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ep10.『聖母と道化、その支配人』 溶けていく甘く白いもの

へぇ。

ジャン・コクトー。サン=テグジュペリ。それから太宰治。


ヘンリー・ダガーなんて聞いたことのない作者の名前も挙げられた。


水森唯は読書家なんだろう。


俺はふむふむと頷く。


「スゲェな、水森!めっちゃ読んでんじゃん!?」


作家にも詳しいさ、と俺がオーバーに感心したように言うと────────水森唯ははにかんだような表情を浮かべた。


「……そう。そう言って貰えると悪い気はしないわね」


いいぞ。


なんか水森唯の心、めっちゃ開かれてないか?


俺は更に踏み込むべく質問を重ねた。


「それじゃあさ、水森の人生のベスト3とか選ぶんだったらどの本になるんだ?」


きっとスゲェ本だろ?と俺が揶揄うように告げると水森は首をすくめた。


「……そうでもないかもね。だってほら、こういうのは食べ物と同じかも」


食べ物?と俺は聞き返す。


「そう、食べ物」


水森唯が俺に分かりやすい言葉を選んで話してくれているのは伝わる。


「……ランキングの上位ってなんでも定番のものが独占してるでしょ?あれと同じなんじゃないかしら?」


ふむ?


「……人気のアイスランキングだとバニラが上位に入っていたりとか。そういうことって見たことない?」


水森唯にそう言われて俺はなんとなくイメージが掴めた。


「ああ!なるほど!そういうことか!!」


なんとなく腑に落ちた気がする。


「……そう。奇をてらったものじゃなくて万人に好かれる普遍のものってことなんでしょうね」


すっげぇよくわかる。








まあバニラってのは無難でもあり、そんなに嫌じゃないって選択肢だもんな。

オーソドックスなものってこと?

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