ラーダ島の噴火
火山の噴火場面があります。ご注意下さい!
誤字、脱字報告いつもありがとうございます。
私達は、春の中日の前日に船でラーダ島に向かった。
朝方島に近づいたが、空に黒飛竜が見当たらない。
私達は安心して大きい船から小舟に乗り換え島に上陸した。
以前卵の産卵場所に行った事があるスピアーノさんが先頭になり、足元の悪い岩の上を歩いて進んだ。
「黒飛竜いませんね?」
体力の劣る私は、重い岩石亀のヘルメットやプロテクターを学生のジークさんに持ってもらっていた。
そのジークさんが空を見上げ不安そうに言った。
「黒飛竜が居たら居たで怖いんですけど、全くいないと不安になるものなんですね」
私も感じていたので相槌をうった。
「ここです」
スピアーノさんの言葉に足元しか見ていなかった私は頭を上げた。
なだらかな砂地に埋もれた黒飛竜の卵が並んでいた。
「うわ〜、多いな。
僕達がこちらに集めますから、ジェンナさんは集める側から入れて行って下さい」
「わかりました」
重いヘルメットとプロテクターを置いて、スピアーノさんとジークさんが卵を集めに行った。
私も近い所にある卵を温めておいた収納空間に入れていく。
「火山が噴火したら大変だから安全な所に行こうね」
私は卵に語りかけながら卵を入れていった。
しばらく集められた卵を入れる事に専念していた時に「ゴゴゴゴオオオオオオオオオオオオ」と大きな音がして地面が揺れた。
「これは噴火したかもしれませんね」学生のジークさんが不安そうな表情で帰って来た。
「ここより高い所の卵は回収が終わりました。次は下の方に行ってきます。とにかく急ぎましょう!」
そう言って2人は下の方に降りて行った。
私は回収した卵を数えてみた。48、49、50個
もう少しかな?
「これで全部だと思います」
スピアーノさんとジークさんが1個づつ抱えて帰って来たので2つの卵を納めた。
「さあ、噴石が飛んで来るかもしれません。このヘルメットを被って下さい。急いで帰りましょう」
私達は、ヘルメットを被り、プロテクターを付けて元来た道を帰る事にした。
3人で並んでいたのだが、プロテクターは重く足元が悪いので私は遅れがちになった。
そこへガスが漂って来て視界が悪くなった。
「ジェンナさん大丈夫ですか?」
スピアーノさんの声が聞こえる。白いモヤの中でスピアーノさんの赤い上着が見えた。
「大丈夫です!」
私は赤い上着を目印にスピアーノさんの後を辿っていた。
ふいに視界が真っ白になって一気に何も見えなくなった。
「スピアーノさん!ジークさん!」
私は大きな声で叫んだが、スピアーノさんからもジークさんからも応じる声が無かった。
「どうしよう。はぐれた?」
風が吹いて白いモヤが消えた時、周りに誰もおらず私は一人で立っていた。
「どっちから来たんだっけ?こっちかな?
スピアーノさん!ジークさん!」
私は声の限りに叫んだが、歩いた記憶が無い所で一人に迷っていたのである。
「どうしよう、どっちへ行けば良いの!」
私は泣きながら「スピアーノさん!ジークさん!…
シャーラン君助けて!」と叫んだ。
すると「ジェンナ〜どこだ〜」と声が聞こえた。
「シャーラン君?ここよ〜!シャーラン君助けて〜!」
私は精一杯大きな声で叫んだ。
すると、空からクゥに乗ったシャーラン君が降りて来て、「ジェンナ探したんだぞ!早く乗れ!」と言って手を引っ張った。
私がクゥの後ろに乗った途端にクゥは空に舞い上がった。
「ジェンナ、さっきラーダ島が噴火したんだ。スピアーノさんとジークさんは船着場に着いたけど、ジェンナが途中でいなくなったって言うから俺が空から探しに来た」
やっぱりさっきの轟音は噴火の音だったんだ。
今になって震えが来た。もう少しシャーラン君が来てくれるのが遅かったらどうなっていた事か。
でも卵が全部救出できて本当に良かった。
「ってシャーラン君!ダンスコンクールは?今日じゃなかったの?」
「ダンスコンクールじゃねーよ!やっぱりお前は迷子になってたじゃないか!
何か嫌な予感がするからこっち来て正解だったよ!」
シャーラン君は私が何かしでかして、困った事になる予感がしたのだそうだ。だからダンスコンクールを蹴って、クゥに乗ってやって来たと言っていた。
「そんな、シャーランの卒業がかかってたのに…」
「ダンスコンクールは毎年あるんだ。ダンス以外の単位は全部取ったし、来年卒業すれば良い事だよ」
「何か、シャーラン君がカッコ良いんですけど 」
「俺は前からカッコ良いって!今わかったのか?
ほら船着場にスピアーノさんとジークさんがいるぞ。手を振って安心させてやれ」
「うん、スピアーノさん、ジークさん!私、大丈夫です!ありがとうございました!」
私は船着場にいたスピアーノさんとジークさんに手を振った。
彼らも振り返してくれたので、すぐに船で避難してくれるだろう。
私達は、ぐるっと旋回してさっきいた産卵場所を見てみた。
産卵場所は、噴石で埋め尽くされて地熱の高い砂地は
少しも見当たらなくなっていた。
「もうちょっと遅かったら危なかったね」
「本当だよ。方向音痴め!」
「えっ卵の事を言ったのに!」
私達は教授の乗る大きな船の上を旋回して無事を伝えると一足先に王都を目指して飛んだ。
少し離れてラーダ島の全体を見ると、山の頂から激しく噴煙を上げているのが見えた。
「シャーラン君、助けに来てくれてありがとう」
私が言った言葉にシャーラン君が「お前が助かって良かった」と一言だけ返してくれた。




