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ep2 . 『蜜と罰』 唯物論とブルーキュラソーの夜

え?まだ続いてんの?いつ頃終わるんだろ?



待って、お願い止めて…!と小さく吐息を吐くように声を上げるが二人ともブレーキが壊れたように止められない。


ああ、と令嬢の唇から悲鳴が漏れ全身の力が抜けたように身体はぐったりとしている。


令嬢の瞳から大粒の涙が上気した頬に流れる。


自ら溺れるのを望んだかのように令嬢はその感覚と少年に身を委ね、その余韻に打ち震えていた。


味わったことのない未知の感覚は令嬢の身体を覆っていく。


箱入りのご令嬢はこの時初めて自分自身が女に生まれた意味を知った。


底無しの背徳感の入り口。


その扉を開けたのは少年だった。


さらにその奥の扉に鍵が差し込まれ、こじ開けられようとしていた。


少年は先程脱ぎ捨てた短い制服の上着を掴んでポケットを弄った。


内ポケットの小さな銀色の缶を取り出すと蓋を開ける。


白いシーツの上にカラフルな個包装のパッケージが散乱する。


ああ、もうこれ全部使い切ってもいい。


陶酔した精神状態で少年はぼんやりと考える。


つい先程まで少年の中にあった崇高で敬虔な尊敬の念や敬愛の真心は解放された本能に喰らい尽くされていた。


個包装の一つを無造作に掴んだ少年は乱暴に引きちぎり、中身を取り出す。


準備を整えた少年はゆっくりと令嬢の身体に自身の体重を掛ける。


もう一度令嬢の唇にその唇を重ね、合図を送る。


令嬢の白く細い身体の中心の深い部分の扉にゆっくりと少年がその鍵を差し込む。


悲鳴を声を押し殺そうとしていた令嬢の身体が強張り、それを阻む。


痛みという身体の反応が令嬢の全身を駆け巡る。


「     」


少年が耳元で囁く。


ただそれだけでもう一度蕩けそうになる。


ゆっくりとその鍵が深い部分に差し込まれていく。


令嬢の唇の端に苦痛が浮かぶ。


痛みと戸惑いが全て少年によって破られる。


鈍い痛みと僅かな恐怖、しかしそれ以上に“求められている”という快感が令嬢の全てを麻痺させていく。


一つに繋がったという実感がお互いの身体の感覚をより鮮明にし、思考を狂わせていく。


二人とももう何も考えられなくなっていた。


二人の身体はゆっくりと動いていく。


少年には自分が動いているのか、令嬢が動いているのか或いは世界が動いているのかもう判らなくなっていた。


少年は令嬢の身体の中心部にある道に入り、その坂を登ったり降りたりする動作を繰り返していた。


令嬢は声にならない悲鳴を上げ少年の背中にしがみつく。





カウンターに倒れ、溢れたブルーキュラソーの瓶のようにどこまでも甘く透明な青い夜はその切なさを周囲に滲ませていた。


夏はチョコを冷凍庫に入れたら美味いよな。


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