第八十八話:歩いて帰ると決めた日
【注意事項】
本作品には自殺や精神的に重いテーマが含まれています。
読む際にはご自身の心身の状態を十分にご考慮ください。
心の不調を感じた場合は、無理に読み進めず、専門機関や信頼できる人に相談されることをおすすめします。
※この作品はフィクションです。登場人物・団体・事件はすべて架空であり、現実の自殺や暴力を肯定・助長する意図はありません。
「いや、お祈りをして出てきたときには、もうすでにどこかに行っていた。その猫とはそれきり。後日お礼をしようと同じ時間に水筒に水を入れて持っていたけど現れなかった。」
「おじいさん、この時間だと誰も来ませんから、ごゆっくり。じゃあ、私は行きますよ。報告もできたし。」
「あ、ちょっとまって、教えてくれてありがとう。私は長谷川達夫、フランスで生物の研究をしている。」
あんた名前は?」
「私の名前は石川 漣。大学で光を研究していた。…じゃあ、またどこかで。」
そういうと、青年は石段を下りて行った。
それから、私は時間を忘れて、須佐小社と塩釜明神小社にお祈りをして
愚痴ぼやき聞き地蔵尊に語った。地蔵の頭をさすり、小屋を出た。
請負人が待っていた。
「遅かったですね。どうかしましたか?」
「いや、少し、愚痴をこぼしていた。」
「貴方もですか。じゃあ、いきますよ。」
「…そうだな。契約の取り消しはできるか?」
「はい。まだ、死に方や願いなどの諸々の確認をしていませんので。確認が終わる前なら、契約は成立していません。」
「…そうか。私はフランスに一旦帰ろうと思う。そして一年頑張ってみるよ。若者のようにはなれないけど。」
「分かりました。貴方の意志を尊重します。じゃあ、最寄り駅までお送りしますよ。」
「いや、歩くよ。」
「遠くないですか?」
「…遠いだろうな。でも、それが良いんだ。」
「そうですか、では、また私たちが必要な時は調べてください。」
そういうと請負人は車を走らせた。サイドミラーから老人が頭を下げているのが見えた。
そして老人は歩き始めた。
請負人は車を少し走らせた。それから10分後、近くの古墳付近。
I:「あー寒い。来た来た。」
請負人は車を路肩に止めて言う。
請負人:「とりあえず、助手席に乗ってください。」
I:「ありがとう。迎えに来てくれて。」
車を再び走らせる。
I:「全く、何だったんだ。神社から出て、飲み物三本買って古墳の方で合流しようって?」
請負人:「実は…」
I:「え、っていうことは、あのおじいさん。依頼人だったのか?」
I:「あ…なんか悪いな。仕事潰しっちゃって。」
請負人:「いや、貴方は悪い事は何もしていません。それに私は別に人を殺したくてやっていないので、それにこれができるなら、この方が良いのですから。」
I:「そうか。あの、あかしとかいうやつどうなったんだ?私が見た時は心ここにあらずな感じだったけど。」
請負人:「彼はなんか吹っ切れたらしいですよ。今は館で寝ていますかね。」
請負人:「じゃあ、いつも通り、これを。」
I:「また、このピエロのお面かよ。これつけていると寝にくいだよな。」
請負人:「まあ、良いから。良いから。」
請負人:「じゃあ、帰りますよ。館に。石川さん。」
石川:「はいよ、ダンナ。じゃあ、着いたら起こしてくれ。」
いつもご愛読賜りまして、誠にありがとうございます。
重く深いテーマに向き合いながらも、登場人物たちの物語はなお続いております。
彼らの心の揺れや選択の行く末を、これからも温かく見守っていただけますと幸いに存じます。
一歩ずつ前へ進む姿を、読者の皆様と共に感じられますことを心より願っております。
次回も変わらぬご厚情を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
次回もまた、どうぞよろしくお願いいたします。
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次回更新日:12月28日 22時(社会情勢によって変動。)




