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打ち上げと報酬

  街に戻ると早速ギルドで打ち上げが始まった。俺達はギルドの職員に呼び出され、ギルドへと向かった。

 ギルドでは騒ぎまくっているハンター達と職員が。そしてあの偉そうなおっさん職員が俺達を見つけると、こいこいとジェスチャーをした。

 そしてそのおっさん職員が騒いでいた場を静めると、ギルド内全員の視線が俺達に向いた。

 静かなギルド内で表彰のようなものが始まった。

「あなた達は、Sランクモンスター、ヴァンパイアの撃退に大きく貢献したとみなし、王都から多大なる報酬を受け取っております。150000000ゼルトをお収めください」

「「一億五千万ゼルト!?」」

 俺と職員以外のギルドにいる全員が面食らった顔をした。

 確かに高いが、一つの街を救ったのだ。これくらいあって当然だろう。

 ギルド内から、奢れ! 奢れ! とやかましい言葉が聞こえてくるが、俺は金だけ受け取ってギルドを出ようとした。

 だが、たまにはいいかもしれないと、なぜか思ってしまった。悩んだ末に。

「……はぁ、今回だけだぞ」

 と言ってしまった。

 ギルド内の全員から歓喜の声が聞こえてくる。やめておけばよかった。

 すると俺のもとに懐かしい3人組がやってきた。

 左から、騎士のシュン、魔法使いのサラ、そして剣心のキリムだ。

 この3人は俺が金が無い頃、困っていたところを助けてくれた奴らだ。つまりいい奴らということだ。少なくとも、今のパーティーよりもこの3人組と組んだほうがいいような気がする。だが、組んでしまったものは仕方ない。俺はあいつらと魔王討伐を目指し続けるのだ。

「久しぶり。まさかキョウがあのSランクモンスターを追い返すとは!まじで魔王討伐できるんじゃね?」

 キリムがそんなことを言ってきたので、俺は真実を話した。

 それは篠宮のサポート魔法があったから至近距離で戦えたこと。そして俺だけでは到底あんなダメージを出せなかったこと。最後に、おそらくあいつは全力を出せてなかったことだ。

 あいつはヴァンパイアだ。日が出てる間は弱体化しているような、そんな気がした。

 俺の話を聞くと、キリムが、そっか、と俺の顔を見ながら言ってきた。

 すると今度はシュンとサラが。

「まぁ、撃退できたのはキョウがいたからなんだし、喜んでもバチは当たらないと思うよ」

「そうそう!」

 と励ましてくれた。ほんとにあいつらよりもいいやつらだ。組む相手まじでミスったな。

 とまぁそんな感じでギルドではお祭り騒ぎだった。

 俺は途中で用事があると言い、早めに帰ってきた。

 メラとキララも帰りたいと言ってきたが、街を救ったヒーローがただの酔っ払いの篠宮というのは少し違うと思い、置いてきた。


 ちなみに後でこっぴどく怒られた。どうやら2人も酒を飲めと言われまくって嫌になったらしい。


 そんな事は置いておいて、ひとまず今現在の課題を考えよう。まず、一番の問題はキララだ。四天王に狙われている。それはつまり、あのヴァンパイアよりも格上の相手と敵対するということだ。


 ギルドの方からジコには直接連絡してくれと頼んでおいた。流石にそこそこ発展している街のギルドからの手紙だ。無視はしないだろう。

 ということで、俺が王都に行く理由はなくなったわけだが。どうしようか。

 俺一人でヴァンパイアと戦って勝てた確率は0だ。篠宮の援護が強すぎたことと、まだ日が出ていてヴァンパイアが全力を出せていなかったから勝てた。

 俺もまだまだだな。さっさと帰りたいというのに。

 そういえばスキルポイントとか貯まってたりしないかな。最近はあまり振ってなかった気がする。

 モンスーンを確認すると、20ポイント貯まっていた。

 俺はスキルポイントの10ポイントを消費して、魔法の威力を小アップさせるスキルと、残りのスキルポイントで自身のスピードを上げる肉体強化に使っておいた。これでスピードの基礎値が少し上がったはずだ。


