表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

909/1123

ep10.『聖母と道化、その支配人』 恋人たちと天動説

なんとか水森との距離を縮めたいところだが……

「なあ、それでさ。水森は俺がどんな本を選んで読書感想文を書いたらいいって思う?」


水森のオススメってどんな本?と俺はここぞとばかりに強調した。


「……そうね」


水森唯は暫く考え込むような素振りを見せた。


「……佐藤君はしっかり授業を聞いてる上にその内容をきちんと覚えてて───────────」


繊細なところもあるから、と水森唯はズラリと本が並んだ本棚を凝視する。


「古典名作なんてどうかしら。意外性があって加賀先生も驚くんじゃないかしら?」


ふむ。


なんかいい感じに進んでるぞ。


「例えば?」


俺がそう訊ねると水森唯は本棚にある本を一冊、手に取った。


「……例えばこれなんかはどう?シェイクスピアなんだけど」


古びた本の表紙には[リア王]というタイトルが箔押しで刻まれている。


「リア王?王様の話なん?」


まあ、そうね、と水森唯はページをパラパラと捲って見せた。


「シェイクスピアを勧めたかったんだけど───────[ロミオとジュリエット]じゃあ佐藤君にはちょっとロマンティック過ぎるんじゃないかと思って」


お。いいぞ。


なんかセンシティブでプライベートな内容に突っ込めるいい糸口じゃねぇか。


「おいおい。俺ってそんなにガキっぽく見えるか?別に恋愛要素とかあるからって苦手な訳じゃねぇし」


俺がそう言うと────────────水森唯は意外なことを口走った。













「……そうよね。佐藤君にはちゃんと好きな人、居るんだものね」




……は?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