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魔法で荷物お運びします!  作者: 耳折れ猫
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神授の儀式

 リジスからの美味しいお菓子の差し入れを食べながら、ジェンナ達は休憩を取っていた。


「それでさ、前の院長は、孤児院の経費を着服して酒や博打に使ってたんだって!

それがバレて罷免されて新しい院長先生が来たんだけど、今度の孤児院長先生は引退した神父様が、ぜひにって請われて来る事になったんだ。

そうしたら、今までパンも数が足りなくて一欠片ずつしかもらえなかったのが、1人1個食べれるんだぜ!

スープも付くし、皆大喜びなんだ!」


「そう、それは良かったわね。皆痩せすぎだったもの」


 この家に先生が引っ越してきた日、馬車の車軸を壊して、載っている荷物を運びお駄賃をもらおうとしていたアルフ達は、皆痩せこけて着ていた服もボロボロだった。

 新しい孤児院長先生は、古着屋で子供達に服を買い与えたのだろう。

 アルフもこざっぱりした服を着ていた。


「それでさ、院長先生は昔王都で1番デカい教会にいたらしいんだ。だから「神授の儀式」もできるすごい先生なんだ」


 「神授の儀式」というのは貴族の子供が5才の時にスキルを授かる儀式で、ほとんどの人は「空間収納」を授かる。

 ジェンナの兄のように「炎の剣」という特別なスキルを得て騎士団に入る人もいるが、滅多に現れる事は無い。


「それで院長先生に神授の儀式の話を聞いていたら、俺達が魔力を持っているか調べてみようって事になって調べたんだ。そうしたら51中18人も魔力を持っていたんだぜ!スゲーだろう!」


「えっ、貴族でも無いのに魔力があるの?」


「うん、院長先生もビックリしてた。それで「神授の儀式」ができたらスキルを授かる事ができるかもしれないって。だけど「神授の儀式」は貴族しか受けられないから俺達は受けられないんだってさ!」


 そこでシャーラン君が「ジェンナ、俺男爵になったじゃないか?俺も「神授の儀式」って受けられないのかな?」と聞いてきた。


「そうだよね。シャーラン君も貴族になったんだから「神授の儀式」を受けてスキルを得られるはずだよね。シャーラン君、一緒に院長先生の所に行って聞いてみない?」


 私達は勉強会が終わった後、孤児院に行ってみる事にした。

 院長先生はすぐに会ってくださったので、院長室で話を聞く事になった。


「あなたが男爵令嬢のジェンナ様ですね。アルフ達に勉強を教えて頂きありがとうございます。

おかげでアルフが下の子供達に字を教えてくれて、字を読める子供が増えてきているのです。

孤児院を出て字が読めるか読めないかで、受ける仕事が大きく変わりますから、とてもありがたいのですよ」


 白髪に白い髭を蓄えた院長先生は、とても優しそうな人だった。

 ジェンナは孤児の役に立つ事ができて良かったと思った。


 そこでシャーラン君が前に出て自己紹介して、「神授の儀式」が受けられないか聞いた。

 院長先生がシャーラン君に魔力があるか測ってみましょうと器具を取りに行ったので、私はシャーラン君にある事をお願いしてみた。

 シャーラン君も「それ面白いな」と言ってくれたので私達はそれを実行してみる事にした。


「お待たせしました。ではここに手を置いてみてください」


 シャーラン君が測定器具に手を置くと、丸いランプが強く光った。


「魔力は多いですね。儀式を受けられたらスキルを授かると思いますよ。大教会の方に行かれたらすぐに儀式を受けられると思います」


「あの、こちらで儀式を受けられないでしょうか?」


「私は神授の儀式を行う資格は持っておりますが、ここは小さな教会ですからどうでしょう?晴れの場ですから、貴族の方は皆正装で大教会で行いたいとおっしゃいますよ?」


「私はあがり症で、誰かの儀式を見て真似てやりたいのです。18人くらい儀式をされているのを見てから儀式に臨みたいのですが?」


 シャーラン君の18人の後にやりたいとの発言に、院長先生はシャーラン君の言いたい事がわかったようだ。笑みを浮かべてこうおっしゃった。


「私も久しぶりの儀式で18人くらい練習をしたいと思っていたのです。男爵の練習台に人を呼んで参りますから、しばらくお待ちください」と言って、アルフに魔力を持っていた子供達を呼びに行かせた。


「それでは、これよりランド男爵の神授の儀式を行います。お前達は練習台としてこちらに並びなさい」


 並んだ子供達は皆緊張しているようだ。私は自分の5才の時を思い出して懐かしかった。


「クルード、あなたは空間収納のスキルを授かりました」


「ベラ、あなたも空間収納のスキルを授かりましたよ」


 院長の言葉に子供達は嬉しそうな顔で後ろに走って行った。


「アルフ、あなたも空間収納のスキルを授かりました」


 アルフも無事スキルを得られたようだ。アルフはスキップしながら後ろに下がって行った。


「デッド、あなたは水魔法のスキルを授かりました。

後で話がありますから院長室にいらっしゃい」


 なんと、彼は珍しい水魔法使いのスキルを得られたようだ。彼は孤児だが、貴族から養子縁組の話が来るかもしれない。彼の将来は明るいものになるだろう。

それからはずっと「空間収納」が続き、最後の女の子まで全てスキルを授かる事ができた。


「ではランド男爵、こちらへ」


 シャーラン君が緊張した面持ちで院長先生の前に跪いた。

院長先生が持っていたオーブをシャーラン君の頭の上にかざすと、オーブに文字が現れた。


「ランド男爵、あなたには「風の刃」のスキルが授けられました」


 シャーラン君は珍しい風の刃のスキルを授かったようだ。風属性の攻撃魔法かな?

 青飛竜で飛んでいる時に黒飛竜に襲われた時使って撃退できたらすごいよね。

 シャーラン君が嬉しそうに私の方を見たので私はシャーラン君に「おめでとう」と口パクで伝えた。


「院長先生ありがとうございました」


 祭礼室から院長室に帰って院長先生にお礼を言うと、院長先生も18人の孤児がスキルを得た事に喜んでおられた。

 中でもデッド少年に現れた水魔法は驚きを隠せないようで、彼の両親のどちらかが貴族だったのかもしれないとおっしゃっていた。

 これは大教会にも報告すると言われた。

 私は自分のスキルが「空間収納」なのに、小さな頃から本を入れていたら今では3000冊の本を収納できるようになったと話した。

 院長先生は驚いておられたが、好きな物を収納したいという強い気持ちが空間を拡げたのかもしれませんねとおっしゃってた。

 今日空間収納を得た子供達にその話をしてみましょうと言っておられた。


 そうやって私達は家に帰って、先生にシャーラン君が「神授の儀式」をして風属性のスキルを授かった話をしたら、先生は慌てて執事さんに命じて院長先生に寄付金を持って行くように言われた。


「神授の儀式」は貴族の重要な儀式で、儀式を受ける時には寄付金を持参するのが通例なのだそうだ。


「私からのお祝いという事で私が寄付金を出しておくけど、これからは2人とも貴族の常識も身につけるのよ」


 反省した私達は、学問以外の常識も勉強しようねと話し合ったのだった。



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