異変
その後、ミアも勉強会に来るようになり、彼女は生来の負けん気の強さを発揮して、すぐに字を覚え、書けるようになった。
「ほーっほっほっ、私が本気になれば、こんな読み書きなんて簡単なものよ!」
「おまえな、その調子の良さはどうにかしてくれよ」
シャーラン君はため息混じりにミアをたしなめた。
「あの役人は昨日俺に「癒し草50束の中からイリスに20束届けて、ハリルにポーション100本のうち30本届けて、残りをレーカーに届けろって書いた発注書持って来たんだぜ。あいつ計算ができないとまた難癖つける気満々だったんだろうな。ミアもできるだけ計算できるように勉強してくれよ」
「うっそー!あいつホント嫌な奴だよね〜!よし、ミアちゃん頑張る!」
「アハハ…頑張って!」
ミアのやる気に満ちた宣言に皆が笑った後、シャーラン君が口を開いた。
「そういえばさ、もうすぐ感謝祭だけど、東部のウェナの辺りは感謝祭でホールラビットの丸焼きを食べるんだって」
「ホールラビットって魔物でしょ?魔物を食べるの?」
「うん、ホールラビットって弱いから新人冒険者がよく狩る獲物なんだって。
だから毎年感謝祭の前に冒険者ギルドにホールラビット狩りの依頼が入るんだけど、今年はウェナの辺りにホールラビットが全然いないから、ウェナの食肉業者が困ってるって聞いた」
「なんでかな?感謝祭で食べられるのが嫌でよそに逃げているとか?」
ベルーガ王国では、感謝祭で西部は鶏の丸焼きを食べて、東部はホールラビットの丸焼きを食べる風習がある。王都はほぼ真ん中にあるのと人口が多いので両方とも売られていた。
「それで毎年東部で手に入っていたのが今年は手に入らないから、西部で狩ったホールラビットを運ぶんだって。
もしかしたら馬車で運ぶと間に合わないから赤飛竜で運んでもらうようになるかもって事務所の人が言ってた」
「えっ、飛竜で生き物運ぶのって暴れないかな?牛とか前に空飛んだらビックリして目を回していたじゃん」
「冒険者ギルドが持ってる檻を改造して中から外が見えないよう天井が無い箱状にするらしい。ホールラビットは飛ぶわけじゃないから天井はなくてもいけるだろうって言ってた」
「ふーん、安い馬車じゃなくて飛竜に乗せようって、よっぽど感謝祭にうさぎ肉食べたいんだね。私は熊の肉の方が好きだな」
「えっ、ミア達は感謝祭で熊を食べるの?」
「そうだよ、冬眠する前でいっぱい山の恵みを食べているから肉が柔らかくて美味しいんだ〜」
土地が変われば食べる物も違うんだね〜という話でその場は終わった。
だけどなぜホールラビットが東部からいなくなったんだろう?
ジェンナはちょっと気になった。
年末進行で今日から3日間連続投稿します。




