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魔法で荷物お運びします!  作者: 耳折れ猫
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空の民の里

 私達がラーダ島から帰って1週間が過ぎた。

 ダンスコンクールを蹴ってラーダ島に来てくれたシャーラン君は、パートナーだったアイルーシャ様にお詫びをするために、パーティーのエスコートに追われている。申し訳ない事だ。


 そして私の空間収納には、黒飛竜の卵が52個入っている。当然満員状態なので配達業務はお休みするしかない。

 私の仕事ができない期間は、国から保証金が出るので生活は困らないのだが、空間収納に入れているだけなので、私は暇なのである。


 私はその間に大学に行ったり、先生の新作の資料を探したり、[空の民]の里を訪れたりしていた。

 大学と里に行くのはなぜかと言うと、卵がいつ孵化するか誰もわからなかったからである。

 スピアーノさんが前に調べていたので、孵化に必要な温度が50度という事はわかっていた。

だから空間収納の温度は50度に保っている。

 しかし、孵化するまでどのくらいかかるか誰も知らなかったのである。

 そこで赤飛竜を育てている[空の民]の皆さんに聞いてみようと里を訪れたのだが、赤飛竜はお母さんとお父さんが交代で温めるらしく、地熱で温める黒飛竜とは全く違うらしい。

 赤飛竜は1ヶ月くらいで孵るけど、黒飛竜はどのくらいかかるのだろう?

 わからない事だらけだから、里に来て赤飛竜の子育て情報を集め、飛竜の一般的な雛の世話の仕方を習う事にしたのだった。


 私の先生は9才の双子の男の子キャランとキャロンである。

 大人の成竜は廐舎にいるのだが、卵を温める産屋は1ペアごと離した独立した建物があった。

 赤飛竜は魔力を持った魔魚という、村から近い湖で獲れる魚を食べるので、卵を温めるペアは交代で湖に行って魔魚を食べに行っていた。

 そうやってペアが温めて孵化した雛は、親の消化途中の魔魚を食べさせてもらって成長するのだ。


 キャランとキャロンは、廐舎の藁を取り替えて掃除をしたり、水を汲んで運んだりするのが仕事だった。

 生まれる雛は1匹なので、量は親の胃の魔魚だけで充分なようだった。


「黒飛竜の雛は何を食べるのだろう?」


 私の疑問に答えてくれたのが、シャーラン君のお母さんであるミメラジーナさんだった。

 ミメラジーナさんは、ベルーガ王国の東にあるラフラン群島王国の出身の32才の美しい女性だ。

 とても16才の息子がいるようには見えない。

 ちなみにシャーラン君は、ベルーガ語の読み書き以外の理数系科目はミメラジーナさんに教わっていたそうだ。だから王立学園の単位もすぐ取れたと言っていた。

 そのミメラジーナさんは祖国で、黒飛竜の雛を見た事があったと話をしてくれた。


「黒飛竜の雛は魔魚とか魔物の肉をすり潰した物を食べていたわ」


 なんと、黒飛竜の雛達は魔力を帯びた肉なら何でも喜んで食べるのだそうだ。

 そうすると、王都にある大学より新鮮な魔魚や魔物の肉が手に入りやすいマンドラ山脈にある里の方が子育てしやすいだろう。


 それなので、卵から孵った雛は国が里に委託料を払って育ててもらう事になったのだった。


 キャランとキャロンは、新しく掘られた井戸から水を汲み、藁を取り替え、掃き清めて清潔な産屋にしていた。

 生まれたばかりの雛は、世話をしてくれた人に懐いて、大きくなってから乗り手として選んでくれる事が多いらしい。

 ここでは乗り手は赤飛竜の方が選ぶのだ。

だから子供達は一生懸命雛の世話をする。

 どの赤飛竜にも乗せてもらえないと、里の仕事は畑仕事や猟師の仕事が与えられる。

 山奥の辺境の里なので、ここでは皆が協力して働いている。

 ここの子供達は、子供の頃から働き者なのだ。

水汲みも地震が来る前は川まで水汲みに行っていたと彼らは言っていた。

 ランド男爵領として自治領からベルーガ王国に編入されたので家や道を直してもらえ、井戸も掘ってくれたと喜んでいた。


 里が豊かになって、学校ができたら彼らも教育を受けられるかもしれない。

 飛竜に乗る乗り手は字の読み書きができないと仕事にならない。

 一日も早くこの里に学校ができることを私は願っていた。


 そんな日々を過ごしていたある日、元気に里長の家で帳簿付けをしていたミメラジーナさんが突然倒れたとの報が入った。


 

 





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