表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
自殺請負人ー依頼は、命の終わらせ方ー  作者: マイライト
迷える少女

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/65

第二十話:重なる思い

【注意事項】


本作品には自殺や精神的に重いテーマが含まれています。


読む際にはご自身の心身の状態を十分にご考慮ください。


心の不調を感じた場合は、無理に読み進めず、専門機関や信頼できる人に相談されることをおすすめします。


※この作品はフィクションです。登場人物・団体・事件はすべて架空であり、現実の自殺や暴力を肯定・助長する意図はありません。

小島ちゃんは息を吸い込み、ためらいがちに語り始めた。

「私ね、学校では……授業を受けて、休み時間はいつも図書室で本を読んでた。小学校の頃は仲良くしてた子も、みんな変わっちゃって……気づいたら、いじめる側といじめられる側に分かれてしまってた。私はそれを見て怖くなって、誰にも話しかけられなくなった。いじめられてる子を助けたかったけど……それもできなかった。自分も同じ目に遭うのが怖くて」


小さく唇を噛むと、言葉を続ける。

「放課後はイラスト部に入って、絵を描いてた。絵は上手じゃないけど、色を塗るのが好きで、ちょっと変わった色を選んだりして……でも、そんな個性は認められなかった。『変だ』って笑われて、いじめの理由にされた」


一瞬ためらい、小島ちゃんはさらに声を落とす。

「家でも……自由はなかった。描いた絵は必ず母に見せなきゃいけなくて。『やめて』って言ったけど、『親なんだから当然でしょ』って。そればかり。……本当はただ監視したいだけなんだって、分かってた」


「絵を見せるたびに、『この絵は何?どういう意味?』って問い詰められる。……学校に行けなくなったら、今度はWi-Fiを切られて。『教育だ』って。私は……居場所がどこにもなかった」


小さな声が震え、涙がにじむ。

「だから……何度も死のうと思った。でも、痛くなく死ぬ方法が分からなくて。結局……最後の手段に出たのに」


私は静かに頷いた。

「……私はね、無理に生きろとは言わない。その人の痛みは、その人にしか分からないから。でも、もし今少しでも楽しいことがあったり、これからの楽しみを見つけられる可能性があるなら……そのために生きる価値はあると思う。だって、死ぬことはいつでもできるから。特に大人になればね」


小島ちゃんは顔を上げる。

「先生に親のことを話したら、『親御さんを大切に』って言われた。親はそう思ってないのに……。学校に行ったほうがいいのかな」


私は小さく笑って、肩をすくめた。

「先生もいろいろだよ。とんちんかんなことを言う人もいれば、クズもいるし、ちゃんと向き合ってくれる先生もいる。でもね、学校ならまだ巻き込める人がたくさんいる。声を上げれば、必ず誰かが気づいて力になってくれる。……社会に出たら、そうはいかない。面倒ごとを避ける人ばかりで、関係を切られることの方が多い。私はそういうのを、嫌ってほど見てきた」


読んでくださり、ありがとうございます。








重いテーマに向き合いながらも、登場人物たちの物語はまだ続いていきます。




彼らの心の揺れ動きや選択を、これからも見守っていただけたら嬉しいです。




一歩ずつ前に進む姿を一緒に感じていただければ幸いです。








次回もまた、どうぞよろしくお願いいたします。




次回更新日:2025年8月31日(日) 22時(社会情勢によって変動。)

次回予告:色々あるよね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