第三十九話:渡された思い
【注意事項】
本作品には自殺や精神的に重いテーマが含まれています。
読む際にはご自身の心身の状態を十分にご考慮ください。
心の不調を感じた場合は、無理に読み進めず、専門機関や信頼できる人に相談されることをおすすめします。
※この作品はフィクションです。登場人物・団体・事件はすべて架空であり、現実の自殺や暴力を肯定・助長する意図はありません。
こうして二日目のお手伝いが終わり、昨日行けなかった、古着屋に向かった。
古着屋では、30代くらいの男性の店員と俺と同い年くらいの若い女性の店員がおばあさんの会計をしていた。
男性の店員は裏で、配送時に使用ための書類記入の準備をしている。
おばあさん:「すみません。ラッピングをお願いしたいのですが。」
女性の店員:「ありがとうございます。お孫さんへのプレゼントですか?」
おばあさん:「いえ、知り合いの子に渡すんです。宛名は小島 冬香でお願いします。」
女性の店員:「わかりました。少々お待ちください。」
彼女は丁寧にラッピングをし終えた彼女は明るく言う。
「ありがとうございました。」
俺は隙を見つけて男性に話しかけようとしたところ、
ラッピングを終えた女性の方が俺をじーとみつめて話しかけてきた。
女性の店員:「あの・・・何か?」
「あーいや、今自殺請負人のことについて聞いていて。」
彼女は食い気味に答えた。
「何かあったんだね」
「いや...そういうことじゃなくて、実は俺、話せば長くなるんですけど、訳あって記憶がなくて、その記憶の鍵になるかもしれないのが自殺請負人なんです。」
彼女はしばらく沈黙し、静かに問いかけた。
「その記憶を知ると、あなたは本当に幸せになれると思う?」
「わかりません。でも…知りたいんです。恩人のためにも、自分がちゃんと生きていけるように」
女性は少し考え、首を振った。
「そうですか。でもごめんなさい。自殺請負人のことは、私にはわからないの」
「あ…そうですか。お時間をとらせてしまい、すみません」
「ちょっと待ってて」
彼女は男性スタッフの元へ歩き、数秒後に戻ってきた。そして手渡されたのは、龍の竹のストラップと亀の竹のストラップだった。
「これも何かの縁です。サービスです。知り合いの方にもどうぞ。貴方たちに幸せが訪れますように」
「いや……もらえませんよ。すみません」
「いいからいいから。じゃあ、2つで400円で良いよ」
「はい、じゃあこれで」
「はい、まいどあり。元気でね」
そう言うと、彼女は再び男性スタッフの方へ戻って行った。
俺はやっさんの方に戻ると、何やら騒がしかった。
「おー戻ったか?あか」
「やっさんは明日引っ越し準備だから今日お別れ会をやることになったんだ。」
「お別れ会?」
「俺たち、やっさんには世話になったからせめてな。」
その夜、河川敷のテントの一角で、小さな宴が開かれた。
スーパーの惣菜や、コンビニの缶ビール。誰もが少しずつ持ち寄った、ささやかな見送りの席だ。
「やっさん、住み込みで働くんだってな」
「おうよ。……もう、流れ者生活も潮時だ」
周囲は「すげえな」「頑張れよ」と口々に声をかけた。
やっさんはいつもの調子で笑っていたが、その笑顔の奥に、ふと影が見え隠れしているように思えた。
「……お前と一緒に過ごした夜、悪くなかったぜ、あかし」
やっさんは唐揚げをつまみながら、ぽつりと言った。
俺は冗談めかして返す。
「働き先が嫌になったら戻ってきてもいいんですよ。やっさん。そうでしょ?そのときは、また一緒に酒でも飲もうよ。」
やっさんは言った。
「お前、酒飲めねえだろ?そういうのは飲めるやつが言うんだよ。大抵は」
その言葉にみんなは笑ったが、やっさんだけは笑わなかった。
やっさん「これ、プレゼント、全然お礼できなかったから・・・」
亀のストラップを渡した。
低い声で「……別にお礼なんて」と呟いていた。
その後、やっさんは一人ひとりと握手を交わした。
俺の手を強く握り、目を逸らしたまま短く「ありがとな」とだけ残した。
俺たちはそのまま眠りに着いた。
いつもご愛読賜りまして、誠にありがとうございます。
重く深いテーマに向き合いながらも、登場人物たちの物語はなお続いております。
彼らの心の揺れや選択の行く末を、これからも温かく見守っていただけますと幸いに存じます。
一歩ずつ前へ進む姿を、読者の皆様と共に感じられますことを心より願っております。
次回も変わらぬご厚情を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
次回もまた、どうぞよろしくお願いいたします。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
次回更新日:10月05日 18時,22時(社会情勢によって変動。)
次回予告:死に関わる二人が接触。




