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ep10.『聖母と道化、その支配人』カプセルの中の感情


「……これ!発売後に即完売しちゃって話題になってたシリーズよ!」


水森唯が興奮気味にそう反応すると店員はやや得意げにこう答える。


「ええ。こちらは再販された商品で本日の午前中に入荷したものです」


学校帰りの女子学生達が目敏く見つけて早速回していましたので残りは僅かですが、と店員がガチャの筐体を指差す。


なるほど。


[アイドルぷりんす∞ カプセルラバーストラップコレクション ステージ1]と銘打たれたポップがガチャの表面から見える。


俺は横からカプセルの残量を覗き込んだ。


“プリアリ”同様に残り僅か、中身はスカスカになっている。


「……ん?」


さらに覗き込んだ俺はあることに気付く。


「これって残り一個じゃねぇの?」


ガチャ筐体の横、透明な部分から見える内部にはカプセルが一個しか見当たらない。


「……ラスト一個……ってことなの!?」


水森唯も驚いたように声を上げた。


「すいません、店員さん。この無料券、使っていいですか?」


気付くと俺は、考えるより先に行動してしまっていた。


ポケットに入れた[ガチャ無料券]を店員に差し出す。


店員は無言で頷き、腰に着けたバッグから小銭を取り出すとコイン投入口にセットした。


どうぞ、と店員が俺に合図を送る。


俺は何も考えずにただハンドルを回す。


歯車の噛み合う音とコインが内部に吸い込まれていく音が周囲に響く。


一周ハンドルを回すとコトリと乾いた音を立ててカプセルが取り出し口に転がり落ちた。


「……ん?」


俺がカプセルを手に取ると、開ける前から水森唯が驚いたように声を上げた。


「これ、もしかして……!!」


なんだ?水森には開ける前からどのキャラかわかるのか?


カプセルを開け、中のラバーストラップを手にすると店員がポツリとこう言った。









「ああ、このキャラは───────────[三橋譲流]こと通称[ゆずきゅん]ですね」


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