


考えていると頭が痛くなった。


そんなこと無理に決まってる。


麗加は頭を何度も振って、考えを振り切った。


「そんなこと、出来るわけない

 それに、こんな現実受け入れられない」


麗加は自分の中で否定した。


でも、どこか否定しきれない気持ちになっていた。


本当に、自分に出来るのだろうか・・・。


でもどうすれば・・・。


麗加はもう一度豪に会って話しがしたいと思った。


豪の生みの親がココにいるならきっとまた現れるだろう。


それまで、自分の気持ちも少し整理しておこう。


そして仁ともちゃんと話をしよう。


そう思い、麗加は病室に戻ることにした。


屋上を後にし、階段のドアに手をかけた。

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