 とりあえず、今日の晩飯の食材を買ってこよう。今日は……、カレーでいいか。


 飯を食った俺はギルドへ行こうとしたが、どうせまだ騒いでいてクエストを受けるどころではないだろうと思い、部屋で筋トレをしていた。

 時刻が7時を回った頃、俺の部屋にノック音が響く。

 ドアを開けると、キララが不安そうな顔をして突っ立っていた。

「……何か怖いことでもあるのか?」

 とりあえず聞いてみると。

「い、いーや?な〜んにも怖くないのだが。その、えぇっと」

「人間誰しも怖がるものだ。話してみろ」

 キララの顔がぶあぁっと安心した顔に変わる。だがそれでもプライドがあるのがキララだ。

「別にそこまで怖くないのだが、四天王の嫁にされるという話について、少し話しておきたくてな」

 まだ怖くないとか見栄を張っている。だが、四天王の嫁にされるということを知りながらここまで強がれるのはさすがだ。何とかして対策を練らなければ。

「明日ギルドに行って王都にできる限り急いでくれと頼み込もう。もし断られても金ならある」

「りょ、了解した。それじゃ……また明日な」

 少し寂しそうな顔をしているキララを見てると昔の自分を思い出す。


 日本で初めて殺しの依頼を受けた頃、逆恨みされて殺されないか、とか色々怯えていたものだ。実際何にもなかったが。


 だからなのか、自然とキララを安心させてあげたいと思った。

「安心しろ。お前は一応、パーティーの仲間だ。仲間の危機を守るのが仲間だ。俺だけじゃなく、メラも篠宮もお前のことを守ってくれる。だから大丈夫だ」

 自分でも驚いた。あの俺がこんな事を言うなんて。やはりこの世界に来てから、情というものが芽生え始めてしまったのか。

 それを聞いたキララは、泣きそうだった。それでも泣くのは我慢して、「我も負けない……」と言い、部屋に戻っていった。

 俺ももっと強くなって早く魔王を討伐しなければな。待っていろよ、魔王。日本の殺し屋をなめるな。


 翌日、レベル上げのためにクエストを受けにギルドへと向かった。

 そこでBランクの最上位クエスト、サタンジャックの討伐クエストを受けた。

 サタンジャックは、そこそこ腕の立つハンターたちの防具を簡単に切り裂くことができるダブルナイフを使うそうだ。まるで殺人鬼のようなモンスターのため、切り裂き鬼のサタンジャックとまで言われるほどだ。


 今日は、メラと2人でクエストに行くことになった。

 なぜなら昨日篠宮が飲みすぎて、今も二日酔い状態だからだ。逆にキララに篠宮のことを見ててほしいと頼んでおいた。


「久しぶりだな。2人でクエストなんて」

「そうね!懐かしいわ〜」

 そんな会話を交わしながら、今回倒しに来たサタンジャックが住んでいる雪山を登っている最中だ。

 この雪山は気温が低い。だが、雪は降らずに気温だけが低いという謎の山だ。

 そんなところに来ている俺たちは同然寒がっていた。特にメラが。

 寒さで震える中で俺の中で一つの疑問が浮かんでいた。

 それは、もうすぐサタンジャックがいる目的地に着くというのに、モンスターに一匹も出会っていないことだ。

 今までのクエストだったら、少なくともターゲット以外にも必ずモンスターに遭遇していた。

 まぁ、雪山だからこれが普通なのかもしれない、と思いメラと並んで歩き続ける。


 そうして山の山頂に着いた。

 そこには血だらけで既に討伐されているサタンジャックと、ナイフを片手に持ちサタンジャックを見下ろしている男が立っていた。

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