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ep10.『聖母と道化、その支配人』Storm very

「普通って?」


思わず素で聞き返すと、水森唯は小さくこう呟いた。


「……佐藤君だってよく知ってるでしょう?私がクラスでも学年でもカースト最下位だってこと────────」


水森唯の言葉に俺は更に混乱する。


なんだ?


なんでアイスクリームだのサンデーだのからこういう話になったんだ!?


「今まで私を“普通の女の子”として扱ってくれた男子なんて、誰も居なかった。みんな私をバイ菌扱いで……」


戸惑う俺をよそに水森唯は話を続けた。


「私が触ったものもバイ菌扱いされて───────汚い、キショいって言われるのって小学校の頃からずっとだった」


なのに、と水森唯は更に心情を吐露する。


「佐藤君、もし私がサンデーを残したら代わりに食べようかなんて言い出すんだもの─────────私にそんなこと言ってくれる人なんてお母さんやおばあちゃんくらいだわ……」


どうしよう、一体どこで、どういうきっかけで水森唯のスイッチが入ったんだか俺には全く見当がつかない。


それはそうとしてこれはチャンスなんじゃないか?


水森唯のことを深く知るきっかけになるかもしれない。


思わぬところで事件のヒントが掴めそうになった俺は注意深く身構えた。


「……今だってそう。周囲で人が見る場所なのよ。テラス席なんてのは─────────それなのに私と二人で、ここに座ってサンデーを食べるだなんて」


俺はただ黙って水森唯の話に耳を傾ける。


「それに今日だって─────────物凄く急だったでしょう、ここに買い物に来るだなんて」


恐る恐る、だけど確かな意思を持って水森唯は更に言葉を続けた。


「カースト最下位の私を誘うだなんて普通なら絶対に冷やかしか罰ゲームだって思うわ。他の男子はいつもそうなの。私って存在を罰ゲームの道具にしか考えてないんだから」


でも、と水森唯は俺の方を向いてこう言った。













「……佐藤君はそうじゃない。だからそれだけですごく嬉しかった」


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