4.『死亡フラグ』
「ここは俺に任せて先に行け~」
「……………」
「俺、この戦争が終わったら結婚するんだ~」
「…………」
「もらった~! な、何!?」
「…………」
「我が生涯に一片の悔いなし!」
「それはちょっと違くないか?」
そんなこんなで今日もいつものはじまりだ。
「それで今度は何をしてるんだ?」
俺がそう尋ねると、ハルは目を輝かせながらこう言った。
「あのね! わ、わたしね! じ、自分がね! 最期どんな死亡フラグを言おうか考えてたんだ~!」
「なんで、そんなにテンションが高いんだ!?」
こんなハルは今まで見たことが無い。
「だけど、なかなかいいのが見つからなくてさ~」
「そりゃあな。大体死亡フラグを言うやつなんて、大体ロクな死に方しないだろ」
「だから、カッチョイイのを考えてるんだよ~」
ハルはぶすっと頬を膨らませた。
これは俺が萌え死ぬ死亡フラグだろうか?
「大体、お前は死なねーよ。俺が守るから」
我ながらキマったと思う(ドラッグ的な意味で)。
すると、ハルは切なそうな顔をしながら俺を見た。
「ごめんなさい。こういう時、何て顔すればいいか分からないの」
「笑えばいい――」
「ふははははははは!」
「笑いすぎ――」
「そんな事より、死亡フラグを考えよ~」
……もういいや。
「恋人をかばって撃たれる~」
「まあ、普通にカッコいいな」
「喉がカラカラになった時に、カロリーメイトを食べる~」
「確かに死ぬな。主に喉が」
「期末テスト中に、壮大なおならをする~」
「死ぬな。テスト終わりの1分で」
「最期の試合~」
「死ぬな。燃えつきて」
「べ、別にあんたの事なんか好きじゃないんだからね!」
「死ぬな。萌えつきて。つーかさっきからカッコよくないぞ?」
「いやはやカッチョいいのは難しいね~」
するとハルは両手を真上に上げて、降参のポーズをしながら机に突っ伏した。
「まこと考えて~」
「……俺のことは忘れて、新しい恋を見つけるんだ」
「し、死んじゃうよ~。腹筋が~」
「はるううううううううう!」
「死んじゃうよ~。鼓膜が腐って死んじゃうよ~」
「最期にお前の顔を見れて良かった……」
「目がああああ! 目がああああ!」
「やめろよ!? 泣くぞ!? 泣いちゃうぞ!?」
すでに俺のライフは0を過ぎている。
「まあ、あれだね~」
「……何だよ?」
「死にたくないね~」
「そりゃそうだ」
「だからちゃんとわたしの事、守ってね」
「そのためにも一生、側から離れるなよ」
~同時刻~教室内のクラスメイト達。
『リア充死ねー!』