ハズレの部屋
ドアを開いた。ここはどうやらハズレの部屋のようだ。
当たりの部屋はどこにあるのだろうか?
ドアを開いた。ここはハズレの部屋だったようだ。
ドアを閉めて、廊下を進んで行った。
いつになったら、当たりの部屋が見つかるのだろうか。
ドアを開けては閉め、開けては閉め、開けては閉めた。
諦めかけていたとき、開いた部屋の中に少女がいた。
白い服を着たその少女は、暗闇のなかぼんやり光っているように見えた。
「こんなところで‥‥」
「こんなところで、何をしているの? 」
少女は、そっとこちらを向いた。少し、笑いかけると少女も笑い返した。そして彼女は、透き通るような小さな声でこう言った。
「残念、ここはハズレの部屋だよ」
そう聞こえた瞬間、ぐおおっと部屋が伸びて広がって、少女が遠ざかっていった。そして自分の体は、廊下の外に放り出されていた。
あまりの勢いに頭がぐらぐらとし、ぽかんと座り込んでいた。かけていたメガネも、カドの所に少し、ヒビが入ってしまった。
「それじゃあ‥‥当たりの部屋はどこにあるんだい? 」
静かに呟くと、どこからかあの透明な声が響いた。
『当たりの部屋はきっとすぐに見つかるよ。頑張ってね。』
どうしてか、少女がくすくすと嗤っているような気がした。
疲れと混乱によりたまらなくなって、どん、と壁を殴った。
血がにじみ、少し崩れたガレキの中から、髑髏が顔を覗かせた。
その首もとに古びたメガネも落ちていて、カドに少し、ヒビが入っていた。
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