~11~
翌日、目が覚めた麗加は落ち着きを取り戻していた。
麗加は仁の元へ行き、自分の身に起きたことを話すことにした。
「先生、ちょっと時間いい??聞いてほしいことがあるんだけど・・・」
「昨日のこと・・かな??話せる?」
麗加は仁の前の椅子に座った。
「私、強姦されかけたんだよね・・・?だけど、無事だった・・・の」
「うん」
状況を思い出し落ち着いて話を進める。
「男3人に押さえつけられて、とても敵わなかった。だけど、服を破られて、必死に抵抗しようとした時に、
なんか、体の底から凄いパワーみたいなものがこみ上げてきて、気がついたら男3人弾き飛ばしてたの。
いくら窮地に立たされてても、こんなことってありえるのかな・・・」
「人には「火事場の馬鹿力」といって、いざとなると計り知れない力を発揮できる能力を持っているといわれるけど、
そうとは言えないってことなのかな。何かそれでは考えられないような変化を感じたとか・・・」
「私自身の力だったとは思えなかったの。爆風みたいなもので、一気に弾き飛ばしてたような・・・
男たちに『やべーよコイツ』って言われて、自分自身のほうが怖くなったの。なんか、身の危険を感じると何かで守るような・・・
そんな力があるような気がする。そういえば、あの時も私とっさに何かで自分を守ってたような気がする」
「レッドタウンの爆発に巻き込まれたときかい?」
麗加は以前からその事が少し引っかかっていた。
自分は爆発の被害にあった被害者としてこの病院に搬送されていたのだが、麗加は爆発に直接関わってはいないのだ。
「それなんだけど・・・私爆発が起きた時はまだレッドタウンにはいなかったの」
そう告げると仁は表情を変えた。
「え・・・じゃぁ君が被害にあったのは・・・?」
「あの時は、モータトレインで向かう途中で爆発が起きて、私は必死に街に向かったんだけど、もう近づけなくて・・・
そしたら、炎の中から何か、人影みたいなものが見えて・・・それでその先から何か強い光と爆風が向かってきたの。
あれもなんだったんだろう・・・」
「レッドタウン、人影・・・」
「先生・・・?」
何気なく爆発事故の真相を話すと、仁の顔色が変わっていた。
「先生?どうかしたの?」
「あ、いやすまない」
難しい顔をして黙り込んでしまった仁が我に返る。
「私、何かおかしいのかな・・・自分が怖いの」
「そんなに気になるようだったら、今度詳しい検査をしてみようか。何か分るかもしれない」
「うん・・・」
麗加は自分の病室に戻った。
ふと、さっきの仁の様子が気になった。
あの街と人影のようなもの・・・何か関係があるんだろうか・・・。
今、世の中で何が起こっているんだろうか・・・。