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ep10.『聖母と道化、その支配人』 愛想笑い

なんて事だろう。


俺は過去最高に打ちひしがれた。


ありもしない金塊を求めて砂漠を掘っていたようなものだ。


いや。


砂漠を掘るだけなら可愛いものだ。


俺の場合───────────深く考えずにかなりの金額をその砂漠に放り投げてたんだ。


(俺にとっての)大金を使ったのにも関わらず、それは全くの無意味な行為だったと来たもんだ。


こんな残酷なことはないんじゃないだろうか。


よほど俺の表情が暗かったんだろう。店員は心底気の毒そうな表情を浮かべてこう言った。


「こちら3000円以上遊んで頂いたということですので────────当キャンペーンの対象となります」


キャンペーン?


俺がそう聞き返す間もなく水森唯が何らかのチケットを受け取る。


『ガチャガチャ一回無料』


ポップで能天気な書体で書かれたチケットを俺は凝視した。


恐らく、この店員の兄ちゃんはいい奴なんだろう。


前の時もそうだった気がするしな。


けど、そんなことはどうでも良かった。


この時点で俺は─────────4000円近くをスッてしまっていた。


もう少し早い段階で知りたい情報だったが──────────────


水森唯が小さく会釈してそのチケットを受け取る。


何やかんやで4000円ほどスり、バス代で390円×2人分を使っていた俺は改めて打ちひしがれた。


10000円中、既に5000円弱ほど使っている。


今後の生活費やこの後に水森唯に何かを奢る事を考えればもうここで使える予算はほぼ無いに等しい。


俺の表情が暗かったのを察したんだろう、水森唯が目くばせをする。


そうだな。ここのクレーンゲームからは撤退した方が利口だろう。
















俺と水森唯は愛想笑いを浮かべながら──────その場所から立ち去った。


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