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自殺請負人ー依頼は、命の終わらせ方ー  作者: マイライト
沈む研究者

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第八十七話:契約の前で

【注意事項】

本作品には自殺や精神的に重いテーマが含まれています。

読む際にはご自身の心身の状態を十分にご考慮ください。

心の不調を感じた場合は、無理に読み進めず、専門機関や信頼できる人に相談されることをおすすめします。


※この作品はフィクションです。登場人物・団体・事件はすべて架空であり、現実の自殺や暴力を肯定・助長する意図はありません。

お祈りをして、石段を下る。

湯屋神社を後にして、少し歩くと、布袋尊の像がみえた。長谷川はお祈りをした。


そして、塩澤寺へと向かった。「塩澤寺、どこかで聞いたことあるような。」

請負人「来ましたか?」

長谷川「待たせてしまって申し訳ない。」

長谷川「…って、ここは、毎年2月に行われる厄除け地蔵尊で有名な寺院じゃないか。」

請負人「まだ時間がかかりそうなので。行きたいなら行っても良いですよ。」

長谷川「…」

長谷川は、石段を昇った。


塩澤寺の周辺に、風が竹にあたり、竹藪がざわめている。本堂は灯りを落とし、闇の中に輪郭だけを残して佇んでいた。


足元の石畳は長い年月に磨かれ、わずかに湿っている。

歩くたび、かすかな冷えが靴底から伝わり、

ここが「生きている場所」ではなく、

時間が積み重なった場所であることを思い出させた。


並ぶ石仏たちは目を閉じ、何も語らない。

ただ、祈りの余韻だけが境内に残り、

去ろうとする背中に、静かに絡みついてくる。


湯村山に続く山道は、恐怖心を感じるほど威厳を示している。


長谷川は、先程同様お祈りをして、その場を去ろうとした。


すると、一人の若者、20代くらいの男性が話しかけてきた。

「おじいさん。おじいさん。こっち、こっち」

若者が手招きをしている。

「…?」

「おじいさん、ここら辺の人じゃないな?」

「はあ…」

長谷川は手招きされた場所まで歩いた。

「…これは、神社?こんなところあるんですね。知りませんでした。貴方はここらに住まわれているんですか?」

「いや、数年前までは、この辺に住んでいたのですが、私も知りませんでしたよ。猫に導いてもらうまではね。」

長谷川:「…猫?」

若者:「ええ、嘘だと思われるかもしれませんが、ほんとの話しなんです。その年は二十歳の集いや研究室の配属とかで、とても大事な年だったんです。だから、この神社で行われていた

2月の厄除地蔵尊大祭が終わってからも、ずっと通っていたんです。この神社に。絶対に良い年にしたかったから。その時に今のおじいさんみたいに、ずっと願っていたんです。毎日、毎日、早朝に。雨の日だって。雪が降った翌日だって関係なしにね。」

「それをどこからか見ていたのか、3月に入ったある日。いつも通り、お祈りをして帰ろうとしていたところ、猫のニャー、ニャーという声が聞こえて、その声の方を向いてみると、黒猫が居たんです。その猫は私に気づくと案内するように、この神社に案内してくれました。そして。私も知ったんです。疫病退散平癒祈願の「須佐小社」、縁結びと安産祈願の「塩釜明神小社」の存在にね。そして、この」

若者は竹の扉のロックし、扉を押した。

「愚痴ぼやき聞き地蔵尊のことをね。そして再び思ったんです。頑張ろうって。」

「…そうなんですか。」

沈黙が続く。長谷川は口を開く。

「・・・その神社を教えてくれた猫、今は飼い猫に?」



いつもご愛読賜りまして、誠にありがとうございます。


重く深いテーマに向き合いながらも、登場人物たちの物語はなお続いております。


彼らの心の揺れや選択の行く末を、これからも温かく見守っていただけますと幸いに存じます。


一歩ずつ前へ進む姿を、読者の皆様と共に感じられますことを心より願っております。


次回も変わらぬご厚情を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。


次回もまた、どうぞよろしくお願いいたします。


―――――――――――――――――――――――――――――――――

次回更新日:12月28日 18時,22時(社会情勢によって変動。)

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