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キララの災難

 篠宮盟が仲間になり、ようやく俺のパーティーが結成した。

 戦略としてはかなり充実してきた。

 俺は新たに中級魔法の風属性の〝ウィンドセラージ〟と土属性の〝ロックウォール〟、火属性の〝ファイヤーチャージ〟を覚えた。

 キララは中級魔法の闇属性の〝ダークエンドレス〟を覚えた。

 メラは……好きな魔法は全て覚えてしまったらしく、スキルポイントはすべて魔法強化か、攻撃力アップに振ったらしい。

 ……こいつだけあんまり強くなるような気がしないんだが。

 まぁ、そんなこんなでパーティー全体が強くなった。……のだが。

「ぐー、すかー、ぐー、すかー」

『ゴンッ!!』

「いったぁ!なにするのよ!」

「いまクエスト中だろうが。何のんきに寝てんだよ」

「だってしょうがないじゃない!今回討伐するモンスターは夜にしか出てこないんだから!」

「だがらと言って寝てちゃだめだろう、寝てちゃ。他のモンスターが現れるかもしれないだろ。細心の注意をだな……」

 その時メラが無言で横に指をさす。

 指の方向を見ると、

「ぐー、すかー、ぐー、すかー」

 篠宮が酒を飲みすぎて赤い顔のまま寝ている。

『ゴンッ!!』

「いったぁ!いきなりどったの?」

「口調が変だぞ。さっさと起きろ、そして周囲を警戒しろ。あとそんなに酒を飲むな、クエスト中に寝るとかふざけてんのか?」

「いや、いつも通りだけど?」

 まじかよこいつ。そういえばこいつと一緒にいた女の人が、酔っ払ってクエスト中に寝てしまうんです! とか言ってたな。あの人はどんだけ苦労してきたんだ? ていうか、あの人、名前すら名乗らなかったな。……まぁいいか。


 今回討伐するナイトフロッグは夜にしか出てこない巨大なカエルの様なモンスターだ。どうやらナイトフロッグを討伐しに行った3人のDランクハンターが全員丸呑みにされたのだとか。そのせいでBランクモンスターになってしまったらしい。

「まだ日が沈むまで少し時間があるな」

「んー、そだね〜……ってだから気持ちよく寝てたんだよ!」

「いやだから、周囲の警戒をだな」

「あれ?キララは?」

 突如メラが喋る。

「ん?どこいった?あいつ」

「あれー?そういえばいないね〜」

「あいついつまで俺たちと一緒にいた?」

「えーっと、この睡眠に快適な草が見え始めたときは確か後ろにいたはず……」

 今いる場所は坂を少し下った場所にある。つまり俺たちは上から来た。上からここが見え始めるのは、かなり遠くの場所からだ。そこからここに来るまで20分ほどかかった。キララはその間に消えたことになる。

「…………」

「わっかんない!キララはどこに行っちゃったの!?」

「一旦落ち着け、とにかく日が沈むまで少し時間がある。その間に見つけるぞ」

「「おお!!」」


 一方その頃、キララは倒れて気を失っていた。そしてキララの事をじっと見ている一つの影が。


 そんなことはつゆ知らず、俺たちはキララを大声で呼んでいた。ここはウォータータウンからそこまで離れていない。つまり人々が気にするほど強いモンスターはいないということだ。いるとしてもBランクぐらいのモンスターだろう。それならば、今の俺たちなら対処できる。

 その時、メラが叫ぶ。

「こっちに足跡があるわよ!」

「「!!」」

 俺たちはすぐにメラの方に走り出す。

 その足跡を見ると確かにキララの履いている変な靴の足跡だった。あいつはセンスがないからな。

 だが、足跡は近くの森へと続いていた。

 俺たちはその森へと進む。

 篠宮も酔いが覚めたようだ。真剣な顔をしている。


 森に入り、足跡をたどっていく。そしてそれは着実と森の奥へと続いていた。

「ねぇ、どんだけ奥に行くの?これ以上は迷うわよ」

「安心しろ。通った場所の木に目印をつけながら歩いている。足跡もあるし大丈夫だ」

「う、うん」

 この森は酸素が薄いのか、呼吸がしにくい。不気味な森だ。

 そうして歩いていくと、遠くにキララが倒れているのが見えた。

「いた!」

 メラが駆け寄りに行く。

「待て!罠かもしれない!慎重にいくぞ」

「わ、分かったわよ」

 俺は気配を研ぎ澄ます。だが、気配は何もなかった。

 そのまま、キララのところへとついた。

「私に任せて〜。メガヒーリング」

 この前、キララが使ったヒールの上位互換なのだろう。さすがは篠宮。この前よりも多くの光の粉のようなものがキララを包む。それほど重症なのだろうか? 外傷は見当たらない。

「うっ」

 するとキララが目を覚ました。すぐにメラが抱きつく。

「良かった〜!!心配させないでよ〜!」

「す、すまんな」

「キララ、何があった?」

「分からん。だが、一つの影が我の後ろに突如として現れたのだが、そこからの記憶がないのだ」

「……そうか」

 なぜその影はキララを攫うだけで、殺さなかったんだ?

 疑問が浮かび上がる中、キララがスボンをめくる。そして、「うっ!」っと何か気持ち悪いようなものを見たような反応をした。

 俺たちは一斉にキララの視線な先を見る。

 そこあったのは、黒いマークのようなもの。見たこともない。

 すると篠宮が

「これ、もしかして四天王?」

「「「!?」」」

 流石に同様が隠せない。どういうことだ?

