~12~
夜も更け、街が寝静まった頃、謎の爆発の起きたレッドタウンの隣町イエロータウンに突如、同じ謎の爆発が襲った。
その爆発は、レッドタウンほどではなかったが、ある場所を中心に広範囲に渡っていた。
巻き込まれた負傷者が多く、少し離れたこの街ブルータウンの仁の病院にも次々と搬送されてきた。
緊急事態に医師たちはあわただしく動いていた。
「仁先生!!こちらの方が重症のようです!お願いします!!!」
そういって運び込まれた一人の男性を見た仁は驚きを隠せなかった。
それは、数年もの間絶縁状態だった家族の一人、弟の賢だった。
「賢!!賢じゃないのか!!しっかりしろ!!!聞こえるか!!?」
「はっ・・・は・・に・・さん・・・・・ごめ・・」
「とにかく話は後だ!!今は何も話すな!!すぐに助けてやるから頑張れ!!!」
仁は重症の弟を懸命に処置した。
賢は一命をとりとめ、無事だった。
賢が必死に発した言葉「ごめん」。
仁は麗加に話を聞いたときに感じた予感が、的中したのだと思うと、険しい表情になっていた。
絶縁状態の弟との再会が意味するものとは・・・。
朝になっても病院内は騒然としていた。
目が覚め、病室から出た麗加は驚きを隠せなかった。
「何・・・これ・・・」
そこは負傷した人々で一杯だった。
一体これは何事か・・・。
その時、TV画面から爆発のニュースが目に飛び込んできた。
あの爆発が、他の街でも起きた。
その光景はいつか授業で見た戦争の光景に見えた。
今、世界では何が起こり始めているんだろうか・・・。
麗加は呆然と立ち尽くしてしまった。
「ママァ・・・・」
麗加は子供の泣き声に気がついた。
ふとその方を見ると、腕に痛々しい擦り傷を負った小さな男の子が、母親を探して泣きながら歩いていた。
麗加は、自分の弟と同じくらいのその子を見ると一瞬辛さが過ぎったが、男の子に近づいていった。
「僕、どうしたの?ママいないの?」
「うぅ・・・ママいない・・・うでいたいよぉ」
「見せてみて。可愛そうに・・・」
麗加は男の子の傷を見ると、無意識に怪我の部分に手をかざした。
すると優しい光を放ちながら、不思議な力で癒していた。
唖然と男の子は麗加を見つめた。
「おねーちゃん・・・?」
男の子に声をかけられ我に返った麗加は、今自分は何をしたのか・・・怖くなり、あわてて病室に戻っていった。
「私・・・今何を????」
また自分の中の、何かが力を発揮していた。
世の中で起きていることも、自分自身に起きていることも全く理解が出来ない。