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ep10.『聖母と道化、その支配人』 躊躇

俺が数歩歩き始めると──────────どういう訳か水森唯はその場を動かなかった。


「ほら、行こうぜ」


俺がそう促すと水森唯は恐る恐るこちらの顔を見る。


「……その、いいのかしら?」


いいって何が、と俺が聞き返すと水森唯はこう口にした。


「私が──────佐藤君の隣を歩いても?」


何を言ってるんだ、と言いかけた俺はふと改めて水森唯の姿を見た。


少し猫背で癖っ毛のあるショートカット。


分厚いレンズの奇妙な眼鏡は村役場の中年男性が掛けていそうな雰囲気を醸し出している。


確かに、オシャレだとか女子中学生らしいとは言い難い風貌かもしれない。


水森唯は自分自身でも───────それを引け目に感じているんだろうか?


「なんでだよ」


俺は極力明るくそう言って水森唯を手招きする。


「俺から頼んだんだぜ?今更じゃねぇか」


アニメショップもある地方都市。


俺らの居住エリアとは同じ市内ではあるが、生活圏からは離れている。


そう、俺らの中学の感覚からするとさ。この“市内”に中学生だけで来るのはちょっとした冒険なんだよ。前にも言ったかもしれねぇけどさ。


このエリアに男子と女子が2人で来るってのは特別な意味合いがあるんだな。


ある意味デート。


そういうニュアンスを水森唯は感じ取っているのかもしれない。


けど、構うもんか。それでいいんだよ。


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