「何?どういうことなのよ!」

「これは四天王の嫁にされる人、全員についているマークに似ている」

「ということはキララをさらったのは……」

「四天王のうちの誰かってことだね、多分」

「「ええーー!!」」

 メラとキララが同時に叫ぶ。すると地面が盛り上がる。そこから出てきたのは、

「ナイトフロッグ!」

 びっくりしすぎて気づかなかったがもう日が沈んでいる。しかも5体ほど出てきた。

「キララは一旦休んどけ、メラはキララを守れ」

「分かったわ!」

 メラが返事をする。が、キララは声を出せずに震えている。そりゃそうだ。こんな事普通あるはずがない。

「篠宮。俺とお前でやるぞ」

「了解!」

 オーシャンエッジを抜いて、ナイトフロッグに突っ込む。だが、『ボヨンッ』と音を立てて弾かれた。なんて弾力のある腹だ!

「ウィンドセラージ!」

 仕方なく最近覚えた風魔法を使う。

 それはちゃんとナイトフロッグにダメージを与えた。

 そして、

「ロックウォール!」

 他のナイトフロッグが襲いかかってこないように、俺と目の前のナイトフロッグわ囲うように岩の壁を作り出す。

 そして篠宮は

誠心光逸せいしんらいいつ!」

 強い光を放ちながら飛んでいく玉を何個も作り出し、ナイトフロッグに向けて飛ばす。それはナイトフロッグを3体倒した。

 ……あいつ強!

 負けてたまるかと思いながら1体目のナイトフロッグを倒し、最後の1体に向かって魔法を放つ──。


「多少疲れたな」

「お疲れ様でした!!」

 と結局キララのそばにいただけで、ナイトフロッグに1回も狙われなかったメラが拍手する。


 あのあと追加で3体出てきた。おかげでかなり時間がかかった。

 だがそんなことより……。

「キララは?」

「眠ったわ。やっぱり不安で仕方ないみたい」

「そうか、ならもう宿に帰ろう」

 キララは俺が背負い、宿に帰った。


 そのままキララをベットに運んだあと、3人で緊急会議を開いた。

「どうする?」

 キララが四天王に狙われているという事実は俺たちに緊張感を強く与える。

「今のままだと、四天王が来たら間違いなく瞬殺される。何か手を打たないとね〜」

「ああ、だから考えた。俺たちはできる限り早くこの街を出て、他の街には寄らずに王都を目指す。そして……」

「いや、それは無理だね」

 俺の思い切った作戦はすぐに篠宮に否定された。

「なぜだ?」

「まず、あの状態だと私たちが背負いながら王都を目指さなきゃいけない、そして王都の周りにはさっきみたいなBランクのモンスターがうじゃうじゃいる。キララがあの状態だと、またメラがキララを守って私たちが2人で戦うことになる。そうなると連戦が続くから厳しい」

「なるほどな、じゃあどうする?」

「1番楽で早いのは、この街にXランクハンターの、ジコ君を呼ぶこと」

「ジコ君?」

「私の知り合い、職業が僧侶だからこういう呪いを解くのは得意。きっとこのマーク自体はそこまで強い呪いじゃない」

「とはいえどうやって呼ぶんだ?」

「そこが問題なんだよね〜。Xランクハンターはめちゃくちゃ強いから色んな人に人気でファンレターとかが毎日のように来る。もちろんそんな物はほとんど見ない。だから私たちが手紙を送っても気づかずにスルーされる可能性が高い」

「課題だらけだな」

「じゃあキョウだけ王都に行くのは?」

 メラが意外な提案をしてきた。

「……そういうことか」

 すぐに俺はメラの意図を理解した。

「どゆこと?」

 篠宮はまだ分かっていないようだ。

「つまり、キララがあの状態だからいけないんだよ。キョウは隠密のスキルも使えるし、一人行動にも慣れてそうだし」

「なるほどね〜。で、キョウ君はそれでいいの?」

「ああ、単独行動となると自由に動きやすい。任せておけ。明日準備して、明後日の朝に俺はこの街を出る」

「よし、作戦は決まったね。じゃあジコ君の特徴を言うね。ジコ君は君も会ったことあるよ」

 なに? そんな名前のやつは知らないぞ?

「ジコ君の特徴は、白い髪のこの前私と一緒に行動していた女の人だよ〜」

「お前を俺のパーティーに入れてくれと頼み込んできたやつか!」

 ていうか、こいつそんなすごい人と馴れ馴れしくしてたのか。まぁこいつらしいが。

「そ、じゃあよろしくね〜」

 そう言いながら帰ろうとする篠宮を止める。

「待て、王都ってことはこの街なんかよりもずっと広いんだろ?どこに行けば会える?」

「ん〜、ハンターやめて実家に行くって言ってたけど、実家がどこにあるか分からないからな〜」

 情報収集から始めればいいのか。やることが決まっていたらやりやすい。

「最後に一つ、そのジコって女はハンターをやめると言っていたが、協力してくれるのか?」

「わっかんない!でも私という親友からのお願いって言えば来てくれると思うよ」

 ほんとか? まぁいい。

「分かった。もう寝ろ」

「うん、おやすみね〜」

 そう言い、宿から篠宮は帰っていった。

「メラ、お前も寝ろ」

「うん……」

 心配そうだ。そりゃそうか、Cランクの俺が1人で王都に行こうとしてるんだもんな。そりゃ心配す……。

「お腹減った」

 こ、こいつってやつは〜!

「1人で食ってこい」

「え〜、分かったわよ」

 そういえば俺、この世界に来てからだいぶ人柄が変わったな。本当は関係のない話はしない、無表情の殺し屋なのに……。

 意外と良いな、この世界。

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