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自殺請負人ー依頼は、命の終わらせ方ー  作者: マイライト
迷える少女

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14/65

第十四話:刑事 真田 治の杞憂な一日

【注意事項】


本作品には自殺や精神的に重いテーマが含まれています。


読む際にはご自身の心身の状態を十分にご考慮ください。


心の不調を感じた場合は、無理に読み進めず、専門機関や信頼できる人に相談されることをおすすめします。


※この作品はフィクションです。登場人物・団体・事件はすべて架空であり、現実の自殺や暴力を肯定・助長する意図はありません。

帰宅途中のことだった。


少年は後ろからついてくる知り合いたちを振り切った。

「なんだよ、晴氏どこ行った? 吉川、お前の方にいるか?」

「毛利、晴氏いないよ」

「くそ、また巻かれたか。次こそ家を見つけてやる」


そのやり取りを、木陰に隠れて聞いていた。

彼らが去るのを確認すると、思わず小さく笑みがこぼれた。

「全く、懲りないやつらだな。相変わらずだ……」


――そこで私は目を覚ました。


「……夢か。嫌な夢だったな……相変わらず」


私の名前は真田治さなだ おさむ

捜査一課の刑事で、今は先輩の高坂の部下として働いている。


昨夜は高坂さんと一杯やった。

「昨日の酒が残ってるのか……よりによって、卒アルが行方不明ってのに」


朝7時、ため息をつき、朝食の準備を始める。

トーストを焼き、フライパンに卵を落とす。黄身がぷっくり膨らみ、油がじゅっと弾けた。

インスタント味噌汁を椀によそい、食卓に並べる。

「いただきます」

頭痛はかすかに残っていたが、温かいものが胃に入ると少し和らいだ。


テレビからは軽快な音楽が流れる。

『今日の運勢、第六位はおうし座です。周囲への感謝を忘れずに』

「はいはい、感謝してますよ」


コーヒーを流し込み、散歩に出た。


初夏の名残を感じる空気。街路樹の葉は色づき始め、遠くで蝉の声が細々と続く。

川沿いを歩けば、ジョギング中の親子や犬を連れた老人とすれ違った。時計は8時を指している。

「平和だな……」


刑事としての職業柄、その平穏がかえって不気味に思える。

そのころ警視庁では、事件発生の報が入り、署内は静かな緊張に包まれていた。


高坂は資料に目を通しながら、課長に内線で連絡を入れる。

「課長、休日ですが緊急の捜査協力をお願いしたいのですが」


課長は少し考え込んだ後、低い声で答えた。

「わかった。真田刑事を呼び出すよう手配してくれ」


高坂は頷き、無線を手に取る。

「真田、課長からの依頼だ。至急署に来てくれ」


携帯が震え、低く簡潔な高坂の声が響く。

「急遽警視庁に来られるか。すぐ終わる」


私は即答する。

「分かりました。今日は予定がないので、一時間後に向かいます」

「すまん」

「いえ、これも仕事です」


帰りにスーパーで食材を買い、袋を手に階段を上がると、上階が妙に騒がしい。


9時30分:

1413号室の田中おばさんの背中が見えた。

「落ち着いて……とにかく……!」


「どうしました?」と声をかけると、田中さんは震えた手で隣を指さす。

「1412号室の小島ちゃんが――」


「放っといてよ! もう全部嫌なんだ!」

小島さんの叫びが響いた。


咄嗟に手すりを越え、隣のベランダへ飛び移る。

田中さんが悲鳴を上げた。


驚いた目で小島さんがこちらを見る。

「大丈夫か? 何かあるなら話を聞かせてくれ」


田中さんが慌てて口を開く。

「大丈夫? アンタ、ご両親呼ぶ?」


「大丈夫です。ご心配ありがとうございます」

小島さんはそれだけ言った。


読んでくださり、ありがとうございます。








重いテーマに向き合いながらも、登場人物たちの物語はまだ続いていきます。




彼らの心の揺れ動きや選択を、これからも見守っていただけたら嬉しいです。




一歩ずつ前に進む姿を一緒に感じていただければ幸いです。








次回もまた、どうぞよろしくお願いいたします。




次回更新日:2025年8月31日(日) 8時

次回予告:助っ人登場!。

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