~10~
その時、麗加の背後に何かが忍び寄っていた。
麗加は何者かに突然口を塞がれた。
「大人しくしろ。暴れたら殺す」
見知らぬ男3人に麗加は近くの空き家に連れ込まれてしまった。
校舎に戻る途中千風はふと思い出すように足を止めた。
「あ、そういえば、最近学校の周り変な集団がいるから気をつけろって先生言ってたけど、麗加大丈夫だったかな・・・」
「すぐに迎えが来るなら心配ないと思うけど、一応見に行ってみようか」
二人は麗加のいるハズの校門前に行った。
そこには麗加の姿はなかった。
「あ、もう迎え来たんだね、なら大丈夫か」
二人は学校に戻ってしまった。
「いやっ・・何!!?」
「大人しくしろっつってんだろ!!!大人しくしてれば命は助けてやるぜ」
「おい!押さえつけろ!」
「やっ!!」
たすけて!!!!
麗加は心の底で助けを叫んだ。
必死に抵抗する麗加を押さえつけ、一人の男が服を破った。
「いやぁーーーー!!!!!」
その時、麗加に異変が起こった。
叫びと同時に、男を弾きとばした。
「って!!!この女ぁ!!!」
「来るなぁーーーー!!!!!」
すると麗加は発光と共に爆風のようなものを起こし、男たちを弾き飛ばしていた。
「なんなんだこの女・・・」
「やベーよコイツ・・・行こうぜ」
男たちは麗加を只者だとは思わず、その場から去っていった。
麗加はその場で震えだし、しゃがみこんだ。
『やべーよコイツ』
恐怖心を覚える中、麗加の脳裏にその言葉だけが残った。
その時仁からの着信で携帯電話が鳴った。
「暮内さん?迎えに来たけど・・・?」
「先・・生・・・」
麗加は泣き出し、今いる場所を告げた。
震えてしゃがみこむ麗加の元に、仁がやってきた。
「暮内さん!!どうかしたのか!!?」
仁は麗加が破られた胸元の服を握り締めているのに気がついた。
「大丈夫!!?何かされたのか!!!?」
仁は麗加の身に起きたことを察し、医師としての質問をした。
麗加は、首を横に何度も振った。
仁は少し安心した。
「もう大丈夫だ。タイミングが合わなかったようですまなかった。無事でよかった。すまない。」
「怖かった・・・」
麗加は仁と共に病院へ戻った。
麗加は鎮静剤を打たれ、眠りについた。
突然、力では敵わない男3人に襲われた恐怖心は大きかった。
しかし、麗加が本当に怖かったのはあの時の自分の力のほうだった。
一瞬、自分ではない何かが現れた気がした。