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Sランクの強さ

 不気味な笑みを浮かべるヴァンパイアと、背筋が凍るような圧を受け、今にも逃げ出してしまいそうな街のハンター達、そしてそのハンター達の前に立つ俺と篠宮。

 さてどうするか。予想以上に凄まじい圧だ。だが、ここまでの圧、元の世界では絶対に味わうことのできないものだ。

 汗が顔の左側を伝う。そしてそのまま俺も口角を上げる。それを見たヴァンパイアが、俺が強がっているように見えたのか、いきなり話をしてくる。

『俺はヴァンパイアのカブラ。そこの青年よ、名は何という』

 禍々しい声だ。素人なら失神しているだろう。まぁ俺なら耐えられるが。今はまだ体がこの圧に慣れていない。少しでも時間を稼いで体に慣れさせる。そのためには話をしたほうがいいだろう。

「俺は宮崎境。お前を今から殺す男だ」

『俺相手に堂々と殺害予告をするものなど十数年ぶりだな。面白い!』

 見た感じ戦闘狂ってところか。おそらく真正面から戦うのが得意なのだろう。

 本当ならどんな卑怯な手を使ってでも殺したいのだが、こいつはSランクモンスター、つまりまだXランクの四天王、そして魔王がいる。そしておそらくそいつらは全員こいつなんかよりも強いのだろう。ここでヴァンパイア如きに勝てないで、どうやって魔王を討伐するというのか。

 ここは一発真正面からやってみるか。

 俺は少し横にずれる。そしてカブラから目線を離さずに篠宮に小声で伝える。

「俺に強化魔法を使ってくれ。あいつと正面から戦ってくる。その隙に他のハンターに伝えてくれ。コウモリの攻撃のような遠距離攻撃はお前らが撃ち落としてくれ、とな」

「了解。んじゃ行くよ〜、ストロングステータス!!」

 篠宮が俺に強化魔法を使った。なんだか体が軽くなり、気分がいい。多分肉体も強化されていることだろう。

『ようやく来るか』

 俺たちが準備してくれている間、カブラはずっと無言で待っていた。きっと卑怯な真似はしないのだろう。

「行くぞ!!」

 俺は自分に語りかけるように気合を入れて声を出した。


『バットモールド!!』

 カブラの羽織っているマントから無数のコウモリが出てきた。

 だが、それは情報通りだ。この俺が相手の技を知っていて何も対策しないなどありえない。

「魔力強化!ロックウォール!!」

 俺の前に巨大で分厚い石の壁を作り出す。


 魔力強化。それは自身の魔力の威力を上げる方法だ。やり方は難しく、脳をうまくコントロールしなくてはいけない。最近知って特訓していたおかげか一発で成功できた。


 ロックウォールのおかげでコウモリの攻撃は免れた。そして俺の姿もカブラからは視認できていない。

 俺は隠密を発動させる。気配を消してカブラに近づく。

 もう少しで刃が届く距離になる。

 だが、

『バレているぞ!!』

 突然カブラが声を張り上げる。

 そしてさっきのようにマントから無数コウモリを召喚した。だがさっきとは違い、自身の周りから全方位にコウモリを飛ばす。

 まずい近づきすぎた。

「っ!!」

 必死にバックステップを踏む。

 だが、それと同時に土埃が舞う。隠密は姿や気配を消すだけで土埃まで消せるわけではない。

『いたな……』

 カブラが土埃に向かってひっかく。それを俺は必死にかわす。だが少しだけ服に届いてしまった。

 流石はSランクモンスターのヴァンパイア。掠っただけで服が切り裂かれた。

 そして今度は俺が攻めに行く。あいつはさっき、俺が近くにいることには気付いたが、場所までは分かってなかった。だからコウモリを全方位に飛ばしたのだ。なら止まらずに突っ込む!

 俺が銀閃を走らせる。

『うぉ!』

 それをカブラは勘で避けたが、体勢を崩した。これはチャンスだ。そしてまた斬りかかる。が……。

 やつは小さな羽で体勢を一瞬で整えた。

 カブラがニヤッと笑った。

 今の俺は斬りかかりの体制。仕方がない、これは真っ向からの切り合いだ。

 俺のナイフと奴の鋭い爪がぶつかり合う。

 この距離はオレの得意分野なのだが……

「くっ!」

『どうした、どうした。そんなものか?』

 瞬時に俺の体から血飛沫が舞い始める。こんな速さ見たこともない。篠宮の強化がなかったらきっと今頃バラバラになっている事だろう。

「(まずいな、これじゃ間違いなくこっちが先に限界を迎える。どうするか……)」

 考える隙もほとんどないのですぐに後ろに下がる。

 もちろんカブラが逃がすまいと突っ込んでくる。こいつ、隠密で気配をほとんど消しているはずなのに、俺の気配に気付き始めているのか。

 俺はカブラを近づかせないように投げナイフを投じる。

 それもカブラは余裕そうに避けてしまった。


 強いな、これがSランクか。こっちはかなり消耗しているというのに、やつは無傷だ。

 これは魔王討伐とか言っている場合じゃないな。もっと強くならなければ。

 その時、カブラの下に赤色の魔法陣が生成された。

 カブラがその魔法陣から出ようとするが、それよりも早く

「ファイヤーランス!!」

 篠宮が魔法を唱えた。そう、篠宮が全員に作戦を伝え終わったのだ。これならば何とかなるかもしれない。

 篠宮が放った、下から槍のような巨大は、トゲをカブラは食らったが、すぐに回復魔法を使って回復しやがった。

 だが、篠宮と2人で戦えるようになったからか、他のハンターの魔法使いが、魔法を唱えて攻撃し始めたり、戦士が大人数でカブラに突っ込んでいった。

 だが魔法は全て外すか、消されるかして、1つもカブラのもとには届かなかった。

 そして当然のように戦士も一瞬で蹴散らされた。だが、一人だけその場に立っている者がいた。そいつは黒い髪に、白く美しい模様が描かれている鎧を纏った男。手には剣。まさに戦士って感じだ。

 その戦士がカブラに斬りかかりにいく。たが、カブラはそれをいとも簡単に避け、カウンターまで食らわせていた。

「おい!どうする?あいつめっちゃ強いぞ。Sランクモンスター……、大部舐めてた」

 篠宮に作戦を考えてもらう。とは言ってもそんな簡単に思いつくもんかね。

 と思っていると……、

「あっ!思いついたかも!」

 思いつくの早すぎじゃね? まぁどうでもいいが。

 そしてさっきからカブラと戦っている戦士もついに耐えられなくなったのか、その場に倒れた。

 まだ息をしている様子だが、もう虫の息だ。


 そしてこの戦いは篠宮の作戦によってとんでもないことになるんだ──。

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